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国土交通省・環境省・経済産業省・林野庁 2021年度予算決定概要 脱炭素化に向けてグリーン社会の構築を目指す

政府は昨年12月21日、2021年度の予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は9年連続で過去最大となる106兆6,097億円で、15兆4,271億円となる2020年度第3次補正予算案と一体化した15カ月予算として位置付けています。新型コロナウイルス感染症対策とともに、デジタル社会・グリーン社会の実現といった中長期的な課題への対策が盛り込まれています。今回は、住宅・建築物、木材利用に関連した内容についてまとめました。

国土交通省

「新たな日常」に対応

 国土交通省関係予算は、国費総額の一般会計が5兆8,981億円(前年度「通常分」との比較で0.99倍)、第3次補正予算との合計で9兆1,893億円(同1.55倍)が計上されました。このうち、住宅局については、当初予算が1,572億5,400万円(対前年度倍率1.02倍)、第3次補正予算が31億500万円、合計で1,603億5,900万円(同1.04倍)が充てられました。

 住宅局における2021年度の重点施策としては、「住まい・くらしの安全確保」「くらしの多様化に応える良質な住宅ストックと流通市場の形成」「誰もが安心して暮らせる住まいの確保」「住宅・建築分野の生産性向上と新技術実装の推進」の四つが掲げられています。「くらしの多様化に応える良質な住宅ストックと流通市場の形成」では、住宅・建築物について、「新たな日常」への対応や省エネ化、長寿命化を進めることによって、良質なストックの形成の推進等を図るとしています。具体的には、ZEHの施工経験が少ない事業者による省エネ住宅の供給を支援する「地域型住宅グリーン化事業」に140億円(同1.04倍、第3次補正予算10億円)、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」に45億円(同1.00倍)を計上するなど、省エネ性能の高い住宅の整備・改修等を支援します。

住宅取得支援策を拡充

 住宅取得支援策については、同日に閣議決定された税制改正大綱において、「住宅ローン減税」および「住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置」といった追加措置が盛り込まれました。住宅ローン減税については、現行の控除期間13年の措置が延長されます。これにより、契約期限と入居期限が1年延長され、契約期限は注文住宅が2021年9月末、分譲住宅が2021年11月末、入居期限は2022年12月末となります。更に、合計所得金額が1,000万円以下であれば、床面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和されます。贈与税の非課税措置については、2021年12月までに契約した場合は最大1,500万円と、2020年度と同額の非課税限度額とするとともに、1,000万円以下という所得制限を設けた上で、床面積要件を40㎡以上に緩和しています。

 そのほか、第3次補正予算において、高い省エネ性能を有する住宅の取得に対して、「新たな日常」等に対応した商品や追加工事と交換できるポイントを最大で100万ポイント付与する「グリーン住宅ポイント制度」の創設が盛り込まれました。また、住宅ローン減税の拡充措置を講じてもなお効果が限定的な所得層に対して、最大50万円を給付する「すまい給付金」が継続して実施されます。

国土交通省

https://www.mlit.go.jp/policy/file000004.html

環境省

3省連携によるZEH支援を継続

 環境省は、一般会計として一般政策費等に1,513億円(対前年度比101%)、エネルギー対策特別会計に1,606億円(同100%)を、更に第3次補正予算としてそれぞれ893億円と505億円を計上しました。脱炭素社会への移行など、持続可能で強靭な経済社会への「リデザイン(再設計)」を進める方針です。

 ZEHについては、従来の国土交通省・経済産業省との3省連携による支援を継続します。「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」に65億5,000万円を充て、一戸建住宅においてZEHの交付要件を満たす住宅を新築・改修する者に対する1戸当たり60万円の補助を実施します。更に、ZEH以上の省エネ、設備の効率的運用により再エネの自家消費率の拡大を目指したZEH+に対して、1戸当たり105万円を補助します。なお、経済産業省はZEH+に蓄電池や燃料電池、V2H設備等を搭載した次世代ZEH+の供給を、国土交通省は引き続き地域工務店の連携によるZEHの供給を支援します。

 更に、第3次補正予算において、既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業を創設しました。45億円を計上し、既存住宅の断熱リフォーム等に対して、1戸当たり120万円を上限として支援します。

環境省

https://www.env.go.jp/guide/budget/index.html

経済産業省

広葉樹のバイオマスの活用を促進

 経済産業省は、当初予算1兆2,533億円(前年度当初予算額1兆2,624億円)、第3次補正予算として4兆6,688億円を計上し、デジタル改革やグリーン社会の実現といった、長期視点に立った企業の変革を後押し・加速させます。このうち、資源・エネルギー関連では、「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発事業」に33億円(同30億円)を充てました。薄型・超軽量・長寿命等の太陽電池の技術を開発し、ビル壁面や、重量制約のある屋根、自動車等の移動体などにも設置可能な革新的な太陽光発電システムの基礎的な要素技術の開発を行います。また、「木質バイオマス燃料等の安定的・効率的な供給・利用システム構築支援事業」を新設、12億5,000万円を計上しました。燃料材に適した早生樹・広葉樹等の樹種を選定の上、育林手法等に関する実証を行い、国産木質バイオマスの活用促進、安定供給の確立等を図ります。

経済産業省

https://www.meti.go.jp/main/31.html

林野庁

補正予算でJAS構造材の利用を継続支援

 林野関係予算は、当初予算3,033億円(対前年度比100.9%)、第3次補正予算1,555億円が計上されました。このうち、路網の整備・機能強化や、木材加工流通施設の整備、スマート林業・新素材開発等の「林業イノベーション」の推進、都市の木造化の促進、木質建築資材の利用環境整備等、川上から川下までの取り組みを総合的に支援する、「林業成長産業化総合対策」については123億1,300万円(前年度当初予算額128億6,800万円)が充てられています。

 同総合対策において、都市部における木材需要の拡大に向け、木質建築資材の利用の実証への支援や、大径材の需要拡大に向けた技術開発等を支援する「木材産業・木造建築活性化対策」に12億5,100万円(同13億1,000万円)が計上されています。同対策内では、都市の木造化促進総合対策事業に3億3,000万円(同3億円)、CLT・LVL等の建築物への利用環境整備事業に7億2,100万円(同6億6,100万円)、生産流通構造改革促進事業に1億9,900万円(同2億100万円)が充てられています。

 また、第3次補正予算において、木材製品の消費拡大対策等に48億9,400万円を確保し、非住宅分野等の外構部も含めた木造化・木質化等を推進します。具体的には、JAS構造材の普及・実証、CLT建築物等の実証、外構部への木材の実証的利用などを推進します。

林野庁

https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/index.html