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政府 2024年度予算概算要求 過去最大規模の114兆円に 脱炭素社会の実現に向けた省エネ対策の取り組みを強化

 財務省は9月5日、2024年度一般会計予算の概算要求額が114兆3,852億円となったことを発表しました。これは、2022年度の111兆6,559億円を上回り、過去最高額となりました。

 重要政策推進枠として構造的賃上げの実現や少子化対策・こども政策の強化を図るとしています。

 

国土交通省 「2024年問題」の解決に向けた物流の革新へ

 国土交通省の2024年度予算概算要求額は7兆389億円(前年度当初予算比1.19倍)となり、施策の重点事項として、①国民の安全・安心の確保、②持続的な経済成長の実現、③個性をいかした地域づくりと分散型国づくりが掲げられています。

 このうち②では、「2024年問題」の解決などに向けた物流の革新、持続可能な建設業の実現と、脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進などが示されました。

 「2024年問題」では、ドライバー不足やカーボンニュートラルへの対応といった課題を抱えていることを背景に、10月1日に「物流・自動車局」を設置する予定となっています。同局の関係予算については873億81百万円(同1.30倍)が計上されており、2024年問題等の課題への対応を万全にし、サプライチェーン全体の最適化やモーダルシフト・自動化・電動化などを一層強力に推進するとしています。また、同課題の解決等に向け、6月2日に「物流革新に向けた政策パッケージ」が取りまとめられており、同パッケージには、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」の三つの柱に基づき、抜本的・総合的な対策が盛り込まれています。「商慣行の見直し」に1億70百万円が新規計上されているほか、「物流の効率化、荷主・消費者の行動変容」については35億48百万円(同23.30倍)と大幅に増額されました。

>国土交通省 令和5年度国土交通省予算概算要求概要

住宅・建築物の省エネ化等を推進

 GXについては、カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の省エネ化や木材利用の促進を図るとしており、ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化として1,225億円(同1.25倍)が計上されました。具体的には、LCCM住宅、ZEH、ZEB、長期優良住宅の整備の推進や既存ストックの省エネ改修への支援等の強化を図るほか、地域の中小工務店等の連携体制による省エネ性能等に優れた木造住宅の整備等への支援などが挙げられています。

経済産業省 高効率給湯器導入の促進を図る

 経済産業省の予算概算要求額は2兆4,615億円(同1.46倍)となりました。このうち、GXの実現とエネルギー安定供給の確保に1兆6,241億円を要求しています。工場などにおける省エネ性能の高い設備への更新支援や、中小企業向けの省エネ診断等を通じて、産業・業務部門の省エネを推進するとともに、高効率給湯器の導入を含めた住宅の省エネ改修などを支援し、エネルギーコスト高に強い社会の構築につなげるとしています。具体的には、「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」に新規で314億円を計上しています。

>経済産業省 令和6年度概算要求・税制改正要望について

環境省 「デコ活」による脱炭素化社会の実現を推進

 環境省の予算概算要求額は7,875億円(同1.19倍)となりました。同省では、2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル転換を強力に後押しするため、「デコ活※」の推進に取り組んでいます。「デコ活」を広く普及・浸透させるべく、カーボンニュートラルをはじめとした豊かな暮らしに関する予算を「デコ活関係予算」として取りまとめており、一般会計とエネルギー対策特別会計の合計で2,830億円が計上されました。

 このうち、エネルギー対策特別会計として、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援」に1,170億円を要求したほか、「住宅のZEH・省CO2化促進事業」に124億円、「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」に150億円が盛り込まれています。

>環境省 令和6年度概算要求書について

林野庁 スギ人工林の伐採・植え替えなど花粉症対策を加速化

 林野庁は、2024年度の予算概算要求額として3,557億円(同1.16倍)を計上しました。新たな花粉症対策の展開と森林・林業・木材産業によるグリーン成長を重点項目に掲げ、「花粉削減・グリーン成長総合対策」として222億円、「森林整備事業」として1,500億円、「治山事業」として746億円が計上されました。

 このうち、「花粉削減・グリーン成長総合対策」では、30年後の花粉発生量の半減に向けてスギ人工林の伐採・植え替え等の花粉発生源対策に加え、カーボンニュートラル等の実現に向けて、川上から川下までの森林・林業・木材産業政策を総合的に支援する交付金を創設するなどの取り組みを推進する方針です。また、新たな花粉症対策の展開として、森林所有者への協力金を通じた伐採・植え替えの促進、横架材のスギ材への置き換えに関する集成材工場の整備、スギ花粉の飛散防止剤の早期実用化などの取り組みの支援等が挙げられています。

>林野庁 令和6年度林野庁予算概算要求の概要

※デコ活...脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動。Decarbonization(脱炭素)とエコを組み合わせた造語