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ニュース&レポート

国土交通省 「2024年問題」に向け法改正案が閣議決定 荷待ち時間を年間125時間削減へ

輸送力不足への対策として三つの規制

 国土交通省は2月13日、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことを公表しました。国民生活・経済を支える社会インフラである物流産業は、働き方改革に関する法律が適用されることによって物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面しており、対策を講じなければ輸送力が不足する可能性が示唆されています。本改正案は、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して物流を支えるための環境整備を行うべく、商慣行の見直しや物流の効率化等について総合的な対策を講じることで、物流の持続的成長を図ることを目的としています。具体的には、荷主・物流事業者に対する規制、トラック事業者の取引に対する規制、軽トラック事業者に対する規制の三つの施策が示されています。

物流効率化に向けた計画作成を義務化

 荷主・物流事業者に対しては、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課すとした上で、具体例として、パレットの導入によって荷役時間の短縮を図る事例が紹介されています(図1)。当該措置に対して、国が策定する判断基準に基づいて指導・助言、調査・公表を実施する方針です。また、一定規模以上の荷主・物流事業者を特定事業者として指定し、物流改善に向けた措置の実施に関する中長期計画の作成や定期報告の実施を義務付け、取り組みが不十分な場合は事業所管大臣より勧告・命令が実施されます。そのほか、特定事業者のうち荷主に対しては、計画作成等の業務を統括する物流統括管理者の選任が求められます。

荷主等が取り組むべき措置の例

下請け利用の適正化を目指す

 トラック事業者の取引については、元請事業者に対して、実運送事業者の名称等を記載した管理簿の作成が義務付けられるほか、運送契約の締結等に際し、提供する役務の内容及び附帯業務量、燃料サーチャージ等を含む対価等を書面に記載し、交付すること等が義務付けられます。更に、下請けに出すなど、他の事業者の運送を利用する行為の適正化について努力義務が課されるとともに、一定規模以上のトラック事業者・利用運送事業者に対しては、当該適正化に関する管理規定の作成と責任者の選任が義務付けられます。

 また、死亡・重傷事故件数が増加傾向にある軽トラック事業者に対しては、必要な法令等の知識を担保するために、管理者の選任や講習の受講に加え、国土交通大臣への事故報告が義務化されます。加えて、国土交通省による公表の対象に、軽トラック事業者における事故報告と安全確保命令に関する情報が新たに追加される方針です。

 同省では、本改正案の施行から3年後のKPIとして、一人当たりの荷待ち及び荷役時間を2019年度比で年間125時間削減することに加えて、積載率向上によって、輸送能力を2019年度比で16%増加させることを掲げています。

>国土交通省 報道発表資料