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経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省 再エネ発電設備の適正な導入・管理について方向性示す
段階ごとに課題と対応について整理
経済産業省、農林水産省、国土交通省及び環境省の4省は7月28日、「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」の第7回を開催し、提言案を取りまとめました。
同検討会では、今年4月に設置されて以降、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、一部の地域において災害や環境への影響、再生可能エネルギー設備の廃棄などへの懸念が指摘されていることを踏まえ、太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理に向けた施策の方向性について議論がなされてきました。このたび取りまとめられた提言案においては、地域と共生した再生可能エネルギーの導入に向けて、「土地開発前」「土地開発後~運転開始後・運転中」「廃止・廃棄」の各段階における課題や主な対応について整理がなされています。
促進すべきエリアへの誘導と違反の防止
土地開発前の段階では、急傾斜地等に設備を設置する場合に災害発生が懸念される点を踏まえ、導入を促進すべきエリアへの立地誘導の必要性が示されたほか、開発許可に当たり太陽光発電の特性が考慮されていない点が課題として挙げられています。具体的な対策として、森林法や盛土規制法等の規制対象エリアにおいては、関係法令の許認可取得を再エネ特措法の申請要件とするなど、手続きの厳格化が検討されています。また、開発許可に当たって考慮すべき事項について関係省庁間で整理した上で、関係法令の基準・運用へ速やかに反映すべきとしています。
土地開発後から運転開始・運転中の段階では、関係法令等への違反が生じた場合の早期解消に向けた体制強化や、必要な許認可が取得されていない状態での売電開始を未然に防止する仕組みの必要性を示しています。そのため、災害リスクが高い設備への優先的な立ち入り検査の実施や、FIT・FIP認定システム等を活用した違反への対応状況の一元管理などにより、関係法令違反への対応を迅速化する必要があると述べています。また、違反状態での売電収入(FIT・FIP交付金)の交付留保など、再エネ特措法における新たな仕組みについて検討するとしています。
太陽光パネルのリサイクルに向けた施策を検討
廃止・廃棄段階での主な課題としては、住宅用太陽光パネルの廃棄方法等に関する懸念や廃棄に必要な情報の不足、中長期的な視点で大量に発生する太陽光パネルの適切な処理に対する懸念などが示されました。
速やかに実施すべき対応として、使用済みの太陽光発電設備については、事業廃止のタイミングで事業者が自らの責任において適切に対応するよう、今年7月から開始された再エネ特措法に基づく廃棄等費用積立制度の活用も含め、関連する法律・制度等を適切に運用するとしています。また、関係省庁が連携し、太陽光発電設備の廃棄ルール等の必要な情報について、住宅用太陽光パネルの所有者や農業従事者などへ周知する必要があると述べています。法改正を含めた制度的対応としては、太陽光パネルのリサイクルを促進・円滑化するための支援策や、義務的リサイクル制度の活用、太陽光パネルの含有物質の表示義務化等について検討する方向性です。
地域との合意形成に向けた取り組みを促進
そのほか、各段階の横断的事項として、地域との合意形成に向けた適切なコミュニケーションの不足や、事業譲渡や関係法令違反などによる責任主体の曖昧化などが課題として挙げられています。そのため、地域との合意形成に向けた説明項目や周知対象等について整理し、再エネ特措法に基づくガイドライン等に速やかに位置付けるほか、事業譲渡の変更認定において、関係法令等に違反している場合は再エネ特措法の変更申請を認定不可とするなど、厳格な対応も必要であると述べています。
同検討会では今後、取りまとめた内容について、都道府県、市町村、再生可能エネルギー事業者等に対して分かりやすく発信するとともに、施策の進捗確認や新たな課題の検討など、適切にフォローアップを実施していく考えです。