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菊池建設㈱ テナント木造耐火建築物「かくれんぼ横丁会館」が完成 耐火構造ながら無垢材を現しに使用

 ナイスグループにおいて伝統的な和風住宅や社寺建築を手掛ける菊池建設㈱はこの度、新宿区神楽坂において既存建物の建て替え工事を行い、商業施設「かくれんぼ横丁会館」が完成いたしました。今回は同物件の概要についてご紹介します。

既存建物の建て替え工事を実施

 この度竣工した商業施設「かくれんぼ横丁会館」は、料亭として利用されていた既存建物の建て替え工事で、基本計画時に、事業主である㈱マイナビ不動産様より、木造に長けた施工会社として菊池建設㈱にお問い合わせをいただきました。設計打ち合わせから参加し、技術や仕上げ、コスト提案、施工など、様々な場面で携わりました(図1)。

 当初は既存建物の改修工事を検討していたところ、同物件が位置する地域が石畳みの私道となり車両の通行が難しいことから、木造耐火建築物での建て替え工事の計画となりました。そのため、基礎の堀削時は農業用運搬機を使用したほか、資材の運搬は手運びが中心となりました。

かくれんぼ横丁会館外観

 

耐火被覆のうえ無垢材を現しに使用

 同物件は、在来工法を採用した木造2階建ての1時間耐火構造です。内装については、柱や梁などの構造躯体に構造用合板12㎜を張り、その上に強化石膏ボード21㎜を継ぎ目が重ならないよう二重張りして耐火被覆としています。その上で、仕上げとしてヒノキの羽目板を施しているため、耐火構造ながら無垢材の現しを実現しました(図2)。外装についても同様に、耐火被覆をした上で、胴縁、ラスカット、モルタル塗り厚20㎜を施し、仕上げとして羽目板を張っています。また、軒天の仕上げは、垂木の上から釘留めとするのが一般的ですが、今回は耐火被覆によりモルタルの施工後に下地を組み羽目板を張っているため、廻り縁で抑える工法を採用しました。

 主要な躯体や内外装材には国産ヒノキを採用しており、木の香りや木質感があふれる空間となっています。ヒノキによる仕上げを美しく見せるために、これまで培った伝統技術を整理の上、施工図で詳細の検討が行われました。また、木の表面が揃うよう間配りの段階で木目の配置を調整したほか、施工図と現場それぞれで割付を厳密に整えるなど、様々な工夫が凝らされました。

 そのほか、1階の各テナントスペースには坪庭が設えられており、四季折々の風景を楽しむことができ、屋内と庭が一体となり調和した日本建築ならではの意匠性の高い空間となりました(図3)。

かくれんぼ横丁会館1階廊下

かくれんぼ横丁会館坪庭

 

古材を随所に活用して上質な空間に

 建物内の随所には、既存建物で使用されていた古材がベンチや框、欄間などに形を変えて再利用されています。1階の柱には重厚感が感じられるサクラが使用されているほか、ベンチについてはヒノキの赤身部分のみを再利用した一品物となっており、高級感を演出しています。また、各テナントスペースの入り口には、古材を加工した看板を使用しており、温かみを感じられるサインがお客様をお迎えします。このように、経年を感じる古材と内外装材として使用されたヒノキの新材が調和し、趣のある建物となりました(図4)。

かくれんぼ横丁会館空間

 同物件の竣工後には完成見学会を行い、ゼネコンや設計事務所関係者様など24名が参加しました。見学者様からは、耐火構造ながら無垢材を現しとして使用している点について技術的な質問が寄せられたほか、巧な職人技や既存建物をモチーフに古材を随所で再利用している点について高く評価する感想が寄せられました。

 同社は今後も引き続き、伝統と現代技術を融合させた木造の住宅・建築物の供給を行っていく方針です。

かくれんぼ横丁会館建築概要