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ナイス㈱ 本社ビル外装木質化工事を実施 スギの外装材としての可能性を提案
ナイス㈱はこの度、本社ビル外装木質化工事を実施しました。昨年の本社ビル内装木質化工事に引き続き、同工事では国産材の利用促進に加え、スギの外装材としての需要創造に向けた実証物件として活用する方針です。同工事に使用したオリジナル商品の詳細や特長についてご紹介します。
スギの特長を生かした外装木質化工事
同工事は、既存の非住宅建築物において国産のスギを用いた外装木質化を推進することで、スギの新たな需要を創造するべく実施しました。
工事に当たっては、丸太一本から材を余すことなく使用しているため、節がある材やそうでない材が混在しており、無垢材ならではの意匠性と風合いを感じさせる外装としています(図1)。
外装材として主に使用している「ObiRED®+Gywood®+AZN」は、防腐・防蟻性能のほか、耐候性や強度を向上させたオリジナル商品となります。
外壁約70㎡に「凸凹Gywood」を採用
エントランス横の約70㎡の外壁には、スギ材にオリジナルの特殊表層圧密技術を施した「凸凹Gywood」を使用しています。同技術は、スギならではの特長である硬くて年輪が濃い冬目(晩材)と柔らかく年輪が薄い夏目(早材)の密度差を生かして2枚のスギ材を重ねて圧密することで、夏目の部分は凹み、冬目の部分は浮かび上がり、「浮造り」を超える凸凹感に仕上がります。時間帯による表情の変化や一つひとつ異なるデザインなど、無垢材ならではの優美さと意匠性を兼ね備えた外装となり、特に、ライトアップされることで木目の美しい陰影がより一層引き立ちます(図2)。
施工方法については、既存の外壁の御影石に製作金物を取り付け、下地材となる胴縁を打って木材を取り付けるカバー工法を採用しており、部分的に取り外しが可能となっています(図3)。
デッキ部分には「ObiRED®+Gywood®+AZN」を無塗装のままに、柱の部分には塗装したものを施工しており、塗装の有無による経年変化を比較できるよう工夫がなされました。また、3段になっている雁行部には、「Gywood®」のフローリング加工板を貼り、それぞれ異なる塗装を行うことで比較ができる仕上げとしています。
実証物件として本社ビルを活用
紫外線や汚れによる経年変化の影響を受けやすい外装材は木質化事例が少ないことを踏まえ、脱プラ・木質化R&Dセンターでは、本社ビルにおいて様々な塗料を用いた経年変化の経過観察に加え、木材の変色やメンテナンス管理に関する検証を実施し、アフターメンテナンスに必要なエビデンスの蓄積に取り組みます。また、木質化によって既存ビルのバリューアップを図り、木の街並みを創出するとともに、付加価値の高い商品開発によってスギの固定概念を払拭し、外装材における新たな需要創造を目指していきます。