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ニュース&レポート

国土交通省 「第6次国土利用計画(全国計画)」の素案 持続可能で自然と共生した国土利用を目指す

人口減少、少子高齢化を踏まえた基本方針

 国土交通省は4月14日、国土審議会第18回計画部会を開き、「第6次国土利用計画(全国計画)」の素案を示しました。国土利用計画は、公共の福祉の優先、自然環境の保全が図られた国土の有効利用を図ることを目的として、国土の利用に関する基本構想、国土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標などについて定めるもので、2015年8月以来の策定となります。

 第6次国土利用計画では、人口減少や少子高齢化の加速化等を背景とした国土の管理水準の悪化など、国土の利用・管理を巡る基本的条件の変化と課題を踏まえ、「地域全体の利益を実現する最適な国土利用・管理」「土地本来の災害リスクを踏まえた賢い国土利用・管理」「健全な生態系の確保により繋がる国土利用・管理」の三つを基本方針として掲げています。

住宅地は既存の土地を有効活用

 利用区分別のうち、住宅地における基本方向として、「災害リスクの高い地域における整備の適切な制限」「低未利用土地の活用、空き家の活用及び除却の推進」「農用地や森林など自然的土地利用からの転換を抑制した上での必要な用地の確保」「太陽光発電設備による再生可能エネルギーの導入拡大」などが示されました。利用目的に応じた規模の目標としては、住宅地面積が増加傾向にある一方で、総世帯数の減少が予想されていることから、空き家の発生抑制や他用途への変更を含めた利活用等を進めることなどを踏まえ、2033年の面積目標は2020年と同程度の120万haとする案が示されました(図1)。

住宅地面積の推移と計画目標グラフ

 また、森林については、面積が近年横ばい傾向にあり、今後も国土の保全や水源の涵養に重要な役割を果たす森林の整備・保全を進め、一定量の面積を確保する必要があると述べています。特に、戦後植林された森林が主伐期に入っていることから、国産材の利用拡大等を通じた森林資源の循環利用等を進めるとして、2033年の面積目標は、2020年の2,503万haから2,510万haとする案が示されています(図2)。

森林面積の推移と計画目標グラフ

 同省では今後、素案に対するパブリックコメントや都道府県、政令市からの意見聴取を経て、5月26日に開催予定の「第19回計画部会」において計画原案を取りまとめ、今夏の閣議決定を目指す方針です。

国土交通省HP 国土審議会計画部会

図は国土交通省資料より作成