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気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 第6次評価報告書公表 人間活動が温暖化の要因と明記
気候変動に関する科学的、技術的、経済社会的な情報を検討して評価を行う、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は8月9日、IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向けの要約を公表しました。第1作業部会報告書の公表は、2013年以来8年ぶりとなります。
本報告書では、気候の現状について、第5次報告書における「人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性が極めて高い」から改め、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と結論付けました。工業化前と比べた世界平均気温の上昇幅は、2011~2020年で1.09℃となり、陸域では1.59℃、海上では約0.88℃となっています。
将来の世界平均気温は、本報告書で考慮した全ての排出シナリオにおいて、少なくとも21世紀半ばまで上昇を続けるとしています。そして、向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に上昇幅は1.5℃及び2℃を超えるとし、化石燃料依存型の発展の下で気候変動対策を導入しない場合には、今世紀末に3.3~5.7℃上昇すると予測しています。気候変動の抑制については、少なくとも二酸化炭素排出量の正味ゼロを達成し、その他の温室効果ガスも大幅に削減する必要性を訴えています。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は同日に声明を発表し、本報告書について「人類に対する厳戒警報」だと述べ、世界が連帯し気候変動への対策を緊急に強化することを求めました。
IPCCでは、第6次評価報告書について、来年2月に第2作業部会(影響、適応、脆弱性)、同年3月に第3作業部会(緩和策)による報告書、同年9月には統合報告書の公表を予定しています。