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ニュース&レポート

ナイスグループ TCFD提言に基づく開示情報

気候変動に関する考え方

 ナイスグループは、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識し、木材の流通をルーツとする企業として、国内の豊富な森林資源の循環利用によって課題解決に貢献すべく、住宅・建築物の木造化・木質化の推進等を通じて木材の利用促進を図っています。併せて、住宅・建築物の省エネ化・ゼロエネ化に資する環境配慮型商品やサービスの提供により、温室効果ガス排出量の削減に貢献するなど、事業活動による気候変動対策を推進しています。

 こうした活動を更に推進するべく、TCFD提言への賛同を表明し、同提言に基づく「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について情報開示を行いました。

TCFD提言が求める推奨開示事項

①ガバナンス

 ナイスグループは、人と環境に優しい自然素材である「木」の普及と、地震に強い構造の住まいづくり及び健康で快適な居住空間づくりを推進しています。これらの活動を通じて、環境問題や地域社会・経済における課題解決に取り組むことで、会社の持続的な成長の実現及び更なる企業価値の向上を目指しています。

 このような方針のもと、当社の取締役会は気候変動を含むサステナビリティに関するリスク及び機会について監督を行うこととしています。今後、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会において検討を行った気候変動リスク及び機会について、必要に応じて審議を行い、重要事項を決定していきます。

②戦略

 IPCCが第6次評価報告書における第1作業部会報告書で公表しているシナリオのうち、2℃未満シナリオとして「SSP1-1.9」、4℃シナリオとして「SSP5-8.5」をベースシナリオとして選択し、2030年におけるストーリーを想定しました(図3)。その上で、建材・住宅設備機器の流通、木材流通、住宅の3分野における2030年の気候変動の影響について、シナリオ分析を実施しました(図4)。2℃未満シナリオについては、企業活動に伴う温室効果ガスの排出量に応じて税金を課す炭素税の導入や、エネルギー価格の上昇が主なリスクになると認識しました。一方で、ZEHの普及に伴う省エネや創エネに資する建材・設備機器の需要や、木材需要の増加、既存住宅流通市場の活性化など、リスクを上回る事業拡大の機会が発生することを見込んでいます。

想定した2030年のストーリー

当社の3分野における主要な気候変動リスク及び機会

 シナリオ分析で抽出された気候変動リスク及び機会は、顕在化時期、事業への関連度合い、影響度の観点で評価を実施しました。

③リスク管理

 サステナビリティ委員会委員から報告された各部署の気候変動に関するリスクと機会について、同委員会が当社の事業や財務状態に対する影響を検討し、その重大性の評価を実施します。また、評価したリスクの最小化と機会の獲得に向けた施策を策定するほか、その施策に関わる各部署の実施状況について報告を受け、実施状況の監督を行います。

 なお、同委員会において検討されたリスクや機会及びそれらに対する施策のうち、重要事項は取締役会に報告します。

④指標と目標

 2022年3月期における当社グループの温室効果ガスの排出量のうち、Scope1及びScope2の合計は11,518t-CO2となりました。今後、徹底した省エネ活動と再エネの積極的な利用により、Scope1及びScope2については2022年比で36%削減することで、2026年に社有林の二酸化炭素吸収量を踏まえた、自社のカーボンニュートラルの達成を目指しています。

 Scope3については、主要なカテゴリーにおける排出量を算定し、2022年は合計で413,946t-CO2となりました。一方で、2022年の「削減貢献量」は概算で25万t-CO2となっています。今後、Scope3の削減と、「削減貢献量」の更なる創出に向けて取り組みます。

TCFD提言への今後の対応

 当社は今後、気候関連リスク及び機会の継続した審議検討や、リスクへの対応及び機会の獲得に向けた各施策の達成状況のモニタリング等を実施していきます。これらの取り組みを通じて、気候変動に対するガバナンス及びリスク管理体制の強化を図るとともに、同提言に基づいたステークホルダーへの情報開示の充実に努めてまいります。

>ナイスグループ TCFD提言に基づく開示情報

※ 「SSP1-1.9」は、持続可能な発展のもとで気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ。「SSP5-8.5」は、化石燃料依存型の発展のもとで、気候政策を導入しない最大排出量シナリオ。