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国土交通省・経済産業省 トップランナー基準見直しへ 太陽光発電設備の設置目標を追加
2030年までの基準引き上げに向け協議
国土交通省と経済産業省はこのほど、住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現に向けた対策を強化するための2省合同会議を開催しました。
本会議は、国土交通省の「社会資本整備審議会 建築分科会 建築環境部会 建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」及び経済産業省の「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」の合同会議です。2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保が目指されており、住宅トップランナー制度の引き上げ等を遅くとも2030年度までに実施するとしています。こうした中、20回目となる今回の合同会議では、太陽光発電設備の設置目標に関するトップランナー基準の見直し案について協議が行われました。
設置が合理的な住宅における目標を設定
本会議では、住宅トップランナー事業者に対する2027年度の設置目標として、設置が合理的な住宅の戸数のうち、建売一戸建住宅で37.5%、注文一戸建住宅で87.5%とする案が出されました。
2030年に、新築一戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることが目標とされています。現状の設置率は31.4%で、住宅トップランナー事業者の設置状況は、建売一戸建住宅で8%、注文一戸建住宅で58.4%、賃貸アパートで21.3%となっています。こうした中、エネルギー基本計画の見直し議論や次世代型太陽電池の早期社会実装といった状況の変化が今後見込まれることから、2030年の目標達成に向けた中間点となる2027年度に、住宅トップランナー事業者に対する目標が設定される運びとなりました。
ただし、今回の目標設定においては、住宅トップランナー基準として太陽光発電設備の設置を求めることが合理的でない住宅があることに鑑みて、地域性や敷地の条件を考慮した目標としています。具体的には、住宅トップランナー事業者が供給する建売一戸建住宅及び注文一戸建住宅のうち、効率的な太陽光発電設備の設置が難しいと思われる都市部狭小地や、落雪への安全性の配慮等が必要な多雪地域などの住宅は対象外となっています。
今後、パブリックコメントを経て、2025年春頃に改正省令の交付・施行が予定されています。