マテリアリティ
ナイスグループのマテリアリティ(重要課題)
ナイスグループでは、持続的な成長に向けて優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しています。今後、本マテリアリティへの取り組みを通じて、環境・社会・経済の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を一層推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っていきます。
マテリアリティの特定プロセス
STEP1:ESG 課題の抽出
マテリアリティを特定するに当たり、国際的なサステナビリティ・フレームワークとなる、GRI スタンダード、SDGs、ISO26000、SASB、ESG 評価機関の評価項目などを踏まえて、検討すべきESG 課題を500 項目以上抽出しました。
STEP2:ESG 課題の重要度評価
マテリアリティを「企業経営において最も重要視すべきESG 課題」と定義し、ステークホルダー視点及び自社の事業インパクトの大きさ、産業特性などの視点から重要度評価を行い、数あるESG 課題から対応優先度の高い項目を抽出しました。
STEP3:ESG 課題の妥当性評価
STEP2で抽出した優先度の高い項目を、更に「事業インパクト及び企業価値への影響」と「社会及びステークホルダーからの期待/ニーズ」の二つの視点から再度整理し、当社にとっての重要度の高いESG 課題をマッピングして選定しました。これらのESG 課題について、外部有識者を含めて社内で妥当性の議論を行い、マテリアリティを特定しました。
STEP4:マテリアリティの決定
特定されたマテリアリティについて、取締役会を経て2023 年5 月に決定しました。
STEP5:目標設定と見直し
マテリアリティと経営戦略との統合を行うとともに、社会の変化に合わせてマテリアリティや目標を定期的に見直すことで、継続的な企業価値向上を果たしていきます。
ナイスグループのマテリアリティ
素材 カーボンニュートラル社会の実現に向けて
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、日本の潤沢な資源であり、地球温暖化対策として重要な役割を担う木材や、建築物の省エネ化・ゼロエネ化に役立つ建材・住宅設備機器など、環境・社会課題の解決に役立つ「素材」の積極的な流通と、安定的に供給していくためのパートナーシップの構築を通じて、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に貢献します。
中長期の方針
国産材の利用拡大と、省エネ・創エネ設備・機器の利用拡大により、社会全体の温室効果ガス排出量の削減を図ります。
目標
項目 | 目標 | 2024年3月期 |
---|---|---|
国産木材の年間取扱量 | 65.5万㎥ (2028年3月期) |
42万㎡ |
温室効果ガス削減貢献量の創出※1 | 40万t-CO2 (2030年3月期) |
約27万t-CO2 |
環境配慮型商品の年間販売数※2 | 増加 | 前期比168% |
「木太郎®」導入社数(累計) | 増加 | 前期比102% |
- ※1
国産材の利用による炭素貯蔵量や、太陽光発電等の再生可能エネルギー由来電力の提供量など、当社グループの事業活動等によって社会全体で削減された温室効果ガスの排出量を「削減貢献量」と定義しています。 - ※2
主に太陽光発電システム(住宅用)の販売台数のこと
国産材の利用拡大によるサステナブル・リカバリーの推進
「木」は二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵する環境に優しい自然素材です。国産材の利活用を通じて、循環型社会・健康増進社会を創造し、木質化による日本文化の醸成を図ります。
ナイスグループの取り組み
木は、「伐って、使って、植えて、育てる」ことで再生産が可能な持続可能な資源です。また、成長の過程で大気中の二酸化炭素を吸収し、体内に炭素を蓄えています。木材として製材された後も、住宅や木製品として利用することで、長期間にわたって炭素を固定することができるため、地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素の排出削減に重要な役割を担っています。加えて、木材は、柔らかで温かみのある質感に加え、優れた断熱性や調湿機能など、居住空間の心地良さを高める特長を持っており、木質環境は住まう人の健康維持・増進にも効果があると考えられています。
ナイスグループは、木材流通をルーツとする企業として、建築物の木造化・木質化を通じて日本の潤沢な資源である国産木材の利用拡大を図り、地球温暖化対策に役立つ脱炭素社会や循環型社会の実現や、生物多様性の保全に貢献するため、建築物の木造化・木質化を推進していきたいと考えています。
主な活動事例
環境配慮型商品やサービスの提供によるエネルギー消費量の削減
