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ナイスグループ 新コンセプト「WoWooD™」スタート 木質化による社会課題解決と需要創造への貢献
ナイスグループはこのたび、木の魅力や可能性をより多くの方々に知っていただき、木をもっと身近なものにしていくことを目指し、ナイスグループの木質化事業をつなぐ新たなコンセプトとして「WoWooDTM(ワウッド)」を掲げました。「WoWooDTM」は、「Wow(ときめき)」と「Wood(木)」を組み合わせた造語で、自然素材である木の効能やデザイン性など、木の可能性に対する「ときめき」を表現しています。当社グループでは、この新コンセプト「WoWooDTM」に基づいたグループ横断的な木質化事業を通じて、社会課題の解決や需要創造に貢献してまいります。
今回は、アフターコロナにおいて見直されるオフィス需要に対応した「オフィス木質化リノベーション」、木材利用の促進に向けて内装木質化の需要を創造する「マンション専有部木質化リノベーション」、高経年マンションが抱える課題の解決に向けた「マンション共用部木質化リノベーション」の三つの事例についてご紹介します。
オフィス木質化リノベーションによる木材活用のご提案
見直されるオフィスのあり方と求められる機能
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各企業においてテレワークの普及が進んでいます。内閣府が昨年11月に実施した調査によると、全国で32.2%、東京都23区で55.2%の人がテレワークを利用しており、いずれも20%未満であった2年前から増加しています。一方で、テレワークには、社内での相談・報告や、取引先とやり取りすることが難しい、在宅では仕事に集中しにくいといった意見も多くあります。オフィスのあり方や求められる機能について見直されはじめており、テレワークとオフィスワークを融合した新たな働き方が目指されています。
今回実施した本社ビルリノベーション工事では、木質効果による生産性アップや、アフターコロナにおける社員間や取引先とのコミュニケーションの創造を図ることで、今後求められる新しいオフィスのあり方を提示しています。なお、設計・施工は、建築物への木材利用を推奨する㈱乃村工藝社様にご担当いただきました。
【1F ショールーム】
ナイスのルーツや取り組みを表現する空間
来社されたお客様をお迎えする1階エントランスホール及びロビーには、豊富な森林資源であるスギを随所に活用しています。受付背面には、高さ約6mの天井まで届くスギの大径材を設置しています。また、受付のカウンター下には、当社の分譲マンションの外観として採用しているオリジナルのスクラッチタイルが貼られ、重厚感と温かみを演出しています。
約140㎡に及ぶロビーには、飫肥スギの赤身材を活用したオリジナル商品「ObiRED®」のフロア材を施工し、無垢の赤身材ならではの美しい木目や温かみを、空間全体に広げています。このフロア材には、表層圧密テクノロジー「Gywood®」を施し、表面を硬く傷つきにくく加工し、靴でも踏みしめられるようにしています。その大空間を支える柱の一部には、CLT(直交集成板)の断面を露出した支柱を設置し、ご紹介しています。また、飛騨の老舗家具メーカーの柏木工㈱様と「Gywood®」のコラボレーションにより誕生した、オリジナルのテーブルやソファをロビーに展示しています。
ナイスグループオリジナル商品を体感できるキッズハウス
ロビー中央のらせん階段下のスペースには、ナイスオリジナル商品や無垢の国産材をふんだんに取り入れたキッズハウスを新設しました。
建物の躯体にはオリジナル金物工法「パワービルド工法」を用いたほか、ウッドファイバー㈱が製造する木質繊維断熱材「ウッドファイバーTM」を断熱材として使用しており、当社が供給する一戸建住宅の仕様を体感することができます。外壁の屋根には、独特の質感が特徴的な「凸凹(でこぼこ)Gywood®」、壁面には「ひのきの漆喰」を使用し、木が持つ機能性とデザイン性を兼ね備えた建物となっています。また、内部中央に配置された柱には、ウッドファースト㈱で製材した原木の外側部分を活用し、家づくりの原点としての樹木そのものを再現しています。
