ニュース&レポート
農林水産省・国土交通省 国の木材利用状況を取りまとめ 公共建築物の木造化率が2年連続で9割
延べ面積・木材使用量が大幅増
農林水産省と国土交通省は、公共建築物等木材利用促進法に基づき、2019年度に国が整備した公共建築物における木材の利用状況等を取りまとめ、3月26日に公表しました。
本取りまとめによれば、積極的に木造化を促進するとされている3階建て以下の低層公共建築物等のうち、2019年度に国が整備したものは83棟(対前年度比84.7%)で、合計延べ面積は14,011㎡(同117.2%)でした。このうち、木造で整備されたものは72棟(同93.5%)、延べ面積は13,698㎡(同151.3%)となっています(図)。木造以外の構造で整備された11棟について、改めて両省で検証したところ、施設が必要とする機能等の観点から木造化が困難だった3棟を除き、8棟は木造化が可能だったという検証結果となりました。これにより、木造で整備すべき棟数は80棟で、そのうち、72棟が木造化されていることから、2019年度の木造化率は90.0%(同0.6ポイント減)と、2年連続で9割に達しました。
また、国が内装等の木質化を行った公共建築物は、新築等が52棟、模様替え等が80棟で、合計132棟(同78.1%)となりました。この結果、国が整備した木造化および木質化された公共建築物における木材使用量は、5,372?㎥(同127.7%)と前年度から大きく上昇しています。
低層建築物の6割強が木造で建築
林野庁は同日、2019年度における建築物の延べ床面積ベースでの木造率について、試算結果を公表しました。本試算は、国土交通省の建築着工統計調査を基にしたもので、これによれば、建築物全体の木造率は43.9%と前年度比で1.2ポイント増加したほか、公共建築物についても13.8%と同0.7ポイント増加しました。建築主別で見ると、国による建築物の木造率は前年度比0.3ポイント減の2.4%、同じく都道府県は同0.5ポイント減の3.5%、市町村は前年度と変わらず8.0%となったほか、民間と個人では同1.4ポイント増の20.3%と高い水準となっています。
3階建て以下の低層建築物については、建築物全体で65.1%と同2.0ポイント増加し、うち、公共建築物についても28.5%と同2.0ポイント増加しています。建築主別で見ると、国が建築した低層建築物の木造率は4.2%(同2.6ポイント減)、都道府県は10.0%(同1.4ポイント増)、市町村は16.1%(同0.2ポイント減)、民間と個人では36.9%(同2.5ポイント増)という結果となりました。
また、公共建築物の木造率について都道府県別で見ると、全体では、岩手県が29.4%で最も高く、次いで秋田県が29.1%、山形県が27.5%と続いています。低層の公共建築物については、山口県と高知県が44.0%となるなど、7県で40%を超えています。
更なる木造化を働きかけ
国は、今回公表された実施状況等を踏まえ、各省各庁の計画に従って国が整備する公共建築物における木材の利用を確実に推進するとともに、CLT等の新たな木質部材の活用に努めるとしています。更に、農林水産省と国土交通省の両省は、公共建築物の木造化等の取り組みが確実に実施されるよう、施設整備主体への働きかけや新たな取り組み事例の情報提供を行うなど、より一層の木造化、内装等の木質化を推進するとしています。また、国は、地方公共団体に対して、木材利用に関する市町村方針策定への積極的な働きかけや、木造化に向けた取り組みが効率的に進められるように情報提供などを行っていく方針です。
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen09_hh_000023.html
林野庁