環境
基本的な考え方
ナイスグループは、日本の潤沢な資源であり、地球温暖化対策として重要な役割を担う木材の取り扱いを強化し、建築物の木造化・木質化の推進など、積極的な利用の促進を図ります。併せて、良質な住宅の供給等を通じて環境問題の解決に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。
環境方針
ナイスグループは、社会的存在意義として「樹とともに、人と暮らしをつなぎ、はぐくみ、彩りある未来をつくります」を掲げています。ステークホルダーの彩りある未来の実現に向けて、企業活動を通じた脱炭素社会の実現等に貢献するべく、ここに「環境方針」(以下「本方針」といいます。)を定めます。
1. 環境関連法規の遵守
ナイスグループは、国内・国外を問わず、企業活動を行っている地域の環境関連の諸法令・規則及び合意した協定等を遵守します。
2. 適切な森林管理と資源の循環利用の促進
木材の流通をルーツとする企業として、森林の適切な管理と資源の循環利用の促進により、エコマテリアルである木材の利活用の推進に努めます。
3. 環境負荷の最小化
脱炭素社会の実現に向けた温室効果ガスの削減や、生物多様性の保全、資源の有効活用及び廃棄物の削減など、企業活動における環境負荷の最小化に努めます。
4. 環境に配慮した商品やサービスの推進
環境負荷低減に資する商品やサービスの開発・調達・提供に努めます。
5. 目標の設定と継続的改善
ナイスグループは、環境に関わる目標を設定し、その達成に向けて定期的な確認や見直し、継続的な改善を推進します。
6. 教育
ナイスグループは、本方針が企業活動に組み込まれ実行されるよう、全ての役職員に対する適切な教育を行います。
7. コミュニケーション
環境に関する取り組みや進捗状況などについて、各種報告書やウェブサイト等を通して発信します。
環境目標
ナイスグループは、事業活動を通じた社会全体の環境負荷の低減に向けて、自社の事業活動における温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、木材の循環利用やZEHの普及促進などを通じて、社会全体の温室効果ガス排出量を削減するなど、「削減貢献量」の創出を推進してまいりました。
取引先様やお客様をはじめとしたステークホルダーとの連携によって、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量について、2050年までに実質ゼロに挑戦することを宣言し、以下のとおり「ナイスグループ環境目標」を策定しております。
- ※2社有林「ナイスの森®」の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。
- ※3国産木材の利用による炭素貯蔵量や、太陽光発電等の再生可能エネルギー由来電力の提供量など、ナイスグループの事業活動等によって社会全体で削減された温室効果ガス排出量を「削減貢献量」と定義しています。本目標は、削減貢献量及び社有林「ナイスの森®」の二酸化炭素吸収量によるオフセットを含みます。
適切な森林管理と資源の循環利用の促進
適切に管理された森林からの木材の調達
木は、「伐って、使って、植えて、育てる」というサイクルを回すことで、再生産できる持続可能な資源です。 そのためには、適切な管理がなされている森林から正しい手続きにより生産された木材(合法伐採木材)を利用する必要があります。
ナイスグループでは、合法伐採木材や森林認証材といった木材製品の調達・流通を積極的に推進しています。木材等の輸入及び販売を行うナイス(株)、製材事業を行うウッドファースト(株)、木造住宅・建物の建築を行うナイスユニテック(株)等がクリーンウッド法の事業者として登録されているほか、国内外の木材流通拠点、工場においてCoC(管理の連鎖)認証を取得しています。
また、ナイスグループは森林育成から素材流通、製材、加工、製品流通、設計、施工、住宅供給など、建築物の木造化・木質化のサプライチェーンにおけるネットワークを生かし、国産JAS構造材など、建築物等への国産木材の積極的な利用の推進を図ることで、国産木材の取扱量を2028年3月期までに65.5万㎥へと拡大することを目標としています。
グループ会社との連携による森林資源の循環利用
木材の利用拡大を図るためには、木材を使うことの意義について需要側の方々に正しく知っていただくとともに、供給側である森林所有者様や素材生産事業者様との連携を図っていくことが必要だと考えています。
ナイスグループでは、社有林「ナイスの森®」の一部から木を伐採し、建築用材として利用しています。そして、再造林と育林を行うなど、森林資源の循環利用を実行しています。ウッドファースト(株)は、伐り出された木を製材します。ナイスプレカット(株)は、全国6カ所に工場を展開し、様々な工法に対応した木材加工を行い、各地域の施工現場へ納材しています。
今後も、品質の確かな国産材を安定供給し、再造林や育林に必要な費用を還元することで、循環型のサプライチェーン構築を目指していきます。
一戸建住宅の国産材比率の向上に貢献
ナイスグループでは、国産木材を梁などの横架材に使用することが可能であることを検証したうえで、オール国産材仕様の家づくりの普及拡大に向けた「国産材パッケージ」を開発、一戸建住宅の国産木材比率の向上に努めています。
