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国土交通省 改正建築物省エネ法に基づく新たな表示ルールを検討 建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会

建築物の省エネ性能表示の新しいルールを検討

 国土交通省は11月17日、今年6月13日に成立した「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」により、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示制度が強化されたことを受け、新たな表示ルールの検討を行うべく、第1回「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を開催しました。同検討会は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、改正建築物省エネ法に基づく表示制度における表示ルールの検討を行うとともに、制度の施行に向けた環境整備の進め方について検討することを目的に設置されたものです。

 基本的な方向性として、消費者等にとって分かりやすく、販売・賃貸事業者にとって取り組みやすい、フィージブル(実現可能)な省エネ性能表示の仕組みを目指し、検討を進めることとしています。

消費者が理解でき、事業者が取り組みやすい仕組みづくり

 今回実施された第1回検討会では、建築物の省エネ性能の表示ルールについて、①いつ、どこに表示をするか、②何を、どのように表示するかの順で、現状・課題・今後の方向性などについて有識者らによる議論がなされました。

 まず、①の「いつ表示するか」について、現行の告示では時期を限定しておらず、「どこに表示するか」については、建築物本体や広告・宣伝用物品等、指定した見やすい箇所のいずれかに表示することを求めています。今後、表示の時期・場所を遵守すべき事項として具体的に限定して定めるべきか、あるいは限定せず、現行と同様に取り得る手段を列挙し、そのいずれかによって表示することとするべきかの検討がなされました。

 続いて、②の「何を、どのように表示するか」について、現状は建築物の省エネ性能を全10項目で表示することを遵守事項としています。これらは、省エネ性能に関する情報を正確かつ多角的に表示している一方で、情報量が多く一部の情報には重複感があるという課題が示されました。こうした課題を受け、今後は表示事項を絞ることで視認性・分かりやすさを高めるとともに、詳細を知りたいというニーズにも対応できるよう、必須事項と推奨事項に区別して内容を検討する方針が立てられました。

 また、外皮性能について、現状、非住宅建築物では「誘導基準に適合しているか否か」を表示しているのに対し、住宅では「省エネ基準に適合しているか否か」を表示しています。今後は住宅についても、新たに創設された誘導基準への適否も表示できることとする案が出されました。そのほか、住宅の省エネ性能を消費者に分かりやすく伝えるためのツールとして、省エネ性能を年間の光熱費の目安額に換算した「目安光熱費」を住宅における表示事項の一つに位置付ける案や、既存建築物についても、新築と同様の省エネ性能表示を基本とする方向性等の検討がなされました。

表示制度の施行に向けた環境整備を進める

 今後、12月に実施予定の第2回検討会において、表示制度の施行に向けた環境整備の進め方等について、①販売・賃貸事業者が省エネ性能表示に広く取り組めるよう、施行に向けてどのような環境整備が必要か、②制度の実効性を高めるために施行後の運用ルール等はどうあるべきか等の検討が進められる予定です。その後、2023年2月ごろに実施予定の第3回検討会において、第1・2回検討会の内容を踏まえた具体的な表示ルール案が取りまとめられる予定です。

国土交通省HP