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ニュース&レポート

政府 2021年度補正予算案を閣議決定 過去最大額を計上、 31兆円規模の経済対策

 政府は11月26日、一般会計歳出が過去最大の35兆9,895億円となる2021年度の補正予算案を閣議決定しました。このうち、経済対策には31兆5,627億円が充てられています。

 本補正予算案は四つの柱からなり、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」に18兆6,059億円、「『ウィズコロナ』下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」に1兆7,687億円、「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」に8兆2,532億円、「防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保」に2兆9,349億円が計上されています。

国土交通省
住宅対策に6,085億円を計上

 国土交通省は、補正予算として国費総額2兆911億円を計上、このうち6,085億円を住宅対策に充てました。「未来社会を切り拓く『新しい資本主義』の起動」において、同省では住宅関連施策を打ち出しており、成長戦略として、地域材の安定的な活用促進等を含む地域型住宅グリーン化事業に30億円、住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)に1,190億円を充てたほか、分配戦略として「こどもみらい住宅支援事業」の新設を盛り込み、542億円を充てました。

子育てまたは若者夫婦世帯に向けた新たな取得支援制度を創設

 新設された「こどもみらい住宅支援事業」では、子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、18歳未満の子供がいる子育て世帯※1または夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯※2による、一定の省エネ性能を有する新築住宅の取得や既存住宅の省エネ改修等を補助します(図)。

 具体的には、子育て世帯または若者夫婦世帯が住宅を新築する場合、ZEH等の水準を満たした住宅については100万円/戸、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅等の高い省エネ性能を有する住宅については80万円/戸、一定の省エネ性能を有する住宅については60万円/戸を補助します。また、リフォームについては、全ての世帯を対象とし、工事内容に応じて最大30万円を上限に補助されます。ただし、安心R住宅を購入しリフォームを行う場合は上限45万円、子育て世帯または若者夫婦世帯が既存住宅を購入し、リフォームを行う場合は上限が60万円まで増額されます。

 なお、新築・改修ともに、閣議決定がなされた2021年11月26日から2022年10月31日までに契約を締結し、今後、国が設置する事務局により事業者登録を受けた事業者が着工したものが対象となります。

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo05_hh_000217.html

環境省
住宅・建築物の脱炭素化に90億円

 環境省は、補正予算として1,365億円を計上しました。住宅・建築物関連では、建築物・住宅の脱炭素化・レジリエンス強化支援に90億円を充てています。新型コロナウイルス感染症対策と省CO2化を両立する高機能換気設備等の導入や、災害時に強いレジリエンス強化型のZEB化、脱炭素化とヒートショック対策のための住宅の断熱リフォームを支援します。

 このうち、既存住宅の断熱リフォーム支援事業に15億円を充てました。外壁や天井の断熱改修、内窓の設置や外窓交換といった断熱リフォームについて、補助率を3分の1として、一戸建住宅は1戸当たり上限120万円、集合住宅は同じく15万円を補助します。

環境省
https://www.env.go.jp/guide/budget/r03/r03-hos-gaiyo.html

こどもみらい住宅支援事業補助対象

経済産業省
コロナ禍で経営が厳しい事業者の支援を継続

 経済産業省は、補正予算として5兆4,290億円を計上し、感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の次なる危機への備えなど、7項目について支援する考えです。

 このうち、事業復活支援金に2兆8,032億円を充て、コロナ禍で影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、地域や業種を限定しない形で、事業規模に応じた固定費負担の支援として、5カ月分の売上高の減少額を基準に算定した額を一括支給するとしています。また、資金繰り支援1,403億円を充て、「負債」ではなく「資本」とみなせるように、企業への融資を呼び込む効果がある資本性劣後ローンについて、継続して実施する考えです。

経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/hosei/index.html

林野庁
ウッドショックへの対応として国産材製品への転換を支援

 林野庁は、林野関係の補正予算として1,242億円を計上し、重点事項として「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく施策の実施に498億円を充てました。同施策において、木材産業国際競争力・製品供給力強化緊急対策において494億8,200万円を確保し、ウッドショックへの緊急的な対応に資する取り組みなどについて支援します。

 具体的には、木材産業国際競争力強化対策等に442億200万円を充て、木材産業の輸出促進・体質強化対策として、加工施設の大規模化や高効率化、他品目転換、高付加価値化等を支援するとともに、ウッドショックへの緊急対応として、ボトルネックとなっている乾燥施設の能力向上といった施設の整備を支援します。また、原木の低コスト安定供給対策として、路網の整備や高性能林業機械の導入、再造林、エリートツリー等の苗木の生産施設の整備等を支援します。

 また、木材製品の消費拡大対策等に48億200万円を充て、非住宅分野等の外構部も含めた木造化・木質化等の推進とともに、ウッドショックへの緊急的な対応として、国産の製品等への転換促進を支援するとしています。

林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/R3hosei.html