同パッケージは、構造材から羽柄材、内外装材に至るまで、住宅一棟分の国産木材をセレクトしてパッケージ化しています。工務店様やビルダー様のニーズに応じて仕様のバリエーションを設定し、邸別にアッセンブル、プレカットして提供しています。
自社供給の住宅で国産木材を積極的に活用
新築マンション・新築一戸建住宅にとどまらず、中古住宅再生や賃貸住宅など、様々な分野において可能な限り木造化・木質化を推進していくことで、住宅の魅力を高めるとともに、環境にも貢献しています。
新築マンション共用部
ナイス(株)が分譲するマンションでは、共用部の木質化を推進し、木材需要の創造に努めています。温かみのある木材特有のデザイン性を取り入れることで、マンションの顔となるエントランスなどの共用部を上質な空間に仕上げています。
新築一戸建住宅
ナイス(株)が分譲する一戸建住宅では、日本の気候風土で育った木が日本の家づくりに適していると考え、構造躯体や耐力面材など、構造に使用する木材を全て国産木材とする「国産木材100%の家づくり」を実現しています。
内外装についても、木の特長を生かしたデザインを取り入れることで、魅力ある住まいを実現しています。
グループの総合力で非住宅の木造化を推進
非住宅建築物の木造化・木質化については、ウッドビルディングネットワークという概念のもとで推進しています。中大規模木造建築を手掛けるうえで欠かせない、「情報」「構造設計」「木材調達」「生産加工」「施工」の各段階で、要望や案件の性質、内容に応じて必要な機能を補完し、最適なソリューションを提供しています。
木造建築物のファーストコールセンター「木造テクニカルセンター」をナイスユニテック(株)に設置しています。お預かりした簡単なスケッチや図面などを基に、木造化の可否や、躯体に関する概算費用について、概ね一週間以内に回答するサービスを提供するなど、建築物の木造化に関する幅広い相談に対応しています。
ウッドチェンジで新たな木材需要を創出
ウッド・チェンジとは、身の回りに使われているものを木に変える、暮らしに木を取り入れる、建築物を木造化・木質化するなど、木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動のことです。ナイス(株)は、林野庁が2021年9月に設立した「ウッド・チェンジ協議会(民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会)」に参画し、官民での連携を図りながら、国産材の需要拡大に向けた民間建築物等における木材利用の促進等に取り組んでいます。
ナイスグループでは、国産針葉樹の大径材を活用したオリジナル商品「ObiRED®」「Gywood®」といった素材の開発・普及等を通じて、国産木材の需要拡大を推進しています。更に、プライベートブランド「ZENIYA®」において、国産無垢材によるインテリア商品などを積極的に開発するなど、建築物及び家具などの非建築物分野の木質化に役立つ商品開発を進めています。
これを更に推し進め、2023年には「脱プラ・木質化R&Dセンター」を新設、国産木材の魅力や可能性を生かした素材の開発をより一層進め、建築分野以外の暮らしの領域での木材の利活用の拡大に取り組んでいきます。
環境負荷の最小化
住宅を長く使うことによる環境負荷の低減
住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加といった問題が生じているなか、今ある住宅を長く大切に活用していく、ストック型の社会に移行することが求められています。
ナイスグループは、既存住宅ストックの循環的な利用が資源の有効活用につながり、更に環境負荷の低減につながると考え、既存住宅流通やリフォーム・リノベーションを推進するとともに、住まう方が快適に過ごせるよう、適切な維持・管理に貢献しています。
併せて、社会課題の一つとなっているマンションの高経年化については、再生の一環として共用部の木質化を行い、魅力向上を図るなど、より長く住み続けられる住まいづくりを推進しています。
温室効果ガス排出量の削減
気候変動への対応や、地球環境の保全を重要な経営上の課題と認識し、温室効果ガス排出量をはじめとした事業活動に伴う環境への影響を把握し、負荷の低減に努めています。温室効果ガス排出量の削減については、環境目標を達成するべく、拠点への再エネ由来電力やエコカーの導入などを積極的に進めています。
こうした取り組みにより、2024年3月期の自社の排出量(Scope1・Scope2の合計)は、2022年3月期比で32%削減され、7,800t-CO2となりました。
自社排出量の実績(t-CO2)
2022年度3月期 (基準年) |
2023年度3月期 | 2024年度3月期 | |
---|---|---|---|
Scope1・2合計 | 11,518 | 8,746 | 7,800 |
Scope1 | 2,703 | 2,513 | 2,705 |
Scope2 | 8,815 | 6,233 | 5,095 |
削減率(%) | ー | 24.1% | 32.3% |
消費電力の再生可能エネルギー化を促進
