閉じる

ニュース&レポート

林野庁 2023年度補正予算が11月29日に成立 木材産業国際競争力強化や花粉症対策に1,401億円

木材産業の国際競争力強化で木材輸出拡大

 一般会計の総額が13兆1992億円となる2023年度補正予算が11月29日、参議院本会議で可決、成立しました。「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の財政的な裏付けとなるもので、同対策の実行を通じて、物価高、成長力強化、持続的な賃上げ、国民の安全・安心などにおける課題解決が図られます。このうち林野庁では、2023年度補正予算として1,401億円が計上され、重点事項として、林業・木材産業国際競争力強化総合対策、花粉症解決に向けた緊急総合対策、森林整備事業、治山事業などが挙げられています。

 林業・木材産業国際競争力強化総合対策には458億円が計上され、林業・木材産業の国際競争力の強化や国内需要の拡大を図るため、林業・木材産業の体質強化に向けた取り組み等を総合的に支援するとしています。具体的には、林業・木材産業の生産基盤強化に向けて、路網整備、高性能林業機械の導入、搬出間伐の実施、再造林の低コスト化等が支援されます。

 建築用木材供給・利用の強化については、JAS構造材の建築物への利用実証・普及、CLTを用いた中高層・非住宅建築物の実証、外構部の木質化の推進等に対して支援がなされます。更に、木材需要の創出・輸出力の強化については、輸出先国のニーズや規格・基準に対応した製品・技術開発や性能検証などが支援されるほか、林業の担い手育成・確保に向けて新規就業者への体系的な研修等が支援されます。

 本対策では、国産材の供給・利用量を2021年度の3,400万㎥から2030年度までに4,200万㎥に増加させる計画です。

林業木材産業国際競争力強化総合対策

花粉症対策初期集中対応パッケージを実行

 花粉の少ない森林への転換促進緊急総合対策には60億円が充てられ、「花粉症対策初期集中パッケージ」の着実な実行に向けて、スギ人工林の伐採・植え替え等の加速化やスギ材需要の拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大、林業の生産性向上及び労働力の確保等の総合的な対策を緊急に支援するとしています。

 スギ人工林の伐採・植え替え等の加速化については、伐採重点区域を設定した上で、路網整備や伐採・植え替えの一貫作業、森林所有者への働きかけ支援による意欲ある林業経営体への森林の集約化が支援されます。スギ材需要の拡大に向けた取り組みとしては、住宅分野におけるスギJAS構造材等の利用促進、集成材工場や保管施設等の整備、建築物へのスギ材利用の機運情勢を支援する方針です。また、花粉の少ない苗木の生産拡大に向けて、官民連携による苗木増産体制の強化、苗木大量増産技術の開発、花粉の少ない苗木の広域流通を支援すると述べています。

 本対策では、政策目標としてスギ花粉の発生量削減を掲げ、2020年度比で2033年度までに約2割、2053年度までに5割削減する計画です。

治山・森林整備で防災・減災を推進

 防災、減災、国土強靭化の推進にも手厚く予算が計上され、治山施設の設置等による対策に268億円、森林整備による対策に172億円がそれぞれ充てられています。

 治山施設の設置等については、豪雨・地震等に起因する山地災害から国民の生命・財産を守るため、山地災害危険地区や氾濫した河川上流域等において、流木・土石流・山腹崩壊の抑制対策等が推進されます。

 また、森林整備においては、森林の防災・保水機能を適切に発揮するため、道路など重要なインフラ施設周辺や氾濫した河川上流域等での間伐、再造林、幹線となる林道の開設・改良等の対策が推進されます。

林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/R5hosei.html