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資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会取りまとめ 2022年度以降の再エネ買取価格案を公表

2023年度FIT買取価格 住宅用は16円

 資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会は2月4日、2022年度以降における再生可能エネルギー(以下、再エネ)の調達価格・基準価格や入札制度等についての意見を取りまとめました。昨年策定された第6次エネルギー基本計画では、2030年度の温室効果ガス削減目標に向けて、再エネの主力電源化を徹底し、国民負担の抑制と地域共生を図りながら最大限の導入を促す方針が掲げられています。一方で、日本の再エネの発電コストは国際水準と比較して高い状況にあります。同委員会では、今年度、再エネのコストを競争力のある水準まで低減させ、自立的に導入が進む状態を早期に実現するための具体的な方策について、検討がなされてきました。

 今回取りまとめられた意見書では、FIT制度の買取価格やFIP制度への移行のほか、既存の建築物に太陽光発電設備を設置する際の要件緩和など、太陽光発電の導入拡大に向けた施策などについて示されています。

 太陽光発電のFIT買取価格については、現在、住宅用(10kW未満)は2021年度が1kWh当たり19円、2022年度が17円となっていますが、2023年度は16円としました(図1)。事業用については、国は2025年度に7円とする目標を掲げる中、10kW以上50kW未満が10円(2022年度は11円)、50kW以上250kW未満が9.5円(同10円)としました。

 なお、正式な買取価格は、本意見を踏まえて3月までに決定される予定です。

既存建築物・集合住宅への設置要件を緩和

 2022年4月に開始されるFIP制度の移行についても方針が打ち出されました。同制度は、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電した時、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進する制度です。FIP制度のみが認められる対象について、2022年度は1,000kW以上としていますが、これが段階的に拡大され、2023年度には500kW以上、2024年度には250kW以上となる予定です。

 太陽光発電の導入拡大に向けては、小規模の事業用太陽光発電について、集合住宅の認定要件の緩和がなされました。小規模の事業用太陽光発電は、2020年度より、①再エネ発電設備の設置場所で少なくとも30%の自家消費を実施すること、②災害時に自立運転を行い、給電用コンセントを一般の用に供すること、以上の2点を満たすことが認定の要件として求められています。しかし、集合住宅では、発電した電気を共用部等でしか使用できないため、屋根上の設置可能面積よりも小さい範囲で太陽光発電パネルが設置されている状況にあります。そのため、2022年度からは、集合住宅の屋根に設置する10~20kWの太陽光発電については、配線図等から自家消費を行う構造が確認できれば、①の要件を満たしているものとして取り扱われることとしています。

 そのほか、事業用太陽光の入札の対象については、2020年度及び2021年度と同様、2022年度も250kW以上となりました。一方、地域と共生可能な形での太陽光発電の導入を加速させるため、既存建築物の屋根への設置に限り、入札制の適用が免除されます。この場合、2022年度の50kW以上の調達価格・基準価格である1kWh当たり10円が適用されます。

太陽光発電のFIT調達価格2022年度以降

バイオマスの調達価格は据え置き

 2023年度のバイオマス発電のFIT調達価格については、2022年度の調達価格が据え置かれ、一般木材(2,000kW未満)が1kWh当たり24円、未利用材(2,000kW未満)が40円となっています。ただし、2,000kW以上については、2023年度以降にFIP制度の対象となります。更に、2,000kW未満についても2022年度及び2023年度は自家消費や地域一体的な活用を促す地域活用要件を満たす必要があり、地域新電力への売電や、工場内での自家消費、隣接施設で熱利用のほか、災害時における避難所等への電気・熱の供給が求められます。

「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」について