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ナイス㈱ 本社ビル外装木質化の第二期工事が竣工 外装材としての新たな木材需要の創出を目指す
ナイス㈱は、オリジナル木材商品による本社ビル外装木質化の第二期工事を昨年11月より実施し、このたび竣工しました。2023年12月の第一期工事に引き続き、人工林資源であるスギなどの国産針葉樹の利用促進に向けて、外装材としての新たな木材需要の創出を目指します。今回は、同工事の内容についてご紹介します。
意匠性や強度を高めて外装用途に対応
2023年12月に竣工した本社ビル外装木質化の第一期工事では、表層圧密技術によってスギの表面硬度を高めた「Gywood®」や自然な木目の立体感と美しい陰影を持たせた「凸凹Gywood」、耐久性の高い飫肥杉を使用する「ObiRED®」などのオリジナル商品を用いて、エントランス周辺の柱や外壁などの木質化を実施しました。今回の第二期工事では、木質化範囲を更に広げるとともに、意匠性を向上させる表面加工技術や、通常より圧縮率を高めた「スーパーGywood」を用いるなど、外装材における木材の更なる用途拡大を図っています。
外構の柱の仕上げ面には、商業施設などの非住宅建築物における多様な外装仕上げのニーズに対応する、市松模様など4種類の異なる模様の仕上げ材を使用しました(図1左)。スギやヒノキ、アカマツの圧密材に高精度な機械加工を施し、非木質の仕上げ材で見られるような立体的で意匠性の高いテクスチャを木材で実現しています。また、木材利用の前例が少ない外装床材として、高圧縮率のスギ圧密材に防腐・防蟻処理を施した床タイル材を試験的に施工し、経年変化の定点観察を行いながら実用化を目指します(図1右)。そのほか、通用口や植栽帯など、広範囲にわたり木質化を実施し、木の街並みの創出に貢献しています(図2)。
外装木質化の課題解決に向けた検証を実施
ナイス㈱ 脱プラ・木質化R&Dセンターでは、第一期・第二期の本社ビル外装木質化工事を通じて、非住宅建築物の外装木質化における課題の解決に向けて取り組んでいます。具体的には、施工の合理化・メンテナンス性の向上を目指し、Gywood®の形状安定性を生かした様々な加工と金物を組み合わせた施工方法や、「腐朽・蟻害」「風化」「変色」等に耐えながら美しい経年変化を実現する加工・塗装の検証に加え、外装木質化による断熱性能の向上効果やヒートアイランド現象の抑制効果の測定、外装木質化前後の建物への印象に関するアンケート調査などを実施し、木質化がもたらす心理面・経済面・環境面における効果検証も行っています。今後も、これらの工法・耐候性・耐久性を検証する活きたショールームとして本事例を活用するとともに、「凸凹Gywood」や「スーパーGywood」などの高付加価値な新素材の開発を通じて木材の新たな用途開発につなげることで、国産材の利用拡大と高付加価値化を目指します。