ニュース&レポート
ナイス㈱ 国産材の継続的な利用を促進 「国産材プレミアムパッケージ」を提案へ
ウッドショック等による木材価格の高騰は、住宅・建設業界に大きな影響を及ぼしています。そのような中、国産材について安定的な供給のニーズが高まるとともに、輸入材からの代替提案も進んできています。今回はナイス㈱木材事業部首都圏木材営業部が新たに提案する、オール国産材仕様の家づくりをパッケージ化した「国産材プレミアムパッケージ」と、当社における国産材の安定的な調達及び供給に向けた機能についてご紹介します。
国産材プレミアムパッケージ ①構造材の基本パッケージ
木材の供給が需要に追い付かず、世界的に木材価格が高騰するウッドショックと呼ばれる現象が続いたことで、国産材の活用に改めて注目が集まっています。林野庁においても2030年までに木材の自給率50%を目指す中、ナイス㈱木材事業部首都圏木材営業部では、工務店様やビルダー様の継続的な国産材の利用を促進していくために、「構造材」「内外装材」「断熱材」の全てを国産材仕様とした家づくりをご提案する「国産材プレミアムパッケージ」の販売を開始しました。
構造材の基本パッケージとして、①無垢材仕様、②構造用集成材仕様、③無垢材+構造用集成材仕様の三種類を用意しており、要望に合わせて選択することが可能です(図1)。ベースとなる樹種は、国産針葉樹のスギ、ヒノキ、カラマツなどを中心に構成しています。ただし、構造計算の結果によって、構造用集成材を使用する場合も想定し、一部の横架材については、レッドウッドやベイマツといった外国産材も選択肢の一つとして加えています。また、個別の要望に応じて、部材別に等級などをカスタマイズすることができ、オリジナルの標準仕様を作成することも可能です。
国産材プレミアムパッケージ ②断熱材の木質化
断熱材についても、国内で製造される唯一の木質繊維断熱材「ウッドファイバーTM」をご提案しています。同商品は、カラマツやトドマツといった北海道産針葉樹をはじめとする国産材の間伐材や倒木などを有効活用して製造しており、国産材比率を更に高めることにつながります。また、同商品の採用により、木材の優れた蓄熱性能で快適な室内環境をつくり出すとともに、高い吸放湿性能により、壁体内の結露を抑制することで、住まいの耐久性を高めます。
構造材だけでなく、断熱材まで木質化することで、木材を余すことなく有効活用した家づくりを実現できます。例えば、曲がりの少ない通直な原木(A材)は主に製材用として、やや曲がった原木(B材)は主に合板用として使用される一方で、ウッドファイバーTMは、製材や合板に使用できないC材やD材を原料としているため、形状や用途に応じて分類された木材について、無駄なく利用するこができます(図2)。これにより、自社の家づくりに「持続可能性」や「SDGs達成への貢献」といったストーリー性を持たせ、より付加価値を高めた提案が可能となります。
更に、「国産材プレミアムパッケージ」と併せて、太陽光発電システム、蓄電システム、高性能窓・サッシ、熱交換換気システムなどの設備機器を組み合わせることで、断熱性能を更に高め、ZEHやHEAT20のG2グレードなど、より高性能な家づくりにも対応できます(図3)。例えば、ナイスグループのスマートパワー㈱が提案する太陽光発電システムは、最先端の工場で製造される太陽光電池モジュールの品質を厳しくチェックした上で、高効率で安定したパワーコンディショナーと組み合わせています。同社では、システムのご提案からアフターサービスまで、トータルでご提供することが可能です。
国産材プレミアムパッケージ ③内外装にオリジナル商品を提案
「国産材プレミアムパッケージ」では、構造材、断熱材にとどまらず、内外装材の木質化提案も可能としています。ナイス㈱では、ファブレスメーカーとして、独自の技術を持った国内各地の製材メーカー様などとオリジナル商品を共同開発し、提案しています。例えば、表層圧密テクノロジー「Gywood®(ギュッド)」は、軟らかい針葉樹の表層のみを圧縮し、密度を高めることで、表面を固く、傷付きにくくしています。中心部の密度は通常の針葉樹と変わらないため、軽さや温かみといった針葉樹本来の特長は保たれています。内装材として、フローリングや階段の天板、サッシの窓枠のほか、家具材として大型のテーブル、棚などにも活用できます。
