閉じる

ニュース&レポート

  • トップ
  • ニュース&レポート
  • (一社)住宅生産団体連合会 2023年度「戸建注文住宅の顧客実態調査」 物価高の影響を受けて延べ床面積が縮小傾向

(一社)住宅生産団体連合会 2023年度「戸建注文住宅の顧客実態調査」 物価高の影響を受けて延べ床面積が縮小傾向

 (一社)住宅生産団体連合会は9月10日、2023年度の「戸建注文住宅の顧客実態調査」を公表しました。今回は、本調査結果の概要から、一戸建注文住宅の平均顧客像の変化や傾向等についてご紹介します。

建築費・住宅取得費は継続して上昇

 「戸建注文住宅の顧客実態調査」は、一戸建注文住宅に対する顧客ニーズの変化を把握することを目的として、2000年から開始されました。平均顧客像や建築資金・単価、顧客の意識など、主要都市圏における一戸建注文住宅の顧客実態について体系的に調査・分析がなされています。

 本調査によると、2023年度の平均顧客像として、世帯主年齢の平均は40.2歳(前年度比0.4歳低下)となったほか、世帯年収は1,148万円(同80万円増)となりました。住宅の延べ床面積は123.5㎡(同0.1㎡縮小)となり、2015年以降縮小傾向が続いています(図1)。一方、建築費は4,566万円(同342万円増)、住宅取得費合計は6,681万円(同311万円増)、1㎡当たりの平均建築費単価は37.0万円(同2.8万円増)となりました(図2)。また、自己資金が2,047万円(同132万円増)、贈与額が1,286万円(同169万円増)、借入金が5,859万円(同386万円増)となり、借入金年収倍率は5.10倍(同0.02ポイント減)となりました。世帯年収と贈与額は増加したものの、建築費、住宅取得費が上昇し続けていることから、延べ床面積を抑制するとともに、自己資金や借入金を増やすことで対処している傾向が見られました。

延べ床面積建築費単価推移グラフ

住環境の利便性への関心は減少傾向

 住宅購入を検討する上で特に重視した点については、「住宅の間取り」が62.4%と最も高く、次いで「地震時の住宅の安全性」(50.0%)、「住宅の広さ」(37.6%)、「住宅の断熱性や気密性」(34.9%)、「収納の多さ、使いやすさ」(25.7%)となりました。昨年と同様、収納の多さや住宅の広さ以上に、耐震性能を重視する顧客が多いことが明らかになりました。

 新たに土地を購入・借地した顧客が住環境の面で特に重視した点では、「通勤、通学などの利便」が35.8%で最も高く、次いで「敷地の広さや日当たりなど空間のゆとり」(31.7%)、「水害・津波の受けにくさ」(29.9%)、「街並み、景観」(28.9%)、「治安・犯罪が発生しにくい環境」(24.8%)、「日常の買い物の利便」(16.8%)となりました。重視した項目は過去3年の傾向とほぼ変わらないものの、これまで非常に高い割合を示していた「通勤、通学などの利便」や「日常の買い物の利便」は、近年は減少傾向が続いており、他の項目との差が小さくなっています(図3)。

 ZEHの検討の有無については、「ZEHにした」が42.4%で最も割合が高く、次いで「検討しなかった」(29.2%)、「検討は行ったが、ZEHにしなかった」(17.8%)となり、「ZEHにした」と回答した割合は増加傾向が続いています。

住環境面で特に重視した点グラフ

>(一社)住宅生産団体連合会

図1~3:(一社)住宅生産団体連合会資料より作成

木と暮らしの博覧会広告