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環境省 地球温暖化対策推進法改正案が閣議決定 地域脱炭素化促進事業制度を拡充
温室効果ガス削減目標への取り組み加速
環境省は3月5日、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことを公表しました。
国はパリ協定に基づき、温室効果ガス削減目標として、2030年度に2013年度比で46%削減、更に50%の高みへ挑戦することを掲げています。本改正案においては、目標達成に向けて国内外で地球温暖化対策を加速する必要があるとし、国内の観点では、地域共生型再生可能エネルギーの導入拡大に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充、国際の観点では、企業の海外進出や国内の削減目標達成にも貢献する二国間クレジット制度について実施体制強化に向けた規定の整備などの措置を講じることが盛り込まれました。本改正案は今国会の審議を経て成立する見通しで、一部を除き2025年4月から施行される予定です。
市区町村の再エネ促進区域設定進まず
地域脱炭素化促進事業制度は、地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が再エネ促進区域や再エネ事業に求める環境保全・地域貢献の取り組みを自らの計画に位置付け、適合する事業計画を認定する仕組みです。同制度では、自治体が再生可能エネルギーの導入促進区域を設定する「ポジティブゾーニング」の仕組みが導入されており、再エネ促進区域の設定に当たっては、まず環境省令や都道府県が設定した環境配慮基準に基づくエリアを除外し、次に白地なエリア(調整エリア)のうち、積極的に再エネ発電設備等の設置を行うエリアが促進区域として抽出されます(図)。
同制度は2022年4月から施行されていますが、同省の調査によると、市町村における促進区域の設定状況は2023年4月時点で9市町村に留まっており、人員不足や財源不足のほか、制度に関する知識、域内の再エネポテンシャルや需要地・環境保全に関する情報不足が課題となっています。これらを踏まえ、同省は2023年4月に「地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会」を設置、地域脱炭素施策の加速に向けた検討を進めてきました。
都道府県と市町村の共同設定を可能に
本改正案では、都道府県及び市町村が共同して再エネ促進区域を定めることができるとし、その場合、複数市町村にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定を都道府県が行うこととしています。また、事業者の許認可手続きを簡略化したワンストップ化特例について、対象となる手続きを新たに追加するとしています。
このほか、本改正案では二国間クレジット制度(JCM)の実施体制の強化に向けて、JCMクレジットの発行や口座簿の管理などに関する主務大臣の手続きなどを規定するとともに、主務大臣に代わって手続きの一部を実施する指定法人制度の創設等が示されました。