ニュース&レポート
脱炭素社会実現の一翼を担う
ナイス株式会社 代表取締役社長 杉田 理之
2021年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は皆様より格別のご高配を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
当社は、昨年12月19日付で東京証券取引所より、当社株式の特設注意市場銘柄の指定が解除されました。これもひとえに、当社グループを変わらず支えて下さった取引先の皆様および関係者の皆様のおかげと、心より感謝申し上げます。当社といたしましては今後、より一層、内部管理体制の強化に努めるとともに、取引先様をはじめ、あらゆるステークホルダーの皆様からの信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいる所存です。引き続き、皆様からのご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
デジタルの活用とグリーン社会への転換が不可欠な時代に
昨年を顧みますと、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、人々の安全と健康、そして経済に多大なる影響を及ぼした一年となりました。日本においては、昨年4月に発出された緊急事態宣言の全面解除に伴い、経済活動は少しずつ再開し、昨年5月を底に経済は緩やかな回復基調を続けています。しかし、11月に入り、再び新型コロナウイルス感染症は拡大をはじめ、1月7日には首都圏の1都3県に対して緊急事態宣言が再発令されるなど、先行きの不透明感は依然として払拭されない状態が続いております。
一方で、新型コロナウイルスは私たちの生活様式を一変させ、「ニューノーマル」という新しい価値観をもたらしました。テレワークは一気に進み、データやデジタル技術を活用した業務の効率化や生産性の向上などを目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きも加速しています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、気候変動をはじめとする環境問題に対する人々の意識も高まりつつあり、こうした人々の行動および意識の変化に伴い、社会構造も大きく変化するものと考えられます。こうした中、「2050年カーボンニュートラル」を宣言した菅内閣が、日本における新たな成長の源泉として、「デジタル」「グリーン」を挙げているように、ポストコロナ時代において、持続的な成長と脱炭素社会を実現するためには、デジタルの活用とグリーン社会への転換が不可欠と言えます。
SDGs達成に貢献するべく木材の更なる利用拡大を推進
住宅業界においても、テレワークの浸透や外出自粛などによって、一般消費者の住宅に対するニーズは変わりつつあります。長期トレンドとして、新設住宅着工戸数が減少していく中、私たちは一般消費者の価値観の変化をしっかりと見極め、新たなビジネスチャンスに着実に対応していく必要があります。加えて、政府が昨年末に策定した「グリーン成長戦略」の中で、住宅産業は成長分野の一つとして位置付けられています。
SDGsの達成という世界的な潮流を受けて、サステナブルな素材である木材や木造建築に対する関心が高まる中、脱炭素社会の実現に向けて、木造住宅の建築に携わる私たちが果たすべき役割は非常に大きく、住宅・建築物の高断熱化や再生可能エネルギーの導入促進、非住宅の木造化・木質化推進に、これまで以上に取り組んでいく必要があります。また、昨年末には、古くから日本の建築文化を支えてきた「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、世界から日本の木造技術に対する注目が集まっており、これらが追い風となることが期待されます。
当社グループといたしましては、社会の価値観が大きく変化する中、経営方針にSDGsの概念を落とし込み、事業活動を通じてSDGsの達成に貢献したいと考えております。特に、木材および木造建築については、SDGsと密接な関係にあり、「木」をルーツとする当社グループとしては、脱炭素社会の実現に貢献できる循環型資源である「木」の価値について、改めて再検証し、木材の利用拡大を推進してまいります。
非住宅建築物の木造化・木質化に向けては、様々な機能を有するグループ各社が連携し、事業主のニーズに合わせ、地域材の利用、流通量の多い規格材の使用によるコストメリットの訴求、新工法開発などのご提案を実現してまいります。
また、林地残材や間伐材を活用した木質繊維断熱材「ウッドファイバー」の取り扱いを強化してまいります。ウッドファイバーは、国産材を使用し、高い断熱性能はもちろん、木という素材ならではの吸音性・調湿性に優れた商品です。木材利用および高断熱性能という意味で、使用することがすなわち脱炭素社会への貢献に直結しているとも言えます。
WEB展示会「木フェス」とリアル展示会を同期間開催
当社グループ初の試みとして、木材の利用促進を目的に、2月24日から3月13日の期間で、木材や木造建築に関する情報を発信するWEB展示会「木フェス」を特設サイトにて開催いたします。一般消費者もご覧いただけるWEB上の仮想展示空間に、優良木材メーカー様による木材製品や、各自治体による地域材、ナイスグループのオリジナル商品等を展示するほか、非住宅建築について、設計、構造計算、木材調達、加工、各種工法、施工に関するそれぞれのソリューションをご紹介いたします。なお、「木フェス」では、取引先様を対象に、木材や住設機器、建材等の特売品もご案内するほか、各市場が同期間にリアル展示会を開催する予定ですので、ぜひご参加・ご来場いただければと思います。また、1月18日から24日の期間には、「木フェス」先行開催として、国が利用拡大の促進に取り組む「JAS構造材」の利用意義やメリット、住宅および中・大規模建築物への採用事例などを展示開催いたしますので、ぜひご覧下さい。
当社グループは、本年を「新創業の年」と位置付け、持続可能な企業に向けて成長を続け、取引先様および関係者の皆様へのより一層のお役立ちを図ってまいりたいと考えております。全社一丸となって、積極果敢に取り組んでまいりますので、引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。