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(独)住宅金融支援機構 【フラット35】で省エネ基準を要件化 住宅ローンの側面から省エネ性能向上を促進

 2025年の全ての新築建築物における省エネ基準適合義務化を控え、これに対応するべく省エネ対策が待ったなしの状況となっています。今回は、適合義務化を前に、2023年4月より【フラット35】の新築住宅における省エネ基準の要件化をスタートする、(独)住宅金融支援機構の横浜センター長稲葉佳彦氏に同機構の取り組みを伺いました。併せて、住宅の省エネ性能向上に向けたナイスグループのサポートメニューをご紹介します。

住宅金融公庫稲葉氏

法令、税制における住宅省エネ化に向けた動き

―「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、ここ数年で住宅の省エネ化に向けた動きが加速しています。法改正の動きを含め、2025年の省エネ基準適合義務化の背景を教えてください。

稲葉 「2050年カーボンニュートラル」、そして、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減という目標の実現に向け、日本のエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における取り組みが急務となっています。このような背景から、建築物の省エネ対策の抜本的な強化等を目的に、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」が2022年6月に公布されました。これにより、省エネ基準適合義務の対象が拡大され、2025年度以降、原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準の適合が義務付けられます(図1)。更に、2030年度以降新築される住宅・建築物におけるZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保が目指されることとなりました(図2)。また、長期優良住宅の認定基準における省エネ性能のZEH相当の水準への引き上げや、住宅性能表示制度における断熱等性能等級に等級6・7が新設されるなど、住宅における省エネ対策は加速しています。

省エネ基準適合義務の対象拡大

2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み

 また、税制面においても、住宅の省エネ性能向上が図られています。新築住宅の住宅ローン減税について、2024年以降に新築の建築確認を受ける場合、省エネ基準に適合しない住宅は減税の対象外となる予定です(図3)。

住宅ローン減税の概要

【フラット35】省エネ基準適合を要件化

―4月よりスタートする【フラット35】の省エネ基準要件化についてお聞かせください。

稲葉 住宅金融支援機構では、住宅の省エネ性能向上を促進する取り組みの一環として、改正建築物省エネ法や住宅ローン減税の取り組みに先駆けて、2023年4月から【フラット35】における全ての新築住宅で省エネ基準を要件化します(図4)。これにより、【フラット35】Sなどの金利引下げメニューの適用の有無に関わらず、全ての新築住宅において省エネ基準を満たすことが必要になります(図5)。

省エネ基準に関する制度改正スケジュール

 具体的には、2023年4月以降に設計検査申請等を行うものから、省エネ基準への適合が必須となります。

―省エネ基準の要件化に向け、貴機構ではどのような取り組みやサポートを実施されていますか。

稲葉 当機構では、【フラット35】の新築住宅における省エネ基準の要件化を円滑に行うべく、住宅事業者様に対して次の通り、省エネ基準等の情報発信や取組サポートなどを実施しています。

取り組み①

新聞広告、チラシ等による情報発信

 住宅事業者様に対して、【フラット35】の新築住宅における省エネ基準要件化の実施、省エネ基準への適合確認の方法などに関する情報について、新聞広告やチラシ等を通じて幅広くお知らせしています(図6)。

これらは、適合証明検査機関様のご協力もいただきながら、住宅事業者様に対してメールの配信や、直接手渡しで配布するなど、きめ細かく丁寧に実施しています。

チラシによる省エネ基準要件化に関する情報発信 フラット35

チラシによる省エネ基準要件化に関する情報発信 ポイント

取り組み②

省エネルギー基準ポータルサイトによる紹介

 当機構では、省エネルギー基準ポータルサイトをご用意しています。こちらでは、省エネ基準要件化や【フラット35】S等の省エネルギー基準の変更に関連して、ZEHや国が定める住宅の省エネルギー基準等、関連する技術情報をご紹介しています。具体的には、「省エネ基準への適合確認方法」として、2本の解説動画をご確認いただけます。

 一つ目の「導入編」では、省エネ施策に関する国の動き、省エネ住宅の基本知識、そして、省エネ基準の適合を確認する方法について、基礎から分かりやすくご説明しています。二つ目の「省エネ基準への適合確認方法」では、仕様基準で満たす場合と、性能基準で満たす場合のそれぞれに分けて動画をご確認いただけるようにしています。

取り組み③

住宅事業者様向けセミナー等の開催

 当機構では、住宅業界団体様や適合証明検査機関様など、関係機関の皆さまのご協力により、省エネ基準への適合確認の方法等に関する住宅事業者様向けセミナー等を開催しています。

―最後に、住宅事業者様へメッセージをお願いします。

稲葉 当機構では引き続き、住宅ローンの側面から省エネ基準適合性確保をはじめとする住宅の省エネ性能向上を促進するために、様々な取り組みを進めてまいります。

 住宅事業者様に対する省エネ基準等の情報発信や取組サポートなどの活動を通じて、脱炭素社会の実現に向けた一助となるよう、今後も精力的に活動してまいりますので、よろしくお願いいたします。

>機構ホームページ【省エネ基準ポータルサイト】

図1~3は国土交通省資料より作成