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林野庁 2021年度における公共建築物の木造率を取りまとめ 地方圏における公共建築物の木造率が大幅に増加
公共建築物の木造率は概ね同水準に
林野庁は3月24日、2021年度における公共建築物の木造率について、試算結果を発表しました。これは、2010年に「公共建築物における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、公共建築物における木造化の進捗状況を把握するため、国土交通省の「建築着工統計」を用いて、公共建築物の床面積ベースでの木造率を試算するものです。これによると、2021年度に着工された建築物全体の木造率は前年度比0.4ポイント減の43.1%と、概ね前年度と同水準となりました(図1)。
このうち、公共建築物の木造率は13.2%(同0.7ポイント減)となりました。建築主別で見ると、国による建築物の木造率は2.2%と、前年度から0.9ポイント増加しました。都道府県は4.3%と前年度と同水準になったほか、市町村は7.2%(同1.5ポイント減)、民間と個人は20.0%(同0.6ポイント減)とそれぞれ減少しました。都道府県別で見ると、福島県が31.0%(同6.4ポイント増)と最も高く、次いで愛媛県が29.9%(同12.2ポイント増)と大幅に上昇したほか、岩手県が29.3%(同11.8ポイント減)となりました。
国による低層建築物の木造率は大幅増
3階建て以下の低層建築物の木造率については、建築物全体で65.0%(同0.8ポイント減)となりました。このうち、公共建築物の木造率は29.4%(同0.3ポイント減)となり、いずれも前年度からほぼ横ばいで推移しています。
公共建築物の木造率を建築主別で見ると、国が12.8%(同5.7ポイント増)、都道府県が10.8%(同0.6ポイント増)といずれも増加した一方で、市町村では15.9%(同1.3ポイント減)、民間と個人では36.5%(同1.9ポイント減)とそれぞれ減少しました。また、都道府県別で見ると、宮城県が最も高く53.3%(同14.6ポイント増)と大幅な増加となり、次いで岐阜県が47.3%(同2.1ポイント減)、秋田県が45.7%(同4.3ポイント減)となりました。
積極的な情報発信を通じて木材利用を推進
2021年10月には同法が改正・名称変更され、通称「都市(まち)の木造化推進法」として施行されました。これにより、新たに策定された国の基本方針では、公共建築物について、コストや技術の面で困難な場合を除き、低層のものに限らず積極的に木造化を促進するとともに、公共建築物のみならず、民間建築物を含む一般の建築物での木材利用を促進するとしています。
政府は引き続き、国の公共建築物における木材利用を推進するとともに、積極的な情報発信等を通じて、地方公共団体や関係団体のほか、民間事業者等と連携し、建築物における更なる木材利用の促進に取り組む方針です。