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東京都が日本各地の地域材を活用した木材製品の展示商談会を開催 「WOODコレクション(モクコレ)2023」
東京都は、1月31日・2月1日の2日間にわたり、東京ビッグサイト(西1・2ホール)にて日本各地の地域材を活用した木材製品の展示商談会「WOODコレクション(モクコレ)2023」を開催し、6,297人が来場しました。今回は、同展示会の開催概要に加え、ナイス㈱が制作協力した企画展示ブース「五感につながる、WOOD SPACE」の詳細についてご紹介します。
大消費地である東京での各地域材の普及拡大
「WOODコレクション(モクコレ)」は、木材の大消費地である東京と日本各地とが連携し、地域材の利用拡大を図ることを目的に、建材メーカーや什器メーカー、関係団体等、全国の木材に関わる事業者が出展するもので、今年で7回目の開催となります。今回は、「見つける、つなげる、広げる、国産木材との新たな出会い」をテーマに、38都道府県から246事業者が参加し、都道府県ごとにエリア分けされたブースにおいて、日本各地の魅力的な木材製品が展示されました(図1)。
また、BtoB向けの支援策として、求める製品や技術といった来場者のニーズについて事務局が事前にヒアリングした上で、希望に沿った出展者との商談をコーディネートした「特別商談会」が設けられました。ニーズにマッチした出展者から直接提案を受けることが可能となるほか、展示会場を効率的に回ることができるなどのメリットがあり、各来場者によって積極的に活用されました。
木材の利活用を促す企画展示ブース
同展示会では、木材の利活用に関する様々なテーマに沿った企画展示ブースが設けられました(図2)。
ナイス㈱が制作に協力した「五感につながる、WOOD SPACE」では、人の健康に良い影響を与える木材の効能について具体的なデータ・数値を基に紹介しながら、国産材の様々な特性を体感できる空間展示が行われました(3面にて詳報)。
「木塀展示コーナー」では、全国各地の国産材を使用した木塀が一堂に展示されました。倒壊による被害が懸念されるブロック塀の代替として注目の集まる木塀は、国産材の活用や街の景観保全などの観点からも全国的に導入の動きが活発となっています。
また、木材利用の新たな可能性を開拓する革新的な建築物や木質空間を表彰する「ウッドシティTOKYOモデル建築賞」の受賞作品展示コーナーや、「木を活かした社会課題解決」を目指す多様なモノ・コトを表彰する「ウッドデザイン賞2022」の特設コーナーでは、各賞の受賞作品のパネルが展示されました。そのほか、メインステージ及びサブステージでは、学識経験者や業界著名人によるセミナーが開催され、多くの聴講者が訪れました。
一般来場者向けにも充実したコンテンツを展示
同展示会における初の試みとして、一般消費者に向けて、様々なコンテンツを通じて「木のある暮らし・木に囲まれた暮らし・木や森と共生する暮らし」の普及啓発が図られました。
デジタル森林浴「uralaa」では、多摩地域等の森林映像を投影した没入自然空間において、臨場感溢れるVR体験が提供されました。デジタル技術を用い、視覚、聴覚、嗅覚で各地域の自然豊かな森林を感じることができるコンテンツとなりました(図3)。
また、木育をテーマに様々な木材製品に触れて楽しむイベントエリアや、木材を学び、自分の手でオリジナル作品を作ることができるワークショップ、木材製品の物販コーナーなど、木を楽しむ様々な企画が催されました。
企画展示「五感につながる、WOOD SPACE」に制作協力 国産材を用いたオリジナル商品で木質化を提案
木材製品の魅力を五感で体感する空間展示
ナイス㈱が制作協力した東京都の企画展示「五感につながる、WOOD SPACE」は、国産材を使用した木材製品の魅力を、五感で体感できることをテーマとしており、表層圧密材「Gywood®」や大径木高耐久赤身材「ObiRED®」をはじめとする、国産材を用いた当社のオリジナル商品を様々なカテゴリーで展示し、木質化の提案を行いました。
「木材体感エリア」では、様々な比較模型を用いながら、木材の特長の一つである吸音性能や熱伝導率、光の反射率の低さのほか、樹種によって異なる香りなどを来場者の方々に体感していただきました(図4左)。
また、スギの特に表層部を圧密することで、スギ本来の柔らかさと表面の硬さを兼ね備えた「Gywood®」を用いたフロア材を展示し、上部から陶器の皿を落下させる実験も行われました。皿が割れず、床にも傷が付かないなど、衝撃吸収性や傷の付きにくさが証明されました(図4右)。
更に、数種類のデッキ材が展示され、樹種による肌触りや木目の違いなどを体感していただいたほか、リラックス・癒し効果や良い睡眠を促す効果など、木が持つ様々な効能を示すパネルによる解説がなされるなど、あらゆる観点から木材製品の魅力が伝えられました。
北山杉を活用した内装木質化提案
内装については、北山杉を活用した木質化が提案されました。その一つとして、北山杉に「Gywood®」の加工を施し、ヘリンボーン柄に仕上げた内装材が展示されました(図5左)。無垢材の木目の美しさを生かしながら、ヘリンボーン柄に加工することで、壁材や床材などにアクセントを加え、モダンで上質な空間を演出することが可能となります。
また、㈱長谷川萬治商店が開発を手掛ける、木ダボ接合積層材「DLT(Dowel Laminated Timber)」に北山杉を活用した内装材も展示されました(図5右)。「DLT」は、製造時に接着剤や釘を使用せず、木ダボのみで接合する木材100%の積層材です。今回の展示では、北山丸太の意匠性を生かした室内壁として提案されました。
当社では、京都市をはじめとする5者と「建築物等における北山杉の利用促進協定」を締結しており、今後も、北山杉の新たな可能性を広げる活用方法を提案していく予定です。
他社とのコラボでエクステリア・インテリアの木質化
エクステリア、インテリアについては、他社とのコラボレーションによって実現した商品を中心に展示がなされました(図6)。
エクステリアの展示コーナーでは、総合エクステリアメーカーの四国化成工業㈱様と共同で開発した「国産材フェンス」が展示されました。同商品は、高い耐久性を持つ「ObiRED®」と耐風圧強度の高いアルミ製の柱・胴縁を用いた木製フェンスで、高い強度を誇り、建築基準法にも対応しています。モクコレの企画展示においても「木塀展示コーナー」が設けられるなど注目が集まる中、国産材の使用によりカーボンニュートラルに貢献する商品として提案されました。
インテリアの展示コーナーでは、老舗家具メーカーである柏木工㈱様による、「Gywood®」を使用したソファやセンターテーブル、座卓などが紹介されました。スギの大径材によるおおらかで美しい木目が特長で、硬さと軽さを兼ね備えた家具となっています。
そのほか、国産材を用いた会議テーブルやパーティションといったオフィス家具が展示されるなど、住宅、非住宅を問わず、あらゆるシーンにおける木質化提案がなされました。