そのほか、床には岐阜県産のクリを、内装の壁面には岩手県産のナラを、併設されたカフェの天板には東北産のオニグルミを使用するなど、各地域産材をふんだんに取り入れており、樹種による質感や手触りの違いなどが感じられます。
【2F 商談スペース】
様々な樹種で彩られた商談スペース
商談スペースの入り口となる受付は、ふんだんに使用された国産材がお客様をお迎えします。受付台の前面にヒノキのスリット材、背面パーテーションにはオニグルミとヤマザクラを配したほか、壁面には木曽五木の一つとして知られるコウヤマキが施工されており、国産材による高級感のある空間が演出されています。
お客様との打ち合わせ等で使用する四つのミーティングルーム及び二つの応接室には、それぞれ異なる樹種を選定し、室内の壁面に施工したほか、入り口サインとして設置し樹種による木目や香り、質感の違いが一目で感じられる空間となっています。また、部屋の間仕切り壁には、断熱、蓄熱、吸放湿、防音といった多岐にわたる性能を持つ木質繊維断熱材「ウッドファイバーTM」を使用しています。防音性を高めることで、商談スペースに求められる機密性を確保しています。
「Gywood®」によって木質感溢れる空間
100名超が収容可能な大会議室では、「Gywood®」によって、木質感の溢れる空間が演出されています。
こちらの会議室で使用される会議テーブルについては、既存のメラミン化粧板を用いた天板・幕板を「Gywood®」に交換したオフィス家具の木質化を提案しています。独自の加工技術で硬さと軽さを両立させることで、既存のオフィス家具を有効活用し、新たな木質化の可能性を追求しています。室内の腰壁には、特殊な加工によって独特の立体感を実現した「凸凹Gywood®」を使用しています。この商品は、スギの硬い冬目部分で柔らかい夏目部分を押すことで、浮造り仕上げのような自然な凹凸形状を生み出しています。独特の手触りが楽しめるほか、照明や自然光による美しい陰影がつくり出され、特徴のある空間に仕上がっています。
また、吹き抜けの天井部分には、当社が調達したFSC®認証材によるルーバーを設置しました。森林認証材の普及啓発とともに、木材流通における当社が果たすべき役割と、それを下支えする流通機能等を表現しています。
【7F コワーキングスペース】
内装木質化による生産性の向上
社員が自由に利用できるコワーキングスペースは、人に優しい木質空間を意識した空間設計となっています。木材の色や香りが自律神経に鎮静効果をもたらすことで、副交感神経を活性化させる木の効能を生かし、疲労軽減や生産性の向上を図っています。オープンスペースには、光触媒でウイルスや雑菌を除去する効果のある機能性フローリングを使用しているほか、書庫スペースの床には、パナソニック㈱様による天然木の突き板を用いたOA用フローリングを使用しています。
リモート環境の充実も図っており、WEB会議用のフルクローズ型スペース「テレカンブース」を設置することで、本社勤務の社員だけでなく、全国の拠点に勤務する社員とのコミュニケーションを促進します。そのほか、会議や説明会等で使用できるイベントスペースも新設しました。可動式の間仕切りによって2部屋に分けることができるなど、利便性や快適性も追求しています。
社員間コミュニケーションを創造する空間
フロア内には、ソファやベンチ、デスクなどが配置されており、利用する社員同士がコミュニケーションを取りやすいよう、オフィス空間が設計されています。また、誰でも気軽に利用でき、部署の垣根を超えた連携が容易にできるよう配慮されています。テレワークの普及とともに、社員同士のリアルなコミュニケーションが少なくなる中、自然な形で社員同士が会話をし、新たなアイデアが生み出せるよう、従来の本社ビルにはなかったスペースとして新設されています。
オープンスペースには、「Gywood®」を天板として使用した会議テーブルが3台配置されています。最も大きな12人掛けのビッグテーブルは、コワーキングスペースにおける社員間コミュニケーションの象徴となります。また、少人数での打ち合わせに適したファミレス型のソファブースも設置しており、座席の下には災害時に利用できる災害備蓄品を格納しています。