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ナイスグループ (一社)日本ウッドデザイン協会ビジネスマッチング部会に参画 非建築分野におけるGywood®採用製品を発表
2024年5月21日、ナイス㈱の本社ビルにて、(一社)日本ウッドデザイン協会のビジネスマッチング部会における分科会が開催されました。当日は、様々な業種の関係者が一堂に会し、本社ビルの内外装木質化リノベーションや、同部会での取り組みの活動報告などが行われました。今回は、分科会の様子と併せて、その中で紹介されたGywood®を用いた新たな製品についてご紹介します。
木を活用して社会課題の解決を目指す「ウッドデザイン」
(一社)日本ウッドデザイン協会は、建築家の隈研吾氏を会長として、2021年に設立されました。本協会は、木を活用した社会課題の解決を目指す取り組みを「ウッドデザイン」と定義し、「ウッドデザイン」に関わるあらゆる分野において、調査、研究、開発、事業創造、普及及び啓発を行う機関として活動しています。会員相互の連携並びにあらゆるステークホルダーとの対話及び協力により、木のある豊かな暮らし、木材利用、森林・林業の成長産業化及び地方創生を推進して、脱炭素化など環境と資源に配慮した持続可能な社会の実現を図り、広く社会に貢献することを目的としています。
本協会には、会員同士がテーマに沿って意見交換や情報共有、協働作業などを行う四つの部会が設置されており、その一つである「ビジネスマッチング部会」に、ナイス㈱も会員企業として参画し、活動しています(図1)。
ビジネスマッチング分科会にてナイス㈱の取り組みを発表
ビジネスマッチング部会は、企業、デザイナー、自治体などによって様々なマッチングを進め、木材利用とデザイン性の向上を図り、消費者に木製品・木造建築等が選ばれるような仕組みづくりを行っています。東京を中心に、全国各地で分科会やマッチングイベントなどを2カ月に1回程度の頻度で開催しています。
5月21日には、ナイス本社ビルにおいて分科会が開催され、ビジネスマッチング部会の会員企業から約50名が参加しました。当日は、分科会に先立って、リノベーションによって木質化された内外装の見学が行われました(図2)。「Gywood®」や「ObiRED®」といったナイスグループオリジナル木材製品を中心に、多様な樹種の木材が用いられた1階ロビー、2階接客スペース、7階執務スペースに加えて、木目の密度差を生かした特殊表層圧密技術で立体感を生み出す「凸凹Gywood」などが用いられた外装木質化について、約1時間にわたって案内がなされました。
その後、第13回ビジネスマッチング分科会が開催され、会員同士のビジネスマッチングの取り組み状況に関する報告や、試作品に関する相談、進行案件における課題の共有などが行われました(図3)。活発な意見交換がなされ、今後の取り組みを加速させる場となりました。このうちナイス㈱に関わる事例として、㈱内田洋行によりナイス㈱とのコラボレーションにて開発されたオフィス家具について説明がなされたほか、ナイス㈱は、非建築分野における新たなGywood®採用製品として、スギを用いた木製筆記具シリーズの発表を行いました。
㈱内田洋行とコラボレーションしたオフィス家具
ナイス㈱は、同じく(一社)日本ウッドデザイン協会の会員である㈱内田洋行と連携し、オフィスの木質化・ハイグレード化をターゲットとした製品の共同開発を行っています。同社は、オフィス家具を通じて国産木材の活用を推進しており、得意とするICT技術との併用、木材とスチールを合わせたデザイン性など、様々な強みを生かした製品開発で国産木材の有効活用に取り組んでいます。
更なる国産木材の利用や、それに伴う林業の活性化、地域経済や環境の改善など、両社が持つ共通の目的の下、国産スギの大径材を表層圧密したGywood®を活用してオフィス家具におけるコラボレーションを実施しました。これまで四つのモデルの試作・展示を行い、Gywood®の特長である「幅広」「薄型」「軽量」「対傷性」を生かした製品となっています。 また、このたび同製品の環境試験、物理試験が完了し、温度・湿度の変化や荷重に対して、製品化に求められる性能の基準をクリアしていることが確認されました。特に環境試験では、通常での使用を想定した製品でありながら、温度が10℃から60℃、湿度が10%から80%に変化する環境下で試験が行われたことで、改めてGywood®の強度の高さや形状安定性などが実証されました。
今後はGywood®の汎用性の高さを生かし、用途や使用人数に応じ様々なオフィス家具の製品化を目指していきます。
スギを用いた木製筆記具シリーズ
ナイス㈱は非建築分野での新たなGywood®採用製品として、このたび木製筆記具シリーズを製作しました。
現在、木軸ペンなど木製の筆記具では、外国産の広葉樹が採用されているケースが多くあります。Gywood®を採用することで、スギ特有の柔らかさや滑らかさを感じられるとともに、傷の付きにくさや硬質感を同時に実現しています。無垢材の経年変化や香りを楽しみながら、長期にわたり愛着を持って日常使いができる製品となっています。
また、ドイツの筆記具メーカーの部品を採用しており、滑らかな書き心地を実現しています。国内外の有力な文具メーカーが生産するリフィルなどの部品とも互換性があるため、インク切れなどが発生しても容易に交換が可能となります。
加えて、同製品に用いられるスギは日本原産の樹種であることから、日本らしさを感じさせる製品として海外の方にも提案できるものとなっています。訪日観光客のお土産や、海外の取引先への記念品など、国内外問わず幅広いユーザー様にお使いいただけます。
なお、発売時期等の詳細については、決まり次第お知らせいたします。当社は引き続き、筆記具をはじめとする非建築分野の様々な領域においてGywood®の採用を進め、国産材針葉樹の利用拡大及び価値向上を図っていきます。
(一社)日本ウッドデザイン協会 「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京」を開催
(一社)日本ウッドデザイン協会は6月14日・15日の二日間にわたり、丸ビル1階マルキューブにて、「WOOD DESIGN EXPERIENCE~木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@東京~」を開催しました。本イベントは、中大規模の建築物などにおいて、デザインに優れ、機能性の高い木の空間やプロダクトが増えている中、多くの方々に「体験」「実感」「共感」していただき、木材利用の重要性や活用の可能性、木の魅力を再発見していただくことで、スギやヒノキ材を始めとした木材利用が進み、花粉の少ない森林への転換が進むことを目的としています。
展示スペースに施された植栽には少花粉スギの苗木が使用されたほか、シーンごとのテーブルやチェア、木製文具や雑貨、おもちゃなどの展示がなされ、当社からは、木製トレイや筆記具シリーズ、㈱内田洋行とのコラボレーション製品などを出展しました。
なお、本イベントは、7月5日・6日の二日間で、KITTE名古屋のイベントスペースにおいても開催される予定です。
※ iF DESIGN AWARD:1953年にドイツで誕生した世界で最も歴史ある国際デザインコンペティション。IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれており、世界60カ国から1万点を超える応募がある。