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(一社)住宅リフォ―ム推進協議会 住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査 要望への対応力や情報提供力が満足度向上の源
(一社)住宅リフォーム推進協議会は1月19日、事業者を対象とした「住宅リフォーム事業者実態調査」、消費者を対象とした「住宅リフォーム実施者実態把握調査」「住宅リフォーム検討者実態把握調査」の三つの調査結果について公表しました。今回は、これらの調査のうち、リフォーム工事やその事業者に対する消費者の意識などを中心にまとめました。
リフォーム費用は当初予算より増加傾向
「住宅リフォーム事業者実態調査」は、(一社)住宅リフォーム推進協議会の会員団体に参加している事業者等を対象に、工事実績や売上高、従業員数といったリフォーム事業者の実態について調査しています。これに対し、「住宅リフォーム実施者実態把握調査」「住宅リフォーム検討者実態把握調査」は、過去3年以内にリフォームを実施した人および今後3年以内にリフォームを実施する予定の人、それぞれ約1,000名を対象としたもので、リフォームに対する意識や行動、税制優遇措置の認知度などについて調査しています。同協議会がリフォーム実施者を対象に実態調査を行うのは、今回が初となります。
本調査によれば、実際にリフォームを行った実施者の平均費用は、検討時の予算平均279.4万円に対して、実際に掛かった費用の平均が356.4万円となり、当初の予算以上に費用を掛けてリフォームをしていました。一方、実際にリフォームに掛けた費用について、実施者の意識を調査すると、「予算とほぼ同額だった」と感じた人が52.0%、「予算を上回った」が25.0%となり、実態として、実際には当初予算を上回る費用が掛かっているものの、実施者の意識としてはその認識がやや薄いことが伺えます。
実際の費用が当初予算を上回った主な理由としては、一戸建住宅ではリフォーム箇所の増加、マンションでは設備のグレードアップを挙げています(図1)。また、主な工事内容については、一戸建住宅では「外壁/屋根・天井/床・基礎への断熱材の設置工事」が20.3%、「窓ガラス・窓サッシ等の改良」が18.0%と、断熱性能の向上に関するリフォームが上位を占め、マンションでは「浴室改良」が18.0%と最も高くなっています。
紙媒体による情報収集も重視
消費者がリフォーム事業者の選定時に重視している点については、リフォーム検討者では「工事の質・技術」が29.0%、「工事価格の透明さ、明朗さ」が26.3%と高くなりました。一方、実施者では、「工事価格が安いこと」が25.1%、「工事の質・技術」が20.3%となり、価格を重視する姿勢が強まっています(図2)。
更に、契約した事業者のタイプ別で見ると、全国規模の事業者の契約層では、「工事の質・技術」が21.8%、「会社の信用・知名度・評判・実績」が20.7%と高い一方、地元密着の事業者の契約層では、「工事価格が安いこと」が30.7%と最も高くなっています。また、契約した事業者のタイプについて年代別に見ると、若年層では全国規模の事業者が43.3%、地元密着型の事業者が47.2%とほぼ同じだったのに対し、中高年層では地元密着型の事業者が67.5%と、7割弱が身近な事業者を利用している結果となりました。
事業者の情報の入手方法については、「インターネット」が年代を問わず主な情報源となっており、リフォーム実施者では29.9%、検討者では41.1%を占めました。一方、新聞、チラシや広告誌などを合わせた「紙媒体計」についても、実施者で31.5%、検討者で41.2%と高い割合を占めました。更に、実施者の年代別では、若年層で37.5%、中高年層で26.3%となり、若年層が中高年層以上に紙媒体を活用して情報収集している実態が浮き彫りとなりました。
リフォーム満足度は80%超
リフォーム実施者の事業者に対する満足度については、「満足」「やや満足」の合計が82.8%と8割を超え、高い満足度が示されました。事業者選定時に重視した項目ごとに満足度を見てみると、「要望に対する理解力」を重視した人の満足度は94.0%、「減税や補助制度を提案・説明してくれる」を重視した人は93.0%、「担当者の対応・人柄」を重視した人は88.3%、「工事価格の透明さ・明朗さ」を重視した人は86.9%と満足度が高く、要望への対応力や十分な情報提供により満足度が高まっていると考えられます。また、事業者別では、地元密着型の事業者への満足度が85.7%と、全国規模の事業者の77.8%に対して、7.9ポイント高い結果となっています。
「住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査」