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ニュース&レポート

ナイスグループ オリジナル金物工法「パワービルド工法」 高い構造信頼性で4号特例縮小にも対応

 ナイスグループオリジナル金物工法「パワービルド工法」は、高性能金物による接合、立体解析と許容応力度計算による専用CADなどにより、高い構造信頼性を実現するほか、4号特例制度縮小をはじめとする法改正にもスムーズな対応が可能な工法です。今回は、同工法の特長を中心にご紹介します。

三つの要素で構成される高強度・高耐久の構造躯体

パワービルド工法の三つの要素

パワービルド工法の基本となる高性能金物

 パワービルド工法による構造躯体は、オリジナル接合用金物、構造用集成材、構造用耐力面材の三つの要素で構成され、優れた強度、耐久性を発揮します(図1)。

 従来の木造軸組工法は、接合部に大きな負荷がかかることにより、ゆがみや変形が生じるリスクがありましたが、同工法では、その接合部にオリジナル接合用金物を取り付けることによって剛性を強化しています。この接合用金物は、精密な鋳造品などに用いられるロストワックス製法によって一体成形型で製作されており、硬さや耐久性、粘り強さに優れています(図1-①)。この特長を生かして、車両部品や原子力部品、高圧バルブなど、精密で高い耐久性が求められる部品として多く使用されています。また、全ての金物にジオメットと呼ばれる耐食性の高い特殊な処理を施すことで、高い防錆性能を有しています。

点と面で支えるモノコック構造

 柱や梁などの構造部には、厳格なJAS(日本農林規格)をクリアした構造用集成材を用いています(図1-②)。接着性能、強度性能、ホルムアルデヒド放散の項目がJASの基準に適合しているほか、木材の節や割れなどを除去した上で接着しており、安定した強度と品質を確保しています。

 加えて、高い強度が必要とされる車や飛行機などに用いられるモノコック構造を採用しています。柱、梁、土台を構造用耐力面材で一体化し、一つの箱型に仕上げることで、建物にかかる力を全体に分散し、外力に対して効果的に抵抗する構造です(図1-③)。構造用面材を土台と梁に直接取り付ける剛床構造で、水平力をバランス良く分散し、地震や台風による揺れから建物を守ります。

 構造用集成材については、曲げの剛性について測定検査することによって強度を担保しているほか、実際に接合用金物と集成材を接合したもので接合強度の実験も行い、耐力構造の安全性を確認しています(図2左:曲げ剛性の確認、右:接合強度実験)。

ボルト・ナット不要で長期にわたり性能を維持

 同工法では、それぞれの部位に合わせた接合用金物を取り付けた上で、ドリフトピンを打ち込むことで確実に施工できます(図3)。ボルトやナットを使用しないため、経年によって接合部にゆるみが生じる可能性が少なく、長期にわたって新築時の性能が維持されます。

強度実験図3確実な施工

 また、ドリフトピンを打ち込むだけで施工できるため、従来の木造軸組工法のような熟練技術を必要とせず、施工品質が均一化されます。施工が容易なため、躯体の建て方から屋根工事、外部工事まで早く施工することが可能で、室内を雨にさらしてしまうリスクを軽減することにもつながります。更に、工期の短縮化によって工事費が抑制できるほか、建設現場における働き方改革が求められる2024年問題(4面にて詳報)への対策にも適しています。

専用CADによる構造設計と精密なプレカット加工の連動

専用CADによる構造設計で強度をチェック

 パワービルド工法では、法律で定められた壁量計算や四分割法などの仕様規定での構造設計のほか、より高度で多角的な「許容応力度計算+立体解析」を行う専用CADによる構造計算に対応しています。これにより、構造的に負荷がかかるほぼ全ての部位の強度を確認し、緻密にチェックすることができます(図4)。例えば、基礎については、地震などの水平荷重に対して最適な基礎構造になっているかを確認し、強度を高めているほか、梁については、たわみ量や曲げ強度などの設計基準を設定しています。

 また、専用CADでは、地震、台風、豪雪などの災害の際、建物にどのような力が加わるのかを計算し、その力に建物が耐えられるかどうかを詳細に検証しています。建てられる地域や間取りによって条件が異なるため、邸別に地域特有の環境や自然条件などを設計条件として設定した上で、最適な部材、バランスで構造計算を行っています。

データ一元化で構造設計、プレカット、施工が整合

 専用CADにより安全性を確認した図面のデータは、そのままプレカット加工データとなり、自社のプレカット工場で正確に加工され、全国を網羅する物流機能を通じてジャストインタイムで建設現場へ納材されます(図5)。データを一元管理することによって、構造設計、プレカット加工、施工現場の食い違いが起きず、全ての段階で確実にチェックすることが可能です。また、施工現場での部材不足や寸法の誤りなどを防ぎ、施工性の更なる向上にもつながります。

実大震動実験による高耐震性の実証

 パワービルド工法の耐震性能を検証するため、(一財)建材試験センターが主催する「木質構造建築物の振動研究会」において、専門家の立ち会いのもと実大震動実験が行われました(図6)。その結果、阪神・淡路大震災の1.25倍の振動でも倒壊しない、十分な耐震性能を発揮することが実証されました。実験後の検証においては、接合金物の変形や損傷も見られず、その高い強度と安全性が証明されました。

各部位の強度等を緻密にチェック

 また、接合用金物の耐力と専用CADによる構造計算方法が妥当なものである証明として、(一財)日本建築センターから一般評定を取得しており、公的な第三者機関から認められた信頼性の高い工法となっています。

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