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政府 2023年度予算概算要求 過去2番目の規模の110兆円超に 「新しい資本主義」の実現に向けた取り組みを強化
財務省は9月5日、2023年度一般会計予算の概算要求額が110兆484億円になったことを発表しました。これは、過去最大となった2022年度の111兆6,559億円に次ぐ2番目の規模となります。
今回は、「新しい資本主義」の実現に向けた約4.4兆円規模の「重要政策推進枠」が設けられたほか、来年4月に発足し、少子化対策を担う「こども家庭庁」に3兆9,731億円が計上されています。
国土交通省
ポストコロナにおける新しい資本主義の起動
国土交通省の2023年度予算概算要求額は、国費総額の一般会計が6兆9,280億円(前年度当初予算比1.18倍)となりました。施策の重点項目には、①国民の安全・安心の確保、②経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大、③豊かで活力ある地方創りと分散型国づくりの三つを挙げています。このうち、住宅・建築物関連については、①では密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進、②ではZEHの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策の強化、③では既存住宅流通・リフォーム市場の活性化等を推進するとしています。
建築物分野の省エネ対策と木材利用を促進
住宅局関係予算については、3兆911億3,100万円(同1.02倍)を要望し、「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」「住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備」「誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保」「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」「住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進」の五つを重点施策に据えました。
このうち、「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」では、建築物分野の省エネ対策の強化を図るため、新たに共同住宅版のLCCM住宅整備への支援を行うほか、中小工務店等によるZEH整備支援やフラット35における省エネ基準適合の融資要件化等が掲げられています。そのほか、地域の関係団体が連携して行う省エネリフォームへの重点支援制度や、公営住宅における省エネ改修への支援等がなされます。また、木材利用の促進に向けた施策としては、地域材の活用促進や、木造化に関する比較検討への支援等が挙げられています。
「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」では、良質な住宅ストックの形成と、ストックの円滑な流通・活用を目的に、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けた取り組みへの支援のほか、マンションの管理適正化・再生円滑化や、空き家の活用促進等が掲げられています。
経済産業省
太陽光発電など再エネの導入を加速
経済産業省の概算要求総額は、1兆3,914億円(同1.13倍)となりました。コロナ禍・ウクライナ情勢におけるエネルギー安全保障・資源の安定供給の確保等を重点施策として掲げ、エネルギー対策特別会計に8,273億円を要望しました。このうち、住宅・建築物においては、住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業に72億円を計上しました。再エネ関連では、再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代型ネットワーク構築加速化事業を新設し、30億円を充てました。また、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金に165億円を計上したほか、太陽光発電の導入可能量拡大に向けた技術開発事業に34億円を計上しました。
>経済産業省 令和5年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について
環境省
脱炭素化に向けたZEH・ZEB化への取り組みを強化
環境省の概算要求額は、総額で7,414億円(同1.13倍)となりました。「時代の要請への対応」と「不変の原点の追求」がコア・ミッションとして掲げられており、再エネ推進交付金を拡充し、脱炭素の基盤となる重点対策を加速化することや、「人の命と環境を守る」ことを使命とした取り組みを追求する方針が示されています。
住宅・建築物については、ZEH化促進事業に140億円を要望しました。このうち、集合住宅の省CO2化促進事業に74億5,000万円を充て、新築低層ZEH-M(3層以下)への定額補助を1戸当たり40万円、新築中層ZEH-M(4~5層)への定率補助を補助率3分の1以内、新築高層ZEH-M(6~20層)への定率補助を補助率3分の1以内で支援することが示されたほか、既存集合住宅の断熱リフォームについても、1戸当たりの上限を15万円として、3分の1の補助を行うことが定められています。
また、戸建住宅ZEH化支援事業に65億5,000万円を充て、ZEH要件を満たす戸建住宅を新築する者に対する定額補助を1戸当たり55万円、ZEH以上の省エネを目指したZEH+に対する定額補助を1戸当たり100万円としたほか、蓄電システムや再エネ技術を活用する場合や、既存戸建住宅の断熱リフォームに対する補助についても定められました。
一方、建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業に130億円を要望し、業務用施設のZEB化に向けた高効率設備等の導入を支援することとしています。具体的には、新築建築物のZEB化を支援する「レジリエンス強化型の新築建築物ZEB化支援事業」と、ZEBの更なる普及拡大を目指す「既存建築物のZEB化支援事業」からなり、気候変動による災害激甚化や新型コロナウイルス感染症への適応を高めつつ、ZEB化の普及拡大により脱炭素化を進めることを目指しています。
林野庁
森林・林業・木材産業によるグリーン成長を実現
林野庁は、カーボンニュートラルの実現に向けた森林・林業・木材産業によるグリーン成長を掲げ、2023年度予算として3,506億円(前年度当初予算額2,977億円)を要望しました。このうち、前年度までの林業成長産業化総合対策を継承した森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に、154億6,000万円を計上しました。本対策は、森林・林業・木材産業によるグリーン成長を実現するため、川上から川下までの取り組みを総合的に支援するもので、林業・木材産業成長循環成長対策や「新しい林業」に向けた林業経営育成対策、木材の安定供給・需要創出、林業デジタルイノベーション推進総合対策等からなります。
このうち、林業・木材産業循環成長対策では118億円を要望し、国産材供給体制の強化と森林資源の循環利用の確立に向け、木材加工流通施設の整備や路網の整備、高性能林業機械の導入のほか、間伐や再造林、都市部における木材利用の強化等を総合的に支援します。また、建築用木材供給・利用強化対策には16億円を要望し、大径材活用に向けた技術開発や木材の持続的な供給体制の構築等を支援することが掲げられました。
更に、木材需要の創出・輸出力強化対策に6億円を要望し、輸出を含む新たな需要を創出するため、非住宅等の木質化に向けた木の効果の見える化や工務店の技術サポート、木質バイオマスのエネルギー利用等の支援が掲げられています。