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国土交通省 移住・二地域居住等促進専門委員会の「中間取りまとめ」を公表 官民連携による空き家の活用を促進
地方移住などに向けた施策を検討
国土交通省は1月9日、移住・二地域居住等促進専門委員会の「中間取りまとめ」を公表しました。同委員会は、新たな国土形成計画(2023年7月閣議決定)に掲げられる「地方への人の流れの創出・拡大」の実現を目的に設置されたもので、コロナ禍以降、東京圏在住者の地方移住への関心の高まりなどを踏まえ、移住・二地域居住等を促進するための施策について検討がなされています。
このたび公表された中間取りまとめでは、「住まい(住環境)」「なりわい(仕事)の確保・新しい働き方」「コミュニティ(地域づくりへの参加)」の3分野に分け、それぞれの分野における課題や解決策が盛り込まれています。「住まい(住環境)」については、需要に対する住まい不足や、貸す側・借りる側への公的支援の必要性といった課題が挙げられているほか、「なりわい(仕事)の確保・新しい働き方」では、テレワークに対応した住環境の充実や地方における副業・兼業などの新しい働き方が求められています。「コミュニティ(地域づくりへの参加)」では、地域住民とのコミュニケーション不足や二地域居住者等と地域住民をつなぐ人材不足の解消が課題となっています。
各地域の補助事業による住まいの確保
このうち「住まい(住環境)」では、住まい確保の解決策として、空き家の活用や賃貸住宅の供給について具体的な事例が示されています。
空き家の活用については、岐阜県飛騨市における官民連携の事例が紹介されています。賃貸用の空き家が不足しているという課題に対して、空き家の流動化による定住促進や地域活性化を目的に、空き家を賃貸住宅にするために改修した際、300万円を上限に費用の2分の1以内を補助する制度が創設されました。また、市内の宅地建物取引業者との連携により、空き家等の所有者と借り手・買い手を円滑に結び付ける空き家情報サイト「飛騨市住むとこネット」が構築されました(図)。
賃貸住宅の供給については、公的賃貸住宅等を活用・整備していくことの必要性が示された上で、茨城県境町の事例が紹介されています。同町では、若者の移住につながる魅力的な住宅が少ないという課題を踏まえ、PFIのスキームを活用した地域優良賃貸住宅が整備されており、累計転入者数は250人を超えています。また、退去後も約8割が町内に一戸建住宅を新築するなど、移住から定住の好循環が生まれています。
総合的な政策のパッケージ化が必要
このほか、横断的な課題として、自治体の人手や空き家活用等に関する専門的知識の不足、住まい・なりわい等の官民連携、人口規模別の先導地域の情報共有などが示されました。
同省は、子育て世帯を含む若年層の移住・二地域居住等へのニーズの高まりを的確に捉え、ソフト・ハードの総合的な政策のパッケージ化が必要であると述べています。
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s104_ijuunichiikikyojuu01.html