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国土交通省 既存住宅流通市場活性化へとりまとめ案を公表
住宅循環システムの普及・定着に向けて
国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会・建築分科会はこのほど、「既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成及び消費者保護の充実に関する小委員会」の第2回会合を開催し、既存住宅の流通市場を活性化させる取り組みの方向性について、とりまとめ案を公表しました。
本とりまとめ案では、住宅取得に関する選択肢を増やすとともに、国民の住居費負担の軽減や環境負荷の低減を図るため、多世代にわたり良質な住宅が引き継がれる住宅循環システムの普及・定着が重要であるとし、長期優良住宅認定制度、住宅性能表示制度および住宅瑕疵担保履行制度等の見直しについて、方向性を示しています。
長期優良住宅の認定基準や手続きを合理化
同省は、国内の住宅ストックについて、量的には充足している一方で、耐震性や省エネ性能といった質の向上が課題であると指摘しています。
このうち、長期優良住宅については、全ストックに占める割合が約2%にとどまっており、特に、マンション等の共同住宅での認定が進んでいないのが現状です。そのため、各住戸単位ではなく、実際に住宅の維持保全を行う管理組合が住棟単位で認定を受けることができるように見直しを行うべきとしています。認定基準についても、設計の実務や一般的な共同住宅の仕様に即していないとの指摘を踏まえ、基準の合理化の必要性を提示しています。このほか、既存住宅について、現状は増改築行為を行わない限り認定を取得できませんが、一定の性能を有するものについては、建築行為を伴わなくても、取得可能にすべきとしています。
更に、脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネ性能の向上が求められていることを受けて、住宅の建て方や、構造別の実態を踏まえつつ、認定基準における省エネ性能の引き上げについても提言しています。
そのほか、認定手続きの合理化を図るべく、住宅性能評価における一体審査の導入や、頻発する災害への対応として、土砂災害特別警戒区域のような特に危険性が高い区域については原則として認定しないことなどが盛り込まれました。
「安心R住宅」の普及促進へ
2017年に創設された特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(「安心R住宅」制度)について、リフォーム等の情報提供を要件としていることなどから、既存住宅の個人間取引の商流に馴染みにくく、潜在的な既存住宅ストックの掘り起こしにつながっていないと指摘しています。その上で、今後の方向性として、「安心R住宅」の普及に向けて、既存住宅状況調査の報告書や瑕疵保険加入の有無等の情報について、消費者が分かりやすく認知できるような仕組みに見直すべきと提案しています。
そのほか、既存住宅等に関する瑕疵による損害を補填するための任意保険(2号保険)の普及・拡大の必要性や、既存住宅状況調査、瑕疵保険の現場検査等、各種検査の効率化などが述べられています。
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_kizonjutakuryutsu.html