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ニュース&レポート

政府 2022年度予算概算要求 過去最大の111兆円超に ポストコロナを見据えた新たな成長を推進

財務省は9月7日、2022年度一般会計予算の概算要求総額を発表し、111兆6,559億円と4年連続で過去最大となりました。今回は、グリーン、デジタル、地方活性化、子供・子育ての重点4分野の推進のための特別枠として、「新たな成長推進枠」が設けられています。

国土交通省

三つの重点項目に取り組む

 国土交通省の概算要求額は、国費総額の一般会計が6兆9,349億円(前年度当初予算比1.18倍)となり、このうち「新たな成長推進枠」として1兆5,989億円が計上されています。同省は、施策の重点項目として、①国民の安全・安心の確保、②社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大、③豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくりの三つを挙げ、①では密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進、②ではZEHの普及や木材活用等によるグリーン社会の実現に向けた施策、③では既存住宅流通市場等の活性化などを推進するとしています。

住宅・建築物の省エネ対策を強化

 住宅局関係予算については、3兆2,267億18百万円(同1.02倍)を要望し、「住まい・くらしの安全確保」「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」「誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保」「住宅・建築分野の生産性向上の推進と現下の情勢への対応」の五つの分野を重点施策に据えました。

 このうち、「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」では、住宅・建築物における更なる省エネルギー化や、木材利用の拡大に向けた取り組みが不可欠との考え方の下、新たに住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業が創設され、350億円が充てられました。ここでは、LCCM住宅や中小工務店等によるZEH、長期優良住宅等の整備のほか、木造住宅・建築物の普及を図るため、新たな木造建築技術を活用した住宅・建築物の整備などが支援されます。そのほか、既存ストックの省エネ改修への支援の強化や、フラット35の金利引き下げ、省エネ改修への低利融資などの措置が講じられます。

 「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」では、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化などを図るとしており、消費者が安心して既存住宅の取得やリフォームを行うことができるよう、安心R住宅制度や住宅リフォーム事業者団体登録制度等、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けた施策について、普及を進めるための支援がなされます。

国土交通省

https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_002340.html

経済産業省

再エネの導入を加速

 経済産業省の概算要求額は、1兆4,026億円(前年度当初予算比11.9%増)となりました。資源・エネルギー関連については、グリーン成長戦略の実現等による「経済」と「環境」の好循環を掲げ、8,242億円(同10.6%)を要望しました。このうち、住宅・建築物においては、次世代型ZEHの普及や大規模建築物のZEB化に向けた住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業に89億円を計上し、前年度から5.1億円を増額しました。再エネ関連では、需要家主導による太陽光発電導入加速補助金を新設し、80億円を充てました。これにより、FIT/FIP制度等によらず、再エネを長期的に利用するための設備の導入等を支援するとしています。

経済産業省

https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2022/index.html

環境省

「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への移行を推進

 環境省の概算要求額は、7,478億円(対前年度比112%)で、このうち「新たな成長推進枠」が806億円となりました。同省では、「時代の要請への対応」と「不変の原点の追求」の二つをコア・ミッションとして掲げており、「時代の要請への対応」については、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への三つの移行の推進、「不変の原点の追求」については、1971年の環境庁創設以来の使命となる「人の命と環境を守る」取り組みなどを追求するとしています。

 住宅については、一戸建住宅の高断熱化による省エネ・省CO2化を支援する戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化等支援事業に65億50百万円(前年度当初予算は同額)を要望しました。本事業では、一戸建住宅でZEHの要件を満たす住宅に対して、1戸当たり55万円を補助し、更に、ZEH以上の省エネや、設備の効率的運用により再エネの自家消費率の拡大を目指したZEH+に対して、同じく100万円を補助します。加えて、これらの住宅においてCLTや蓄電池といった低炭素化に資する素材を活用する場合には別途補助がなされます。また、既存一戸建住宅の断熱リフォームについては、120万円を上限として補助されます。

 そのほか、新規事業として、食とくらしの「グリーンライフポイント」推進事業(仮称)を創設し、10億円を要望しました。これは、グリーンなフード・ライフ(地産地消・旬産旬消等)など、環境に配慮した暮らし方をポイントの対象とした新たな制度で、これによりライフスタイルの転換の波を創出するとしています。

環境省

https://www.env.go.jp/guide/budget/index.html

林野庁

森林・林業・木材産業によるグリーン成長を推進

 林野庁は、カーボンニュートラルの実現に向けた森林・林業・木材産業によるグリーン成長に向けて、2022年度予算として3,461億85百万円(前年度当初予算額3,032億87百万円)を要望しました。このうち、前年度までの林業成長産業化総合対策を継承した森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に、223億94百万円(同123億13百万円)を計上しました。本対策は、カーボンニュートラルを見据えた森林・林業・木材産業によるグリーン成長を実現するため、川上から川下までの取り組みを総合的に支援するもので、「新しい林業」に向けた林業経営育成対策、木材の安定供給・利用拡大、林業・木材産業成長産業化促進対策、林業イノベーション推進総合対策等からなります。

 このうち、林業・木材産業成長産業化促進対策では146億14百万円(同81億85百万円)を要望し、コンテナ苗生産基盤施設や、輸入木材の不足への対応も視野に入れた木材加工流通施設、木造公共建築物の整備等を総合的に支援します。また、建築用木材供給・利用強化対策には22億円(同12億51百万円)を要望しました。この中で、木材利用促進法の改正を踏まえ、都市部における木材利用の強化等のために、都市の木材利用促進総合対策事業に9億71百万円(同3億30百万円)を充て、非住宅等における建築用木材の利用の実証や、大径材活用に向けた技術開発等を支援します。そのほか、引き続き注視が必要な木材需給動向に対応するため、建築用木材の供給体制を強化する建築用木材供給強化促進事業に新たに2億円が計上されています。

林野庁

https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/R4gaisan.html