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「山の日」特別企画 森林が持つ二酸化炭素の吸収機能を活用 「ナイスの森®」の保全・育成により環境貢献を目指す

  8月11日は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを趣旨に設立された「山の日」です。今回は、「山の日」特別企画として、ナイス㈱が保全・育成を行う社有林「ナイスの森®」の概要と、「ナイス徳島の森」「ナイス丹沢の森」における取り組みについてご紹介します。

森林は「緑の社会資本」

 森林は、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、木材等の林産物供給などの多面的機能を有しています。更に、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を果たしています。これらの機能を通じて国民生活に様々な恩恵をもたらすことから、森林資源は「緑の社会資本」とも呼ばれています(図1)。

人々の暮らしを支える森林

 日本は、森林面積が国土の3分の2に当たる約2,500万haを占める世界有数の森林国であり、近年は人工林を中心に森林資源の蓄積量が増加傾向にあります。将来にわたり持続的に森林の多面的機能を発揮するためには、森林密度の調整のために樹木の一部を伐採する間伐の実施や、「伐って、使って、植えて、育てる」といった循環利用の推進など、適切な森林整備を行うことが重要となります。

全国8カ所に位置する社有林「ナイスの森®」

 ナイス㈱は木材流通をルーツとする企業として、利益の一部を森林に還元するという考えに基づき、1980年より社有林「ナイスの森®」の取得を開始しました。現在は全国8カ所、総面積は2032.2haに及びます(図2)。年間で約10,000トンの二酸化炭素を吸収しているほか、二酸化炭素換算で約78万トンの炭素を貯蔵しています。各地域の森林組合等との連携に加え、「ナイス徳島の森」と「ナイス丹沢の森」におけるナイスグループの社員による保全・育成活動を通じて、健全な森林の形成及び地球環境保護への貢献を目指しています。

社有林ナイスの森

ナイスグループ 自社排出量のカーボンニュートラルを早期に達成

 ナイスグループは、2024年3月期の当社グループにおける温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)について、社有林「ナイスの森®」の二酸化炭素吸収量とオフセットすることでカーボンニュートラルを達成しました。 ナイスグループは、気候変動への対応や地球環境の保全を重要な課題と認識し、事業活動による環境負荷の低減に努めています。2023年5月には、「ナイスグループ環境目標」を策定し、取引先様やお客様をはじめとするステークホルダーの皆様との連携によって、バリューチェーン全体での温室効果ガスの排出量について、2050年までに実質ゼロとすることを掲げています。その足掛かりとして、自社の温室効果ガス排出量の2022年3月期比36%削減及び社有林の吸収量増加により、2026年にカーボンニュートラルを達成することを目標として取り組みを進めてきました。

 2024年3月期の自社排出量は、拠点で使用する電力について実質再生可能エネルギーへの切り替えを進めたことなどにより、7,800t-CO2(2022年3月期比32%削減)となりました。加えて、社有林「ナイスの森®」の二酸化炭素吸収量が10,071t-CO2となったことで吸収量が排出量を上回り、早期にカーボンニュートラルを達成しました(図3)。

ナイスGの温室効果ガス排出量と社有林「ナイスの森®」の二酸化炭素吸収量

 今後も、自社排出量の削減及び社有林「ナイスの森®」における二酸化炭素吸収量の増大に努め、2050年目標である「ALLバリューチェーン・カーボンニュートラルへの挑戦」に向けて取り組んでいきます。

ナイス徳島の森

-素材生産・植林・育林-
 ナイス原木流通㈱では、「ナイス徳島の森」をはじめ、その他の山林における伐採、選木などの素材生産を手掛けているほか、その後伐採跡地への植林、育林を行っていくなど、川上における循環型の取り組みを進めています。ナイス㈱は木材の安定調達と森林資源の循環利用を目指すべく、2021年に素材流通部を新設し、製材工場や合板工場などの各事業者様へ原木供給等の取り組みを開始しており、2022年10月に、地元の木材事業者様から山林事業を承継する形でナイス原木流通㈱を設立しました。

 伐採作業については、作業道を整備した上で、2名体制で立木を伐倒していきます。その後、枝払い、測尺、玉切りを連続して行うプロセッサによって造材します。玉切りされた原木は、伐採地に設けられた仮の土場に集約された後、同社敷地内の土場へまとめて搬出されます。土場へ搬出された原木は、品質や用途に応じて、製材用の「A材」、合板や梱包材用の「B材」、バイオマス燃料に用いられる「C材」に分類され、サイズごとにまとめてはい積みされます(図4)。

伐採から選木までの流れ

 ナイス原木流通㈱は、原木を生産して販売するだけでなく、その後の再造林によって山林を次世代に継承していくことを目指しています。加えて、ナイス㈱の流通機能を生かし、木材を安定した価格及びボリュームで供給することで、川上である山林に適正な利益を還元することを目的としています。同社は引き続き、働く人々も含め山を豊かにすべく取り組んでいきます。

ナイス丹沢の森

-間伐材の利活用を推進-
 神奈川県に位置する「ナイス丹沢の森」では、森林整備により伐り出された間伐材の利活用を推進し、森林資源の循環利用と地域貢献を目指す「ナイス丹沢の森プロジェクト」が行われています。間伐材のうち、建材等に使用できない未利用材や端材を生かし、これまで「木のうちわ」「木のファイル」「木糸の布」を製作しており、神奈川県内のイベントやナイス㈱が主催する展示会等の来場者に向けたノベルティグッズとして配布しています。

丹沢の森ノベルティグッズ

社員の手で無花粉スギの苗を植林
 ナイスグループは昨年12月、ナイスグループの社員35名により、「ナイス丹沢の森」にて植林会を実施しました。「ナイス丹沢の森」は神奈川県の水源かん養林として指定を受けており、ナイス㈱と厚木市森林組合が締結している「水源林長期施業受委託契約」における施業計画に基づき、0.28haの範囲に880本のスギを植林しました。なお、今回の植林会では、社会課題となっているスギ花粉症問題の解決へ貢献すべく、無花粉スギを植林しました。

丹沢の森植林囲み画像

横浜美術大学へ木糸を無償提供
 ナイス㈱は6月、学校法人トキワ松学園横浜美術大学へ、木材利用の普及啓発及び学生による作品制作等の実践的な学習の支援を目的として、「ナイス丹沢の森プロジェクト」で製作された木糸50㎏を無償提供しました。今後、有志の学生により、制作物のアイデア出しやサンプル制作が行われるほか、ナイス㈱が今年11月27日・28日の二日間にわたりパシフィコ横浜にて開催する大規模展示会「木と暮らしの博覧会」において、制作物の発表を予定しています。

丹沢の森横浜美術大学囲み画像