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ニュース&レポート

経済産業省・環境省 地球温暖化対策計画の新たな案示す 家庭部門は2013年度比66%削減に

2030年度を計画期限とする新たな計画案を提示

 経済産業省と環境省は7月26日、2030年度末までを計画期間とする新たな地球温暖化対策計画案を公表しました。同計画は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進することを目的としたものです。2030年度までに各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし、温室効果ガス排出量の削減目標達成への道筋を付けるとともに、2050年に向けた長期的な対策を進めていく上での礎として位置付けられています。同計画の改定は、2016年の策定以来、初めてとなります。

 本計画案では、温暖化対策の目指す方向として、2050年カーボンニュートラル、更に、2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することなどが目標として新たに盛り込まれました。その達成に向けて、徹底した省エネルギーや、再生可能エネルギーの最大限の導入、公共部門や地域の脱炭素化など、あらゆる分野においてできる限りの取り組みを進めるとしています。また、脱炭素に必要な循環経済(サーキュラーエコノミー)への戦略的な移行や、自然を活用した解決策の取り組みを進め、新産業や雇用を創出することなどが示されています。

エネルギー起源の二酸化炭素を約45%削減

 本計画案では、2030年度における温室効果ガスの排出量の削減及び吸収量について、各分野における目標数値を設定しています。このうち、排出量の8割以上を占めるエネルギー起源の二酸化炭素の排出量については、一定の経済成長を遂げつつ、エネルギー需給における対策が期待通りの成果を上げた場合に達成できる数値とした上で、2030年度の新たな目標として約680百万t-CO2を目指すことが掲げられました(図1)。これは、2013年度の1,235百万t-CO2から約45%削減した水準となります。 更に、その内訳として、産業部門については2013年度比で約37%の削減となる約290百万t-CO2、業務その他部門については同じく約50%削減となる約120百万t-CO2、家庭部門については約66%削減となる約70百万t-CO2、運輸部門については約38%削減となる約140百万t-CO2、エネルギー転換部門については約43%削減となる約60百万t-CO2とする目標が掲げられ、現行計画より大幅に削減目標が引き上げられました。

エネルギー起源CO2の排出量目安

家庭部門の目標達成へ住宅の省エネ対策を強化

 家庭部門の目標達成に向けては、住宅の省エネルギー性能の向上等を図るとともに、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策、エネルギー管理の徹底に努めることを国民に対して促すとしています。また、事業者に対して、より一層の機器のエネルギー効率の向上を図るとともに、機器の利用に伴う二酸化炭素排出に関する正確かつ適切な情報提供を推進するとしています。

 具体的には、住宅の省エネルギー化、省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進、徹底的なエネルギー管理の実施などを挙げています。住宅の省エネルギー化については、対策の強化を図るため、2025年までに省エネルギー基準への適合を義務化するとともに、2030年の新築の平均をZEHとする目標と整合を取るべく、誘導基準・住宅トップランナー基準の引き上げ、省エネルギー基準の段階的な水準の引き上げを遅くとも2030年度までに実施することなどを掲げています。

 併せて、住宅に導入される機器・建材の性能向上と普及を図るために機器・建材トップランナー制度の強化を図るほか、既存住宅の改修・建て替えの支援など、総合的な対策を実施するとしています。

経済産業省

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/008.html