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ニュース&レポート

スマートパワー㈱ 将来的な電気代上昇が懸念される中 太陽光発電設備で電気料金を削減

脱炭素社会の実現や、頻発する自然災害による大規模停電への対策など、再生可能エネルギーの更なる普及に向けた動きが加速しています。一方で、これらを一因とする電気料金の上昇が懸念される中、自家消費型の産業用太陽光発電設備が注目されています。

エネルギー供給強靭化法が成立

 日本の電気料金は、東日本大震災以降、原油価格の上昇や、火力発電所の焚き増し、再生可能エネルギー(以下、再エネ)設備の普及などを主な要因として、上昇傾向にあります。

 このうち、再エネ設備の普及については、固定価格買取制度(FIT)によって一気に伸長する一方で、2019年度の再エネの買い取り費用は3.6兆円に達しています。再エネによる電力の買い取り費用について、電気使用者が電気料金の一部として負担する賦課金の単価は、2012年度の0.22円/kWhから2020年度には2.98円/kWhにまで上昇しており、電気料金を押し上げる要因ともなっています。

 更に、今年6月には、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(以下、エネルギー供給強靭化法)が成立しました。一部を除き、2022年4月に施行されます。同法は、電気事業などに関するルールを定めた「電気事業法」と、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)」「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(JOGMEC法)」からなります。自然災害に伴う大規模停電や、中東情勢の変化などの地政学的リスクの拡大、再エネの主力電源化といった、最近のエネルギー情勢の変化を踏まえて、エネルギー供給体制の強靭化が図られています。

 このうち、電気事業法については、異なる電力供給エリア間を結んで大規模な電力を流すことができる地域間連携線の整備など、災害時に対応できる広域的な電力系統の構築が進められます。また、こうした系統整備は、再エネ導入の拡大にも有効となることから、費用の一部については賦課金方式が採られ、電気料金の一部として全国の電気使用者が均等に負担することになります。

市場に連動したFIP制度創設

 再エネ特措法では、現在のFIT制度に加えて、FIP(フィードインプレミアム)制度の創設が検討されています。FIT制度は、再エネの普及が進んでいない段階において大量導入を促進することを目的としたものであり、売電価格を電力市場とは切り離して一定とするなど、手厚い支援がなされています(図1)。

 一方、FIP制度は、大規模な太陽光発電や風力発電などを対象として、電気を卸電力市場などで販売し、売れた分に対して一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度です。これは、補助額は一定額ですが、市場水準に併せて一定の頻度で更新されるため、再エネ発電事業者の売電価格は市場価格に連動することになります。そのため、蓄電池を活用して電気を貯め、売電価格が上昇する電力需要のピークに売電するといったインセンティブが働くと予想されています。

新たに導入されるFIP制度

容量市場の約定価格に課題

 今年度新たに、電力に関する市場として「容量市場」が開設されました(図2)。同市場は、現在の電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)を取引するものです。将来にわたる電源不足を回避するために、電源投資が適切なタイミングで行われ、あらかじめ必要な供給力の確保と、小売電気事業者の安定した事業運営、電気料金の安定化を図ることを目指しています。

 電力広域的運営推進機関は今年7月に初めて、2024年度に全国で必要な供給量を確保するためのメインオークションを実施しました。その結果は、総容量は全国合計で1億6,769万kW、約定価格は全エリアで14,137円/kWとなりました。総容量については目標調達量の94%超を確保しています。一方で、約定価格については、新規電源の建設および維持・運営等に必要として設定された指標価格9,425円に対し、その1.5倍に設定された上限価格とほぼ同水準となりました。この結果、約定総額は1兆5,987億円に達し、今後、電気料金の負担増につながることが懸念されています。

日本の主な電力取引市場

太陽光発電設備の導入に手厚い支援

 電気料金が今後も上昇し続ける見通しが高い中、こうした状況に対応するために、産業用の太陽光発電設備を導入するケースが増えています。同設備を自家消費など効率的に利用することは、電気料金の削減につながるほか、災害時の電力の確保といったBCP対策、更には、脱炭素社会の構築にも貢献します。政府も、再エネの主力電源化を目標に掲げており、2021年度の概算要求において導入支援策を打ち出しています。

 経済産業省中小企業庁では、資本金1億円以下の法人・個人事業主といった中小企業者等による太陽光発電設備等の導入を支援する、「中小企業経営強化税制」の2年間の延長を要望しています。これは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得・製作等した場合に、即時償却または最大で取得価額の10%の税額控除が可能となる制度です。

 また、環境省では、「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」を新設、92億円を計上するなど、再エネ設備等の導入を引き続き支援していく考えです。

設備導入をワンストップでサポート

 電気料金の削減といった経済メリットを享受するために自家消費型太陽光発電設備を設置する際には、従来のFIT制度上における全量売電のように単独の系統を利用するのではなく、既存設備の一部として設計する必要があるため、電気の知識が不可欠です。

 スマートパワー㈱では、これまで多くの自家消費型太陽光発電設備に関する実績を積んでいます。導入に当たって、概算プランの作成から、現地調査、設計、施工にわたって、ワンストップで対応しておりますので、ぜひご相談下さい。

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※ 図1は経済産業省資料、図2は電力広域的運営推進機関資料より引用

>スマートパワー 公式サイト