日本の二酸化炭素排出量の約3分の1を占める住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に役立つ商品・サービスの提供を推進し、エネルギー消費量の削減に貢献します。
ナイスグループの取り組み
2050年カーボンニュートラルの達成、2030年温室効果ガス排出量46%削減の実現に向けては、日本のエネルギー消費量の約3分の1を占める建築物分野の対応が急務となっています。住宅・建築物の省エネ性能の一層の向上が求められるなか、2025年には全ての新築住宅・建築物において省エネ基準への適合が義務化されるほか、2030年にはZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保が目指されています。
ナイスグループは、国内の新築一戸建住宅の約4割を供給する工務店様に向けて、住まいづくりに関するワークシーンをサポートする「ナイスサポートシステム®」を提供しています。本サービスを通じて、工務店様の高性能住宅への取り組みをサポートすることで、競争力の強化に貢献していくとともに、高性能住宅の普及に貢献していきたいと考えています。
主な活動事例
サプライチェーンの再構築による商品・サービスの安定供給
サプライチェーンを構成する取引先様と木材利用、環境配慮の価値観を共有し、エンゲージメントを高めてまいります。より深いパートナーシップを確立し、木材製品、商品・サービスの品質向上と安定供給を図ります。
ナイスグループの取り組み
サプライチェーンのグローバル化が進むなか、気候変動等の環境問題の深刻化、新たな感染症の拡大による物流の分断、紛争等の地政学リスクの顕在化、更には、強制労働や児童労働といった人権侵害など、様々な社会的課題が生じています。
ナイスグループは、木材の循環利用や環境配慮型商品の提供を通じて、環境貢献や人権尊重等の価値観をサプライチェーン全体で共有し、エンゲージメントを高めてまいります。これにより、取引先様とのより深いパートナーシップを確立し、木材製品、商品・サービスの品質向上と安定供給を図り、相互の成長の実現に努めていきます。
主な活動事例
暮らし 社会との継続的な共生に向けて
社会との継続的な共生を図るため、耐震・健康・省エネに配慮した良質で長寿命な住まいの供給と、適切な維持管理・更新へのサポートを通じてストック型社会の実現に貢献するとともに、行政や地域社会と連携し、地域社会の活性化や課題解決に努めます。
中長期の方針
良質な住宅の供給と既存住宅の流通・活用を促進することにより、ストック型社会の形成に貢献します。
産官学の連携を図り、地域社会の発展に貢献します。
目標
項目 | 目標 | 2024年3月期 |
---|---|---|
マンション 免震・強耐震構造採用比率※1 | 100% | 100% |
一戸建住宅 構造材の国産木材比率※1 | 100% | 100% |
一戸建住宅 長期優良住宅認定率※2 | 100% | 100% |
中古マンション リノベーション件数 | 増加 | 前期比110% |
- ※1
ナイス(株)が主体となって分譲するマンション・一戸建住宅が対象。強耐震構造は耐震等級2を取得した構造のこと - ※2
認定基準のうち、「住戸面積」要件により居住面積75㎡未満の住宅及び1フロア40㎡未満の住宅は除きます
木を生かしたレジリエンスな住まいづくりの推進
日本の気候に適し、人に様々な効能をもたらす優れた建築素材である「木」を活用し、災害に強い安全・安心かつ、省エネ・健康で快適に暮らせる長寿命な住まいづくりを推進します。
ナイスグループの取り組み
日本は地震大国であり、今後30年以内に、南海トラフ地震や首都直下型地震が70%以上の確率で起こると予測されているほか、近年では、地球温暖化に伴う異常気象の発生など、生活環境への不安が高まっています。
ナイスグループは、「住まいは命を守るものでなければならない」という強い想いのもと、安全・安心かつ快適で長寿命な住まいづくりにこだわり続けています。特に、地震への備えについては、マンションは原則として免震構造を採用、分譲一戸建住宅は、建築基準法の2倍の強度を超える「超耐震」を標準採用し、災害に強いレジリエンスな住まいづくりを推進し続けています。
また、ナイス(株)が供給する新築マンションでは共用部の木質化を図るとともに、同社が分譲する一戸建住宅では、全ての構造材を国産材に切り替え、国産木材100%を標準としています。これにより、環境性能をより高めた住まいを実現しています。
主な活動事例
- ナイスの分譲マンション
- ナイスの一戸建住宅(分譲・注文)
- 菊池建設の本格和風住宅
- プレステージホーム沖縄
資源の有効活用に配慮した既存住宅流通の促進
ストック型社会の形成に向けて、住宅・建築物のリフォームや既存住宅流通、管理を強化し、空き家問題の解決に向けた取り組み、長く大切に使うことによる資源の有効活用を図ります。
ナイスグループの取り組み
住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加といった問題が生ずるなか、良質な住宅の供給と併せて、今ある住宅を長く大切に活用していく、ストック型の社会に移行することが求められています。
