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国土交通省 「空き家対策と所有者不明土地等対策の一体的・総合的推進(政策パッケージ)」を報告 空き家と土地の一体活用で地域経済を活性化
空き家等の対策強化が急務に
国土交通省は2月27日、所有者不明土地等に関する諸課題について政府一体で総合的な対策を推進する「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」の第11回会合において、「空き家対策と所有者不明土地等対策の一体的・総合的推進(政策パッケージ)」を報告しました。
空き家と所有者不明土地等は、人口減少や相続の増加等の影響で今後も増加が見込まれ、対策の強化が急務とされています。また、空き家と所有者不明土地等の対策が混在している地域において、地域機能維持や経済活性化を図るためには、両対策の連携を推進することに加えて、部局間連携により、対策の主体である市区町村の業務の円滑化・効率化を図ることが求められます。
こうした中、同政策パッケージでは、空き家対策及び所有者不明土地等対策を一体的・総合的に推進し、空き家・土地の有効活用や適切な管理を図ることで地域経済の活性化につなげるほか、子育て世帯向けの住まいや子供の居場所等として空き家の活用促進が図られます。
空き家・所有者不明土地等の対策を一体化
同政策パッケージでは、「推進の計画・体制」「所有者の探索」「利活用」「適切な管理、除却等」「自治体・所有者への支援」の5段階による対策の推進が示されました(図)。
「推進の計画・体制」では、空き家・土地対策における計画及び協議会の運営連携、「所有者の探索」では、空き家部局と土地部局が相互に情報を共有することで、探索の円滑化が図られます。
また、「利活用」では、空き家・土地の所有者に対して早期活用を促す意識啓発を行うととともに、自治体に空き家・土地に関する一元的相談窓口が設置されます。また、自治体が主体となって運営している空き家や空き地のバンクについても、一体的な整備がなされます。更に、地域一帯で空き家と低未利用土地の重点活用が促進されており、その一例として、点在する複数の空き家と空き地を活用して、温浴施設やレストランといった拠点施設や、子育て支援施設などが整備された取り組みが紹介されています。
「適切な管理、除却等」では、管理不全の空き地・土地について、所有者責務の強化や市区町村による利用の円滑化が目指されます。「自治体・所有者への支援」では、行政・所有者を支援する民間主体を合同指定することで、一気通貫でのサポートが行われます。具体的には、空き家・所有者不明土地等への各支援事業を連携させて、採択・重点配分を行うほか、地方整備局等に自治体向けの一元的相談窓口が設置される予定です。また、空き家と所有者不明土地等の問題に一体で取り組む優良・先進事例の横展開も進められており、実際に民間主体が支援した事例として、隣接する狭小空き家と空き地を一体的に活用し、子育て世帯向けの住宅の建築が誘導された取り組みが示されています。
関係省庁で対策を強化
同会議において、法務省が所有者不明土地等対策を目的とする民法改正や相続土地国庫帰属制度等の施行準備を報告したほか、総務省からは、所有者不明土地対策における住民基本台帳ネットワークサービスの活用推進等が報告されました。また、所有者不明土地問題について、対策推進の工程表が公表され、2024年には国土調査事業10カ年計画の中間見直しが行われる予定です。