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ナイスグループ 建築物木材利用促進協定の締結から1年 協定に基づく取り組みで木材利用を更に推進
当社を含むナイスグループ6社と農林水産省による「国産材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」の締結から間もなく1年が経過します。今回は、協定締結以降の木材利用促進に向けた当社の取り組みとともに、先般実施された林野庁による本社ビル視察の模様についてご紹介します。
国産材の利用促進、普及啓発活動等を強化
昨年5月9日、ナイス㈱、ウッドファースト㈱、ナイスプレカット㈱、ナイスユニテック㈱、菊池建設㈱、YOUテレビ㈱の6社は、木材利用の促進に向けた取り組みを更に強化していくために、農林水産省と「国産材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結しました。協定では、森林の育成から素材流通、製材、加工、製品流通、設計、施工、住宅供給など、建築物の木造化・木質化のサプライチェーンにおけるネットワークを生かし、建築物への国産材の積極的な利用の推進、適切な再造林の促進、設計及び施工事業者や一般消費者に対する普及啓発活動の推進などに取り組むことを掲げています。
今年3月26日には、農林水産省によって2023年度の建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況が取りまとめられ、国との協定締結による成果についても公表されています。ナイスグループでは、安定した木材需給体制の構築に向けた取り組みとして、工務店やビルダー、ハウスメーカー等に対して住宅用国産材部材の新規供給を開始しました。また、協定者間での講習会等を7回、一般向けの普及・啓発活動を96回開催したほか、建築関係者向けの木材展示会や非住宅木造建築物の見学会の開催等の取り組みを実施しました。
国産材取扱量65万5,000㎥を目指す
具体的な取り組みとして、昨年11月30日、12月1日の二日間にわたり、パシフィコ横浜において「木と暮らしの博覧会」を開催しました(図1)。大規模な展示会としては約5年ぶりの開催で、建築物の木造化・木質化に関する実務に役立つ内容を建築関係者や施設所有者、行政担当者などへご紹介し、8,000名を超える方々が来場されました。
また、当社が施工を担ったサービス付高齢者住宅「Villa立場ハギマル」において、昨年8月に上棟現場見学会を開催し、木造化を検討するハウスメーカーや建設会社、設計事務所などから約70名が参加しました(図2)。現場の見学を通じて、「比較的大きな規模の建物についても、木造で十分対応できることが理解できた」「一般流通材による中大規模木造は、木材活用の糸口になると感じた」といった声が聞かれました。
当社グループでは、これらの取り組みを通じて、国産材の取扱量を2027年度までに65万5,000㎥まで拡大することを目指しています。
林野庁の青山長官以下20名超がナイスビルを視察
3月4日、林野庁の青山豊久長官を筆頭に、難波良多木材利用課長など22名の林野庁職員がナイスビルを視察しました。これは、昨年5月にナイス㈱などナイスグループ6社が農林水産省と「国産材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結したこと、また、林野庁補助事業の「外構部等の木質化対策支援事業(企画提案型実証事業)」に採択されて、昨年11月にナイスビルの外装木質化が実施されたことを受けて実施されたものです。
当日は、杉田理之代表取締役社長(当時)をはじめ木材事業に関わる関係者の出席のもと、ナイスグループにおける木材事業の取り組みの説明や、内外装木質化箇所の案内などが1時間半にわたって実施されました。ナイスビルは2022年5月に1階エントランスホール及びロビー、2階接客スペースと大会議室、7階フリーアドレス執務スペースなどにおいて、飫肥杉や北山杉、広葉樹など多様な樹種、「Gywood®」や「ObiRED®」といったオリジナル商材を活用した木質化が実施されています。外装については、木目の密度差を生かした特殊表層圧密技術で立体感を生み出す「凸凹Gywood」などが用いられ、既存建築物における外装木質化の施工方法、施工後の経年変化や耐候性などについて検証が実施されています。視察会では詳細な内容が説明され、様々な質問が飛び交うなど活発な意見交換が繰り広げられました。
最後には、視察会の内容を踏まえた質疑応答の時間が設けられ、青山長官から、当社が提案する「国産材パッケージ」での使用材積やエリアによるパッケージ内容の違い、非建築分野における「Gywood®」の活用事例などについて質問がなされました。