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国土交通省 「自動物流道路のあり方」中間取りまとめ 新しい物流形態「自動物流道路」の構築へ
カーボンニュートラル型の物流革新プラットフォーム
国土交通省は7月25日、「自動物流道路のあり方」の中間取りまとめを公表しました。これは、2024年問題への対応や温室効果ガス排出量削減に向けて、道路空間を活用した自動物流道路の構築を目的に今年2月に設置された「自動物流道路に関する検討会」における議論を踏まえて取りまとめられたものです。
同取りまとめでは、道路空間を活用した物流専用空間の構築と、無人化・自動化された輸送手法の組み合わせによって、新たな物流形態である自動物流道路を構築する方向性が示されています(図)。小口・多頻度輸送による省スペースでの安定輸送や、輸送と保管を統合したバッファリング機能による物流全体の効率化が可能となることから、「持続可能で、賢く、安全な、全く新しいカーボンニュートラル型の物流革新プラットフォーム」がコンセプトの柱に据えられています。
物流の全体最適化と新たなモーダルシフトの推進
自動物流道路の構築に向けた方向性として、「物流の全体最適化」「物流モードのシームレスな連結」「カーボンニュートラル」の三つが掲げられています。「物流の最適化」では、24時間稼働し、需要を見越して輸送ルートに乗せることでオフピーク時の輸送力を活用し、物流需要の平準化が図られます。また、自動物流道路というインフラの導入をきっかけに、物流の標準化や事業者間の連携強化といったロジスティクス改革を進め、物流サービスにおいて競争から戦略的協調への移行を促し、全体最適を目指す方針です。「物流モードのシームレスな連結」では、トラック輸送からのモーダルシフトにおいて、鉄道輸送や海上輸送、航空輸送といった既存の物流モードにとらわれず、自動物流道路を新たな物流モードの一つに位置付け、トラック輸送をサポートする機能として活用する方針です。その際、積み替えによる人的・時間的コストなどの課題を解消し、それぞれの物流モードの強みを生かす新しいモーダルシフトを実現するとしています。「カーボンニュートラル」では、環境負荷を最小限に抑制するために低炭素技術を導入し、クリーンエネルギーの活用を前提とした設計にするとともに、更なる技術開発によってエネルギー利用の効率化が追求されます。
10年後の社会実装を目指す
自動物流道路の想定ルートは、物流量が最も多い東京~大阪間での設定を前提として、第一期区間については、物流量も考慮しつつ、大都市近郊の渋滞が発生しやすい区間から構築する考えです。また、モーダルシフトの推進に向けて、物流モード間のシームレスな連結のために、貨物鉄道駅や港湾、空港といった物流拠点間での設定が検討されます。
自動物流道路の実現に向けては、実験線として早期にフィールドを設定し、必要な技術開発やオペレーションの検証を行うことが重要であるとしています。10年後の社会実装を目指し、フィールドの構築に大規模な整備や時間を要さない、新東名高速道路の建設中区間である新秦野~新御殿場間などを活用して、社会実験を行うことが検討されています。