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(一社)住宅生産団体連合会 2021年度「戸建注文住宅の顧客実態調査」 住宅価格の上昇が継続 太陽光発電やZEHへの関心高まる
(一社)住宅生産団体連合会は9月15日、2021年度の「戸建注文住宅の顧客実態調査」を公表しました。本調査は、一戸建注文住宅の顧客ニーズの変化を把握することを目的としたものです。今回は、本調査結果の概要から、一戸建注文住宅の平均顧客像の変化や傾向等についてご紹介します。
平均顧客年齢が上昇し、世帯年収も増加
「戸建注文住宅の顧客実態調査」は、一戸建注文住宅に対する顧客ニーズの変化の把握を目的として2000年から開始され、今回で22回目となります。調査の対象エリアは、3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)と地方都市圏(札幌市、仙台市、広島市、福岡市、静岡市)で、平均顧客像や建築資金・単価、住宅の性能や関心などについて調査・分析がなされています。
本調査によれば、平均顧客像として、2021年度における世帯主年齢の平均は39.9歳と、前年度比で0.3歳上昇しました(図1)。
例年通り30歳代の割合が高く、世帯構成では「親と子世帯」が54.2%を占めています。また、世帯年収は993万円と、前年度比で29万円増加したほか、自己資金が1,481万円(同188万円増)、贈与額が1,538万円(同3万円増)、借入金が4,967万円(同366万円)となり、借入金年収倍率は5.00倍と昨年度を0.23ポイント上回りました。
建築費等が上昇、延べ床面積は縮小
住宅の延べ床面積は124.5㎡(同2.3㎡縮小)となり、2015年以降縮小傾向が続いています(図2)。
一方、建築費は3,816万円(同1万円上昇)、住宅取得費合計は5,783万円(同446万円上昇)といずれも上昇し、平均建築費単価についても1㎡当たり30.6万円(同0.5万円上昇)と、2015年度以降上昇傾向が続いています(図3)。
これらの結果から、世帯年収は増加したものの、建築費、住宅取得費についても上昇し続けているため、延べ床面積を抑制するとともに、自己資金や借入金を増やすことで対処している状況が読み取れるとしています。
長期優良住宅やZEHの割合が上昇
認定長期優良住宅は全体の86.3%を占め、前年度比で2.0ポイント上昇しました。都市圏別の構成比を見ると、東京圏(84.9%)と地方都市圏(82.2%)の長期優良住宅の割合が、名古屋圏(91.9%)と大阪圏(90.9%)に比べて低くなっています(図4)。
そのほか、低炭素住宅は3.0%と低い水準となっています。
また、ZEHの検討の有無では、「ZEHにした」が前年度比6.5ポイント上昇の27.9%となり、「検討は行ったが、ZEHにしなかった」(24.4%)割合を上回る結果となりました(図5)。
また、「検討しなかった」は、同7.7ポイント低下の43.9%となりました。
省エネ性能水準については、「長期優良住宅〈断熱等級4(省エネ基準)〉」(56.6%)の割合が最も高く、次に「長期優良住宅〈断熱等級5(強化外皮ZEH基準)相当且つ一次エネ等級6(省エネ基準▲20%)相当〉」(20.1%)が高くなっています。
そのほか、住宅性能表示制度を採用した割合は同3.2ポイント上昇し、69.4%となりました。
「間取り」の次に「断熱性能」を重視
住宅購入を検討する上で重視した点は、昨年と同様に「間取り」が67.1%と最も高く、次いで「断熱性・気密性」が41.1%、「耐震性能」が36.7%、「収納」が35.8%、「広さ」が35.4%となりました。こうした傾向は昨年度と変わらないものの、収納の多さや住宅の広さ以上に、断熱性能や耐震性能を重視する顧客が多いことが結果に表れています。
また、最新設備・建材・技術で、採用の有無に関わらず顧客の関心が特に高かったものとしては、「太陽光発電パネル」が64.4%と最も高く、次いで、「メンテナンスフリー外壁」(35.6%)、「蓄電池」(30.5%)、「全館空調システム」(25.1%)の順となっています。太陽光発電パネルについては、近年、上昇傾向が続いており、再生可能エネルギーに対する関心の高まりが伺える結果となりました。