再生可能エネルギー由来電力の導入を進めています。2024年8月末時点で32拠点に導入、使用電力の再生可能エネルギー比率は約33%と、前期の約19%から約14ポイント上昇しました。
電力消費量の実績(MWh)
2022年度3月期 | 2023年度3月期 | 2024年度3月期 | |
---|---|---|---|
電気使用量 | 17,725 | 16,745 | 16,549 |
うち再生可能エネルギー由来 電気使用量 |
13 | 3,207 | 5,456 |
再生可能エネルギー由来 電力導入率(%) |
0.1% | 19.2% | 33.0% |
社有林の保全・育成、二酸化炭素の吸収・貯蔵
森林は、生物多様性の保全、土砂災害の防止、水源のかん養、保健休養の場の提供などの多面的機能を有しています。更に、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を発揮しています。
ナイスグループは、木材流通がルーツである企業として、社有林「ナイスの森®」の保全・育成を通じて、地球温暖化防止へ貢献していきたいと考えています。現在、「ナイスの森®」の総面積は2,032.2ヘクタールに及び、年間で約10,000トンの二酸化炭素を吸収しています。更に、「ナイスの森®」全体では二酸化炭素換算で約780,000トンの炭素を貯蔵しています。
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熊野の森
1980年取得/ 140.5ヘクタール
二酸化炭素吸収量 594t-CO2
炭素貯蔵量 68,560t-CO2 -
丹沢の森
1990年取得/ 12.2ヘクタール
二酸化炭素吸収量 81t-CO2
炭素貯蔵量 4,413t-CO2 -
川根の森
2001年取得/ 102.7ヘクタール
二酸化炭素吸収量 761t-CO2
炭素貯蔵量 43,020t-CO2 -
猪苗代の森
2007年取得/ 212.0ヘクタール
二酸化炭素吸収量 536t-CO2
炭素貯蔵量 54,299t-CO2 -
徳島の森
2008年取得/ 829.6ヘクタール
二酸化炭素吸収量 4,974t-CO2
炭素貯蔵量 351,861t-CO2 -
岐阜の森
2012年取得/ 654.3ヘクタール
二酸化炭素吸収量 2,806t-CO2
炭素貯蔵量 239,424t-CO2 -
京都北山の森
2012年取得/ 50.0ヘクタール
二酸化炭素吸収量 112t-CO2
炭素貯蔵量 11,267t-CO2 -
津久井の森
2015年取得/ 30.9ヘクタール
二酸化炭素吸収量 202t-CO2
炭素貯蔵量 12,970t-CO2
社有林の適切な整備を推進
当社グループは社有林の適切な整備に向けて、伐採や間伐、再造林等の森林施業を推進しています。2024年3月期においては、約25ヘクタールの森林整備を実施しています。
また、2023年3月期に間伐を実施した「ナイス丹沢の森」の間伐材からは、「木のうちわ」「木糸のハンカチ」「木のファイル」を作成し、ノベルティとしてお客様に配布しています。
環境に配慮した商品やサービスの推進
工務店様へのサポートで住宅性能の向上に貢献
2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、2025年には全ての新築住宅・建築物において省エネ基準への適合が義務化されるほか、2030年にはZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保が目指されています。そのような中、ナイス(株)では、国内の新築一戸建住宅の約4割を供給する工務店様に向けて、住まいづくりに関するワークシーンをサポートする「ナイスサポートシステム®」を1988年から提供しています。
本サービスでは、一次エネルギー消費量及び外皮性能の計算をはじめ、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)や長期優良住宅、認定低炭素住宅などの申請代行、更には、これらの基準を満たすための仕様の提案まで、一気通貫で行っています。
工務店様の高性能住宅への取り組みをサポートすることで、競争力の強化に貢献するとともに、高性能住宅の普及を通じた脱炭素社会の実現を目指して取り組んでいます。
エネルギー関連商品の取り扱いを強化
太陽光発電システムは、太陽の光を利用して電気をつくり出す、エコでクリーンなシステムです。2050年カーボンニュートラルに向けて、2030年に供給される新築一戸建住宅の約60%に太陽光発電設備を設置する目標が示されるなか、ナイスグループでは、グループ会社であるスマートパワー(株)を中心に、住宅用の太陽光発電システムや蓄電池などの取り扱いを強化することで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
省エネで快適な住まいの供給
住まいの断熱性能を高め、快適かつ消費エネルギー量が抑えられる暮らしを提供するべく、当社が供給する一戸建住宅は、ZEH水準の断熱性能としています。 マンションについては、断熱性能の向上と効率的な設備等の導入により、2026年3月期に供給する物件から、ZEH-MOrientedを導入していきます。