ナイスグループは、既存住宅のストックの循環的な利用が資源の有効活用につながり、環境に対する負荷低減になるとの認識のもと、既存住宅の流通やリフォーム・リノベーションを推進するとともに、住まう方が快適な生活を過ごせるように、適切な管理を行っていきます。
主な活動事例
地域活性化への貢献
産官学の連携を図り、持続可能な社会形成を担う森林の保全や林業・木材産業の活性化、子どもたちの成長、住まいや暮らしに関するサービスの提供により、地域活性化に貢献します。
ナイスグループの取り組み
人口減少、少子高齢化などに伴い、防災や日々の暮らし、教育等を支えるコミュニティー機能の低下など、様々な社会課題が蓄積しています。ナイスグループは、地震に強く、安全・安心な住まいの提供・普及に加え、人と環境に優しい木材・建材・住宅設備機器の普及・促進を通じて、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。そのために、横浜市・川崎市等を中心に、様々な地域の行政機関や学校、地域の皆様と連携し、地域社会・経済の活性化や課題の解決に努めていきます。
主な活動事例
人 人と社会から信頼される企業であり続けるために
人と社会から信頼される企業であり続けるため、自社の持続可能性を追求し、「働きやすさ」と「働きがい」の向上を通じた人材価値の最大化、内部管理の強化による健全かつ透明な経営の確立、事業活動に伴う環境負荷の低減に努めます。
中長期の方針
多様な人材一人ひとりが、それぞれの個性を生かし、能力や強みを発揮できるような「主体的な風土」を確立するとともに、事業活動における環境負荷を低減し、「社会的使命」の達成を図ります。
目標
項目 | 目標 | 2024年3月期 |
---|---|---|
女性採用比率(新卒・キャリア)※1 | 40%以上 (2026年3月期) |
40.4% |
女性管理職比率※1 | 5.2% (2026年3月期) |
3.0% |
健康経営優良法人の認定取得 | 認定取得 (2024年3月期) |
認定取得 |
重大な労働災害の発生件数※2 | 0件 | 0件 |
コンプライアンス研修の開催 | 全職場での開催 | 全職場での開催 |
Scope1・2の削減率 | 2022年3月期比 36%削減 (2026年3月期) |
32%削減 |
- ※1
ナイス(株)単体の数字となります。 - ※2
「死亡災害及び負傷または疾病により障害等級1~7等級に該当する労働災害」を「重大な労働災害」と定義しています。
人的資本経営の推進
会社の最大の財産である人材のポートフォリオを適時最適な状態に保つとともに、多様な人材が主体的・自律的に能力や個性を発揮できる環境を整え、役職員の成長を促すことが会社の成長にもつながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」の向上を図ります。
ナイスグループの取り組み
ナイスグループは、人材こそが当社グループの最大の財産であり、人材の成長がグループの成長につながるという考えのもと、「働きやすさ」と「働きがい」を高めるための人材への投資を通じて、従業員一人ひとりの仕事を通した幸せと成長を実感できる経営の実現に努めています。持続的な成長及び更なる企業価値の向上に向けて、自律的なキャリア形成と成長をサポートすることで、多様な人材一人ひとりがそれぞれの個性を生かし、自らの能力や強みを発揮し活躍する「主体的な風土の確立」を目指すとともに、キャリア採用の強化を通じて多様な経験やスキルを持った人材を獲得していくことでケイパビリティを高めていきます。
主な活動事例
グループガバナンスの深化
リスク管理及びコンプライアンス遵守を徹底し、リスクを未然に防ぎ、発現した際の損失を低減することにより、企業価値を高め、社会から信頼される企業であり続けます。
ナイスグループの取り組み
ナイスグループは、「無信不立(信無くば立たず)」という創業の精神に基づき、取引先様やお客様からの信頼に応え続けることで、豊かな住まいと暮らしを実現するという企業責務を遂行しています。また、企業価値の向上を図り、株主の皆様をはじめ、当社グループに関係する方々への利益の還元及び社会貢献に努めていくうえで、コンプライアンス体制及びコーポレート・ガバナンス体制の強化・充実を重要な課題と位置付け、取り組みを深化させていきます。
主な活動事例
事業活動における環境負荷の低減
再生可能エネルギーの導入や省エネ活動の推進など、サプライチェーン排出量の削減を図ります。また、社有林の保全育成を通じて、二酸化炭素の吸収や貯蔵、水源涵養など環境保全に貢献します。
ナイスグループの取り組み
ナイスグループは、気候変動への対応や、地球環境の保全を重要な経営上の課題と認識し、温室効果ガス排出量をはじめとした事業活動に伴う環境への影響を把握し、負荷の低減に努めています。
また、木材流通をルーツとする企業として、社有林の保全・育成を通じて、二酸化炭素の吸収・貯蔵による地球温暖化防止対策に貢献するとともに、防災や生物多様性の保全、水源のかん養等の公益的機能の拡大を図るべく取り組んでいます。