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経済産業省 建築材料等判断基準ワーキンググループ取りまとめ 断熱材の建材トップランナー目標基準値を引き上げ

 経済産業省はこのほど、断熱材の建材トップランナー制度の見直しに関する取りまとめを公表しました。これは、資源エネルギー庁に設置された建築材料等判断基準ワーキンググループにおいて、昨年6月より検討が進められてきたものです。今回は、検討の経緯や対象範囲の見直し、新たな目標基準値等の概要についてご紹介します。

対象はグラスウールと押出法ポリスチレンフォーム

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて策定された「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月閣議決定)においては、2030年以降に新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指し、建材トップランナー制度における基準の強化等の検討を進めるとしています。こうした背景を踏まえ、今年3月に窓(サッシ及び複層ガラス)に関する建材トップランナー制度における目標基準値等が見直されたのに続き、断熱材のトップランナー制度についても同様に審議が行われ、このたび取りまとめられました。

 今回の検討においては、現行の建材トップランナー制度の目標基準値と、トップランナー値(商品化されている製品のうち最も優れている製品の性能値)の比較による性能改善の可能性や、断熱材の種類別の出荷シェアなどを踏まえた議論がなされました。その結果、トップランナー値が目標基準値を大きく下回っているため性能改善が期待でき、かつ出荷シェアが大きいことから、グラスウールと押出法ポリスチレンフォームについて、対象範囲や新たな目標基準値等の見直しがなされました(図1)。

現行の目標基準値とトップランナー値の比較

目標基準値を5~6%程度引き上げ

 グラスウールの対象範囲については、従来、「JIS A 9521:2011(住宅用人造鉱物繊維断熱材)」で規定されるものが対象で、そのうち、密度24㎏/㎥以上のものは対象外となっていました。しかし、住宅の高断熱化により密度24~40㎏/㎥の製品の出荷が増大傾向にあるため、新たに対象に加えることとし、今後は「JIS A 9521:2022(建築用断熱材)」で規定されるもののうち、密度40㎏/㎥以下のものが対象とされます。また、押出法ポリスチレンフォームについても、グラスウールと同じく「JIS A9521:2022(建築用断熱材)」で規定されるものが対象となります。

 目標基準値の見直しについては、①性能改善の実績を踏まえた将来推計の達成に必要なシェア構成と、②2030年の住宅に求められる推定性能値の達成に必要なシェア構成の比較によって検討がなされました(図2)。

トップランナー値及びシェア構成

 この結果、いずれの製品においても②の達成に必要なシェア構成が十分可能であると判断され、②のケースにおける熱伝導率の加重平均値が新たな目標基準値として設定されました。これにより、グラスウールは改善率5.1%の0.03942[W/(m・K)]、押出法ポリスチレンフォームは改善率6.1%の0.03036[W/(m・K)]となりました(図3)。

新たな目標基準値及び改善率

 なお、目標年度については、新たな目標基準値が「2030年の新築戸建住宅の性能別シェア」も参考に算出されていることから、整合性を確保する観点から2030年度に設定されました。

 同省は、今回見直しの対象とならなかったロックウール、硬質ウレタンフォームも含め、概ね3年ごとに性能の改善状況を確認しつつ、可能な限り早期に性能を向上させることが重要であると述べています。

経済産業省HP

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