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林野庁 2020年度着工の建築物の木造率を公表 過去2番目となる高水準の43.5%
公共建築物の木造率は0.1%上昇の13.9%
林野庁は3月23日、2020年度における建築物の木造率についての試算結果を発表しました。これは、国土交通省による建築着工統計調査を基に、建築物の延べ床面積ベースで木造率を試算したものです。これによると、2020年度に着工された建築物全体の木造率は43.5%となり、前年度から0.4ポイント低下したものの、集計を開始した2010年度以降2番目に高い水準となりました(図1)。
このうち、公共建築物※1の木造率は、前年度より0.1ポイント上昇し、13.9%となりました。建築主別で見ると、国による建築物の木造率は1.3%と前年度から1.1ポイント低下したものの、都道府県は4.3%(同0.8ポイント増)、市町村は8.7%(同0.7ポイント増)、民間と個人は20.6%(同0.3ポイント増)と、それぞれ上昇しました。
公共建築物の木造率を都道府県別で見ると、岩手県が前年度の29.4%を大きく上回る41.1%と最も高く、岐阜県が35.5%(同22.9ポイント増)、長野県が30.4%(同5.8ポイント増)と続いています。
※1 公共建築物とは、国及び地方公共団体が建築する全ての建築物並びに民間事業者が建築する教育施設、医療、福祉施設等の建築物のこと。
低層建築物は木材利用が更に進み65.8%
木材利用が比較的進んでいる3階建て以下の低層建築物では、全体の木造率は65.8%と、前年度より0.7ポイント上昇しました。このうち、公共建築物の木造率は29.7%で、前年度から1.2ポイント上昇しました。建築主別で見ても、全てにおいて上昇しており、国による建築物の木造率は7.1%(同2.9ポイント増)、都道府県は10.2%(同0.2%ポイント増)、市町村は17.2%(同1.1ポイント増)、民間と個人は38.4%(同1.5ポイント増)となりました。
また、低層の公共建築物の木造率を都道府県別に見ると、秋田県が50.0%で最も高く、岐阜県が49.4%、山口県が47.6%と続いています。一方で、全国平均値29.7%を下回る都道府県は16都府県あり、東京都(13.7%)や神奈川県(24.1%)、京都府(22.2%)、兵庫県(19.6%)など、都市部でその傾向が見られました。
積極的な建築物の木造化を促進
2021年6月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が改正され、同年10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」として施行されました。また、10月1日には新しい国の基本方針が策定され、公共建築物については、更なる木造化を引き続き促進するとともに、公共建築物だけでなく、民間建築物を含む建築物全体における木材利用を促進することとしています。国は、関係各省を横断した木材利用促進本部を新設し、政府一体となって国の公共建築物における木材利用を推進するとともに、積極的な情報発信等を通じて、地方公共団体、関係団体及び民間事業者等と連携し、木造率が低い都市部等でも木材利用が進むよう、建築物における更なる木材利用の促進に取り組んでいく方針です。