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ニュース&レポート

国土交通省 「木造住宅の安全確保方策マニュアル」公表 居住者の命を守る観点で地震のリスクを低減

住宅の耐震化推進の一助に

 国土交通省は8月23日、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」を公表しました。住宅・建築物の耐震化については、これまでも積極的に取り組まれてきたものの、令和6年能登半島地震においては多くの家屋が倒壊するなどの被害が発生し、これらの住宅の所有者の多くが高齢者世帯である地域では、住宅の耐震化率が相対的に低いという事実も明らかになりました。その要因として、耐震改修等を行うための資力不足のほか、耐震改修等を行うことに対する動機不足やためらい等が考えられると述べています。こうした背景を踏まえて、住宅の耐震化を更に進めるための方策とともに、本格的な耐震改修等を行うことができない場合でも、居住者の命を守る観点からリスクを低減しうる方策を含めて普及することを目的に、本マニュアルが取りまとめられました。

 本マニュアルでは、木造一戸建住宅を対象として、地方公共団体の建築・住宅部局担当者や防災担当者、建築事業者、地域住民等の関係者が、住宅の耐震化推進を考える際の一助となるよう、基本的な考え方とともに先進的な取り組み事例などが掲載されています。

ニーズの高いリフォームと耐震化をセットで推奨

 本マニュアルは、「住宅の耐震化の促進」「地震からのリスクを低減するための方策」「日頃からの災害への備え」の三つで構成されています。「住宅の耐震化の促進」では、補助制度や融資制度、税制の特例措置といった住宅の耐震化に向けた支援制度の概要に加えて、ツールを用いた普及啓発や工事業者等の育成及び参入促進、耐震改修コストを下げる工法等の工夫など、耐震化の更なる促進に向けた方策について紹介されています。具体的な事例として、耐震診断士や設計士が不足している現状を踏まえて、耐震診断士や耐震化促進事業者として設計事務所や工務店を登録し、ホームページ上で公開する取り組みが紹介されています(図)。また、耐震改修に対する所有者の意欲を喚起するための方策として、省エネリフォームや設備のスマート化といった、ニーズが高いリフォームと組み合わせて耐震化を推奨することも有効であるとしています。

耐震診断士 事業者を登録公開

段階的な耐震改修でリスクを低減

 「地震からのリスクを低減するための方策」では、本格的な耐震改修等を行うことができない場合の暫定的な対策が紹介されています。具体的な対策の一つとして、段階的な耐震改修工事の実施が挙げられており、最終的には住宅全体を改修することを前提としつつ、当面の措置として耐震基準に満たない水準で補強する方法が示されています。また、主たる居室や寝室の構造部分のみの補強や屋根の軽量化など、部分的に工事を行うことも有効であるとして、部分型耐震化補助事業など、工事に要する費用を助成するメニューが紹介されています。

 そのほか、耐震ベッドや耐震テーブルといった地震によるリスクを低減するための家具等の導入や、2階を主たる居室や寝室にすることや2階に重量物を置かないことなど、命を守るための住まい方の工夫などについて紹介されています。

 「日頃からの災害への備え」では、地震発生時の安全確保のため、家具の転倒防止やガラスの飛散防止、防災備蓄の確保といった備えが重要であるとした上で、東京消防庁による「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」や、首相官邸による「災害の『備え』チェックリスト」などの災害対策に役立つパンフレット等が紹介されています。

>国土交通省