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国土交通省・東京都 災害に強い首都「東京」形成ビジョン中間まとめ 水害・地震対策を柱に防災まちづくりを推進
首都 「東京」 の壊滅的被害の回避へ
国土交通省と東京都は9月15日、「災害に強い首都『東京』形成ビジョン中間まとめ」を公表しました。近年、日本では大規模な水害や地震が頻発しており、特に東京については、マグニチュード7クラスの首都直下地震が今後30年以内に70%程度の確率で予測されるなど、大規模災害の危険性、切迫性が高まっています。大規模災害が東京で発生すると、多くの人的被害が予想されるとともに、社会経済活動が麻痺(まひ)し、日本および世界にも影響を及ぼすことが懸念されます。
これらを背景として、東京においてハードとソフトの両面から防災まちづくりを強力に推進するため、今年1月に国と東京都の実務者による「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」が設置されました。そして、同連絡会議にて東京の実情を踏まえた防災まちづくりの推進策について検討が進められ、このたび中間まとめが作成されました。
水害に強い高台まちづくりを推進
中間まとめでは、首都ならではの想定被害の甚大さを踏まえると、点や線での対策に加え、面的な対策として防災まちづくりの一層の推進を図る必要があるとし、水害対策と地震対策を柱として、まちづくりを一体的に進めるための方策が示されました。
このうち、水害対策としては、堤防や洪水調節施設等、治水施設の整備・強化の推進を図るとしています。また、治水施設では防ぎきれない大洪水による大規模氾濫(はんらん)の発生に備え、高台まちづくりを推進することが盛り込まれました(図)。具体的には、土地区画整理事業等と高規格堤防整備事業の更なる一体実施に向けた方策の検討や、国による高規格堤防、東京都によるスーパー堤防の整備の推進、公園の高台化の推進などの施策が示されました。このほか、民間建築物や学校・公共施設での避難スペースの整備・確保、建築物から浸水区域外への移動を可能とする通路の整備などが挙げられています。
地震対策へ住宅の不燃化を促進
地震対策については、具体的な施策として、建築物の共同化や、密集市街地における無接道の隣地取得を伴う一戸建住宅の建て替えなど、無接道敷地の解消等による不燃化建て替えの促進を図るとしています。
また、規制誘導により不燃化の促進を図ることが盛り込まれました。準防火地域では、2階建て以下(地階を除く)かつ延べ面積500㎡以下の木造建築は防火構造とできますが、建築基準法第40条に基づく条例(東京都建築安全条例第7条の3に基づく新たな防火規制区域)を活用することで、建築規模によらず準耐火建築物等が義務化され、不燃化の促進につながるとしています。
このほか、高齢者の住み替え支援など高齢化の進行等に対応した取り組みや、密集市街地の防災性向上と良質な街並みの維持・形成を両輪とした取り組みの推進などが盛り込まれています。
なお、国土交通省と東京都は、同ビジョンのとりまとめに向け、今回の中間まとめを対象として、10月14日までパブリックコメントを実施しています。
国土交通省