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(一財)建設経済研究所 建設経済モデルによる建設投資の見通し 社会経済活動の正常化による堅調な投資を予測
住宅の高付加価値化で投資額微増
(一財)建設経済研究所及び(一財)経済調査会は10月20日、2023年度・2024年度の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」を公表しました。同レポートは、需要動向や金利、景気の動向などを踏まえて、年度別・四半期別の建設経済の予測を示すものです。
これによると、2023年度の建設投資については、前年度比3.9%増の71兆4,800億円となる見通しを示しました(図)。社会経済活動の正常化が進み、全体で見れば政府分野、民間分野ともに堅調な投資が予測される一方で、建設コストの高止まりや金利上昇に対する懸念は拭えず、先行きには十分注意する必要があるとしています。このうち、政府分野投資は同4.8%増の23兆4,200億円、民間住宅投資は同2.1%増の17兆2,700億円、民間非住宅建設投資は同2.5%増の19兆1,500億円と予測しています。民間住宅投資については、着工戸数が減少する一方で、住宅の高付加価値化や建設コストの上昇などにより、投資額は名目値・実質値ベースともに前年度比で微増と予測しています。また、民間非住宅建設投資については、企業の設備投資意欲は堅調なものの、足元の着工床面積は前年度比で減少しているなど、建設工事に対する投資には慎重姿勢が見られ、名目値ベースでは前年度比で微増、実質値ベースでは前年度と同水準と予測しています。 2024年度の建設投資については、民間企業の積極的な設備投資や賃上げが期待されることから、同1.1%増の72兆2,400億円と予測しています。このうち、政府分野投資は同0.2%増の23兆4,700億円、民間住宅投資は同1.4%増の17兆5,200億円、民間非住宅建設投資は同0.4%増の19兆2,300億円と予測しています。
2024年度は消費者心理が一巡し、着工戸数増加と予測
住宅着工戸数については、2023年度が同2.4%減の84.0万戸となる見通しを示しました。足元の着工戸数が弱含んでいることに加え、昨年度から引き続き、建設コスト高止まりや住宅ローン金利上昇に対する懸念等のマイナス要因が影響し、着工戸数は前年度比で微減すると予測しています。このうち、持ち家着工戸数については、足元の着工戸数が近年で最低水準にあり、今後の回復材料も見当たらないため、同3.6%減の23.9万戸と予測しています。また、分譲住宅着工戸数についても同5.4%減の24.6万戸と予測しています。戸建ての着工戸数は前年度比で微減と予測するものの、直近10年程度の期間で見ると比較的堅調に推移している一方で、マンションの着工戸数は近年で最低水準にあり、マンションの減少を戸建てで吸収できるとは想定されず、分譲全体では前年度比で減少すると予測しています。2024年度については、建設コスト高止まりによる消費者心理への影響が一巡し、前年度の反動を受けると想定して、同0.6%増の84.5万戸と予測しています。