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ニュース&レポート

国土交通省 2023年都道府県地価調査(基準地価) 住宅地・商業地ともに2年連続で上昇、上昇率が拡大

全国の全用途平均がコロナ禍前を上回る上昇率に

 国土交通省は9月19日、2023年の都道府県地価調査(基準地価)の結果を公表しました。同調査は、各都道府県知事が毎年7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を調査し、同省が取りまとめるもので、2023年の基準地点数は全国21,381地点となっています。毎年1月1日時点の土地価格を公表する公示地価と並び、土地取引価格の指標とされています。

 同調査によると、全国の全用途平均が1.0%上昇(前年比0.7ポイント増)と2年連続で上昇し、コロナ禍前となる2019年の0.4%を上回る上昇率となりました。用途別では、住宅地が0.7%上昇(同0.6ポイント増)、商業地が1.5%上昇(同1.0ポイント増)と2年連続で上昇し、いずれも上昇率が拡大しました。

 三大都市圏においては、全用途平均が2.7%上昇(同1.3ポイント増)と3年連続上昇しました。住宅地は2.2%上昇(同1.2ポイント増)と2年連続の上昇、商業地は4.0%上昇(同2.1ポイント増)と11年連続の上昇となり、上昇率が大幅に拡大しました。

地方圏では住宅地が31年ぶりに上昇

 三大都市圏以外の地方圏においては、全用途平均が0.3%上昇(同0.5ポイント増)し、用途別では、住宅地が0.1%上昇(同0.3ポイント増)、商業地が0.5%上昇(同0.6ポイント増)と、全用途平均・住宅地は31年ぶりに上昇に転じたほか、商業地は4年ぶりに上昇に転じました。

 このうち、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市では、全用途平均が8.1%上昇(同1.4ポイント増)、住宅地が7.5%上昇(同0.9ポイント増)、商業地が9.0%上昇(同2.1ポイント増)と、いずれの用途でも11年連続で上昇しています。地方四市を除くその他の地域においては、全用途平均が30年続いた下落から横ばいに転じ、住宅地は0.2%下落(同0.3ポイント増)したものの下落率は縮小し、商業地は0.1%上昇(同0.6ポイント増)と32年ぶりに上昇に転じました。

景気回復とともに地価が回復、全国商業地の50%で上昇

 コロナ禍の影響で弱含んでいた地価は、景気の緩やかな回復とともに三大都市圏を中心に上昇率が拡大し、地方圏においても住宅地・商業地ともに平均で上昇に転じるなど、地価の回復傾向が全国的に進みました。

 用途別の詳細を見ると、住宅地では、需要が堅調な三大都市圏を中心に地価上昇が継続しています。圏域別に見ると、東京圏では2.6%上昇(同1.4ポイント増)、名古屋圏では2.2%上昇(同0.6ポイント増)とどちらも3年連続で上昇、大阪圏では1.1%上昇(同0.7ポイント増)と2年連続で上昇しました。

 また、生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大しています。特に、地方四市の中心部の地価上昇に伴い需要が波及した周辺の市等では、高い上昇率となっています。

 商業地については、全国の調査地点のうち、50.1%で地価が上昇しました。都市部を中心に店舗需要が回復し、オフィス需要も堅調に推移したことで地価の回復傾向が進むとともに、インバウンドを含めた観光客の回復により、多くの観光地で地価が上昇したことなどが要因と見られています。また、再開発事業等が進展している地域では、利便性・繁華性向上への期待感から地価上昇傾向が見られたほか、都市中心部ではマンション需要との競合により高い上昇となった地点が見られます。圏域別では、東京圏では4.3%上昇(同2.3ポイント増)と11年連続、名古屋圏では3.4%上昇(同1.1ポイント増)と3年連続、大阪圏では3.6%上昇(同2.1ポイント増)と2年連続で上昇しました。

都道府県別地価変動率(住宅地)

国土交通省 令和5年都道府県地価調査