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ニュース&レポート

ナイスグループ 2022年度 木造建設事例のご紹介 木材利用の促進に向けて木造・木質化を推進

 「都市(まち)の木造化推進法」が2021年10月に施行され、木材利用促進の対象が民間建築物を含めた建築物一般に拡大されました。一方、非住宅建築物における木造率はいまだ1割未満と低い水準にあり、この分野における更なる木材利用促進が求められます。今回は、2022年度にナイスグループが携わった木造・木質化の事例をご紹介します。

多様な無垢材による内外装の木質化

 「Rita School」は、延べ床面積340.39㎡の木造2階建てで、真言宗大覚寺派の寺院である宝蔵院様が運営する認可外保育園です。同園では、オーガニックな食材を使用した給食や自然との触れ合いによって、心と身体を健やかに育むことが目指されていることから、建物には自然素材である木材が多く使用されています。このうち、内外装材には、国産の無垢材を用いた当社オリジナル商品を提案し、随所に使用されています。床やデッキ、バルコニーなどには、宮崎県産飫肥杉による「ObiRED®」が使用されています(図1)。同商品は飫肥杉の赤身材のみを用いているため、色調が統一されているほか、飫肥杉特有の豊富な抽出成分によって高い耐久性を有しています。また、1階のトイレや2階の一部の床には、スギの表層部を特に高密度化した「Gywood®」が用いられています(図2)。スギ本来の長所である柔らかさや軽さを生かしつつ、表面の強度を高めたハイブリッドな無垢材で、滑らかな肌触りも特長の一つです。

正八角形の大空間を実現

 同園において最も象徴的な保育スペースは、最大スパン11mの集成梁を中心に構成される正八角形の大空間です(図3)。梁までの高さは約6mで、これを柱で支えるためには柱の小径を200㎜以上とする必要があります。そこで、点検用に設けられたキャットウォークに水平ブレースを設置することで、一般的な2階の床と同等の剛性を確保し、柱の小径を抑える構造となっています(図4)。また、敷地の勾配に合わせ、空間の中に段差を設けるスキップフロアを採用しています(図5)。床レベルに差がある場合、地震力を耐力壁にうまく伝達できないことがあるため、水平構面をいかに確保するかが重要なポイントとなります。そのため、段差部分で空間を区分してそれぞれ壁量計算を行い、バランスよく耐力壁を配置することで構造安全性を確保しています。

木造・木質化の更なる推進

 当社では、4月1日付で組織再編を行い、木造建設事業部を木材特建事業部へ改称し、新たに木質化推進室を創設しました。従来から取り組んでいる非住宅の木造化に加えて、建築物や家具等、多岐にわたる空間の木質化を積極的に提案していく方針です。本物件では、木造としての構造提案から木材調達、プレカット加工、元請け施工に至るまで一貫して建築に携わったほか、内外装には当社のオリジナル商品をふんだんに提案、採用されており、当社の木造・木質化の更なる推進に向けた取り組みを具現化した物件となっています。