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ニュース&レポート

『彩りある未来』 の想創(ソウゾウ)に向けて事業活動を推進

杉田社長顔写真

ナイス株式会社 代表取締役社長 杉田 理之

2023年も緩やかな回復基調に期待

 2023年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は皆様よりひとかたならぬご厚誼を賜り、心より厚く御礼申し上げます。

 昨年を顧みますと、3年ぶりの行動制限のない夏休みや10月の全国旅行支援の開始などに伴い、宿泊・飲食サービスやレジャーをはじめとする対面型サービスを中心に需要が持ち直しました。また、企業業績が改善する中、コロナ禍で先送りされてきた投資の再開に加え、デジタル化などに向けた新たな投資計画も増加傾向にあります。こうした個人消費や企業マインドの堅調さに加え、水際対策の緩和に伴うインバウンド需要の増加など、ウィズコロナのもとで経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復を見せました。

 本年は、新型コロナウイルスの感染再拡大や、地政学リスクとそれに伴う資源・エネルギー価格の高騰、歴史的な高インフレの中での主要先進国における金融引き締めなどにより、世界経済の失速が懸念されるものの、昨年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(以下、総合経済対策)の効果や、雇用情勢の改善、賃金上昇の継続、設備投資の増加基調の維持など、内需を中心とする景気の緩やかな回復に期待を寄せているところです。

 住宅業界に目を向けますと、2022年1~10月の新設住宅着工戸数は71.9万戸と前年同期比100.7%で推移し、ほぼ横ばいとなりました。本年についても、資材価格の上昇といった懸念材料はあるものの、総合経済対策において、国土交通省による「こどもエコすまい支援事業」をはじめ、経済産業省及び環境省がそれぞれ住宅の省エネ化を支援する補助制度を創設するなど、住宅需要を後押しすることが期待されます。

工務店様へのサポートを通じて住宅性能の向上に貢献

 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の省エネ性能の見直しが加速しています。昨年には、住宅性能表示制度の省エネ性能について、ZEHレベルの基準となる断熱等性能等級5及び一次エネルギー消費量等級6が新設され、その後更なる上位等級として断熱等性能等級6・7が創設されました。また、2025年度までに全ての新築住宅・建築物において省エネ基準への適合が義務付けられるほか、2030年には、新築についてZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保が目指されています。住宅業界に携わる私たちといたしましては、こうした国の動きに遅れることなく、住宅の省エネ化に向けて着実に対応していくことが喫緊の課題となっています。

 こうした中、当社グループは中期経営計画において、建築資材事業の重点戦略の一つに「木材・建材・住宅設備機器・エネルギー関連商材の供給を通じたZEHの普及」を掲げ、取り組んでおります。具体的には、工務店様のZEHをはじめとした高性能住宅への対応をサポートするべく、ナイスサポートシステムのメニューとして、省エネ・創エネ・蓄エネ・IoTなどをパッケージ化し、工務店様の標準仕様書としてオリジナルカタログを製作してご提供する「戸建て住宅パッケージサービス」をご提供しています。また、昨年7月には、新メニューとして、工務店様のZEHへの取り組みを一気通貫でサポートする「スマとく」の提供を開始しました。これは、省エネ計算や各種申請代行、光熱費・ローンシミュレーション、構造躯体や太陽光発電システム・断熱材の見積もり、エネルギー商材を含む建築資材をトータルにご提案し、工務店様のZEHへの取り組みをワンストップでサポートするメニューです。皆様におかれましては、ぜひこれらのサービスを最大限にご活用いただきたいと思います。

国産材を中心とする木材の利用拡大を図る

 カーボンニュートラルの実現に向け、国は地球温暖化対策計画において、温室効果ガスの2013年度比削減目標46%のうち2.7%については森林吸収でまかなうと目標に掲げており、そのためには森林を適切に管理し、使うことが重要です。

 当社グループでは、全国規模で構築した木材流通サプライチェーンを生かし、国産材をはじめとする木材の利用拡大を推進しております。ウッドショック下においては、長年にわたって培ってきた全国の製材事業者様及び海外メーカー様とのネットワークにより安定的に良質な木材を調達し、また、全国13カ所の木材市場及び16カ所の物流センターを木材のストックヤードとして活用しバッファーを持たせることで、安定供給に努めました。更に、国産材のニーズが高まる中、特定の産地に依存することなく、日本全国から優良木材を調達する「多産地連携システム」を構築しているほか、構造材から羽柄材、内外装材に至るまでの全てを国産材仕様とした家づくりをご提案する「国産材プレミアムパッケージ」の販売を開始するなど、国内における木材流通インフラ企業として、使命感を持って国産材の利用拡大を図っております。

 非住宅分野においても、木造化・木質化の促進に向けて一翼を担うべく、取り組んでおります。当社グループが備え持つ木造建築に関するあらゆる機能を一元化し、木造建築による事業化のご相談から、構造設計、木材調達・加工、そして施工に至るまで、各案件における最適なソリューションをご提案しております。

 当社グループといたしましては、本年も、工務店様の競争力強化に貢献するとともに、ZEHをはじめとした省エネ住宅の普及促進及び国産材を中心とした木材の利用拡大を通じ、SDGs・ESG経営を推進し、脱炭素社会の構築へ貢献するべく取り組んでまいります。

ステートメント「『彩りある未来』を想創(ソウゾウ)します」を策定

 当社グループは100年企業を目指すべく、持続的な成長と企業価値の向上に向けて昨年6月、新たな理念体系を策定いたしました。理念体系の最上位に位置付けられるものとして、新たに「『彩りある未来』を想創(ソウゾウ)します」というステートメント(宣言)を掲げました。これは、当社グループが達成すべき目標として、取引先様やお客様、そして社会など、あらゆるステークホルダーの方々に対して宣言するものです。「想創(ソウゾウ)」という字は、「想像(imagination)」と「創造(creativity)」を一語にした造語で、ここには「人々がそれぞれに思い描く、幸せな『彩りある未来』を心からの想像力で想い、無限の創造力をもって創る」という強い決意を込めております。当社グループといたしましては、今後、このステートメントの実現に向けて事業活動に邁進してまいります。

 また、基本理念には、当社グループの創業の精神である「無信不立(むしんふりゅう)」に基づくものとして、新たに「お客様の絶対的信頼に応える」を掲げました。木材市場をルーツとする当社グループにとって、常に取引先様を想い、皆様からの信頼を得て、そしてその信頼に応え続けることが何よりも重要だと考えております。これからも、当社グループは「無信不立」を信条に、「お客様の絶対的信頼に応える」という基本理念を日々の活動の軸として持ちながら、取引先の皆様とともに『彩りある未来』を想創(ソウゾウ)してまいります。

皆様とともに、向上と飛躍の一年に

 2023年の干支は「癸卯(みずのと・う)」です。「癸」は十干の10番目、最後に当たり、一つの物事の終わりと始まりを意味するほか、「揆る(はかる)」という文字の一部であることから「種子が計ることができるほどの大きさになった状態」を意味するとも言われています。また、「卯」には「跳ね上がる」「飛び出る」という意味があるとされています。この二つの組み合わせである「癸卯」には、「これまでの努力が実り、飛躍を遂げる」といった縁起の良さを表しているとされています。

 当社グループといたしましては、持続可能な企業に向けて成長を続け、本年をパートナーである皆様とともに、「癸卯」を象徴するような向上と飛躍の一年にしてまいりたいと思います。全社一丸となって、取引先様及び関係者の皆様へのより一層のお役立ちを図ってまいりますので、引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。