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国土交通省 改正建築物省エネ法に基づく再エネ促進区域制度 促進計画の作成ガイドライン案を公表
市町村による再エネ促進区域制度の円滑な活用へ
国土交通省はこの度、「建築物省エネ法に基づく『建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度』促進計画の作成ガイドライン(仮称)案」を公表しました。同制度は、地域によって条件が異なる再生可能エネルギーについて、地域の実情を踏まえた建築物分野における利用拡大を図るため、2022年6月に公布された改正建築物省エネ法に基づき新たに制定されたものです。市町村は、建築物への再生可能エネルギー利用設備設置の促進に関する計画(以下、促進計画)を定めることにより、促進区域において再生可能エネルギー利用設備(以下、再エネ利用設備)の設置促進につながる措置を講じることが可能となります。
今回公表されたガイドライン案は、同制度の概要や促進計画について説明した「解説編」、促進計画の具体的な作成手順等を説明した「実務編」、説明義務制度に関連する文書のひな形等を記載した「附属資料」及び「参考情報」によって構成されています。
形態規制の特例許可の対象となるメリット
このうち、「解説編」では、同制度の活用により適用される措置について説明がなされています。
市町村には、促進区域内の建築物への再エネ利用設備設置を促進するため、建築主に対して、再エネ利用設備の設置について情報提供や助言、そのほかの設備の動機付けとなる支援に努めることが求められます。また、促進区域内において、建築主は建築物への再エネ利用設備の設置に努めることが求められます。
更に、促進計画に適合して再エネ利用設備を設置する建築物については、形態規制の特例許可の対象となります。具体的には、高さ制限や容積率制限、建蔽率制限について特例が認められることにより、再エネ利用設備の設置を断念、あるいは設備規模を縮小していた建築物について、より設置がしやすくなるといった効果が期待されます(図)。
建築士から建築主への説明が義務化
建築士は、促進区域内において市町村の条例で定める用途・規模の建築物について設計の委託を受けた場合には、建築主から説明を要しない旨の意思表明があった場合を除き、当該建築物へ設置することができる再エネ利用設備に関する一定の事項について、建築主に対して説明しなければならないこととされています。
説明内容としては、建築物に設置することができる再エネ利用設備の種類(例:太陽光発電設備)や規模(例:太陽光発電設備のシステム容量)と定める予定としています。加えて、設備導入の意義やメリット、設置によって生じる費用等について、建築主が建築士から情報提供を受けることで、設備の設置が促進されると考えられます。これらの事項については、説明に関する建築士の負担等を考慮し、予め市町村が一般的な情報を元に情報提供用のリーフレットを作成・提供することとしており、本ガイドライン案の附属資料として、説明義務制度に用いるリーフレットのひな形が紹介されています。
同省では、本ガイドライン案について、7月20日を期日としてパブリックコメントを募集しています。