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環境省・(国研)国立環境研究所 2021年度温室効果ガス排出・吸収量(確報値) 総排出量は2013年度比で16.9%減の11.7億トン
8年ぶりに温室効果ガス排出量が増加
環境省と(国研)国立環境研究所は4月21日、2021年度の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)を公表しました。これによると、2021年度の総排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で11億7,000万トンとなり、新型コロナウイルス感染症で落ち込んでいた経済の回復等によるエネルギー消費量の増加を要因として、前年度から2.0%(2,320万トン)増加しました(図1)。しかし、2019年度からは3.4%(4,000万トン)減少しており、2030年度目標の達成及び2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みについては一定の進捗が見られるとしています。
2021年度の主な部門別のCO2排出量は、工場等の「産業部門」が前年度比5.4%増の3億7,300万トン、自動車等の「運輸部門」が同0.8%増の1億8,500万トン、商業やサービス、事務所等の「業務その他部門」が同3.3%増の1億9,000万トンとそれぞれ増加した一方で、「家庭部門」については同6.3%減の1億5,600万トンとなりました。減少の要因として、新型コロナウイルス感染症による外出自粛が緩和された影響で在宅時間が減少したことに伴い、電力等のエネルギー消費量も減少したとしています。
森林等による吸収量は4年ぶりに増加
森林等の吸収源対策による吸収量の推移は前年度比3.6%増の4,760万トンとなり、4年ぶりに増加に転じました(図2)。吸収量の増加の主な要因として、森林整備の着実な実施や木材利用の推進等が挙げられました。2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減する目標に対して、2021年度の総排出量から吸収源対策による吸収量を差し引いた正味の排出量は、2013年度比で20.3%減となりました。
そのほか、今回の国連への報告において、ブルーカーボン生態系の一つであるマングローブ林による吸収量2,300トンを新規計上しています。今後は、2013年に作成されたIPCC湿地ガイドラインも踏まえ、マングローブ林をはじめとするブルーカーボン生態系の排出・吸収量の算定及び計上に向けた検討を進めるとしています。