また、大径木高耐久赤身材「ObiRED®(オビレッド)」は、宮崎県産の飫肥(おび)スギの赤身材を使用した、ナイスグループオリジナルの商品です。飫肥スギは、精油成分を豊富に含んでいるのが特徴で、この精油成分は木を腐りにくくするだけでなく、シロアリをはじめとする害虫に対して強い効果を発揮するなど、木の耐久性を高める働きがあります。ObiRED®では、豊富な精油成分をなるべく損なわないよう、天然乾燥と人工乾燥を組み合わせた独自の乾燥技術を採用し、飫肥スギ本来の防腐・防蟻性能を維持しつつ、高い形状安定性を確保しています。これにより、外装材から内装材まで幅広い活用が可能で、デッキをはじめ、サイディングやフェンス、ルーバーなどに利用されています。このように、内外装に自然素材をふんだんに取り入れることによって、健康で快適な空間づくりを実現することが可能となります。
「多産地連携システム」で安定的な調達を実現
国産材仕様の家づくりを実現していくためには、安定的に国産材を供給するサプライチェーンを構築することが必要です。特に、木材使用量における国産材比率が低い首都圏エリアにおいては喫緊の課題となっています。
木材市場の運営をルーツとするナイス㈱では、これまで培ってきた全国の製材事業者様とのネットワークを生かし、国産材の安定的な調達を実現するために、特定の産地に限定するのではなく、日本全国の産地から調達する仕組みとして「多産地連携システム」を構築しています(図4)。大手製材事業者様をはじめ、中小の製材事業者様とも連携し、構造材や羽柄材などの並材だけではなく、内外装材などの化粧材についてもきめ細かく調達し、取り扱いを強化しています。
更に、全国13カ所の木材市場と31カ所の物流センターを木材のストックヤードとして活用し、バッファーを持たせることで、安定的な供給とジャスト・イン・タイムな納材を可能としています。
ストックヤード機能とアッセンブル供給体制
首都圏木材営業部では、横浜市場、相模原市場、相模原物流センター、茨城物流センター、関東物流センター、前橋木材物流センターの計6カ所のストックヤードを有しており、全国から集められた多種多様な木材を常時ストックしています(図4)。相模原市場では、お取引先様のご要望に細かく対応していくために、梱包(バンドル)単位で販売するのではなく、邸別にアッセンブルして供給する体制を整えています(図5)。ウッドショックによる影響が構造材や羽柄材といった材料の調達に及んでいる中、実需を細かく把握して対応することで、より多くのお取引先様に材料を供給していきます。
ナイス㈱では、素材生産事業者様などの「川上」、製材事業者様や木材加工事業者様などの「川中」、販売店様や工務店様・ビルダー様などの「川下」をつなぎ、それぞれの事業者様と顔の見える密な関係を構築しています。これを生かし、川下の実需を川中、川上に伝える役割を担い情報流をつくっていくことで、安定的かつ持続的な国産材の調達と供給を実現していきます。
木材市場の新たな活用方法「見せる倉庫」
相模原市場では、木材市場の新たな機能として「見せる倉庫」を運営しています(図6)。これは、ストックヤード内に一定のスペースを確保し、グループオリジナル商品にとどまらず、全国の製材メーカー様の選りすぐりの商品を取り揃えて常設で展示するものです。無垢材や化粧材を検討する目的で来場された方が、直接、木材を見て、触れてみることでその良さを実感し、利用のイメージを抱きやすいようにしています。加えて、「国産材プレミアムパッケージ」として提案する、ウッドファイバーTMやGywood®、ObiRED®などで構成される体感ルームの常設展示も開始しており、オール国産材仕様の躯体や木質内装材による家づくりについて、実際に体感していただくことができます。
同市場では、国産材の活用などについて総合的に提案する場として、10月13・14日の2日間にわたり、「国産材トータルコーディネートフェア」を開催しました(図7)。同フェアでは、前述の見せる倉庫や体感ルームにおける展示をはじめ、15社の木材・建材メーカー様が出展し、各地の多種多様で良質な木材や木材製品を展示しました。また、有力な住設機器メーカー様14社も出展し、温熱環境を整えてZEHを実現するために必須となる最新の省エネ・創エネ機器、ニューノーマルに対応した機器などについて提案がなされました。
今後も常時、国産材製品が展示され、その品質を確認することができ、国産材仕様の家づくりについて提案を受けることも可能です。